自殺は自分だけのことではない
5話
夢も見ないくらいぐっすり眠った朝のように目が冷めた
目が冷めたはず、、、
真っ暗だ
何も見えない?
何もうつらない?
目は開いてる
空間はある
家具もみえない
人も見えない
見えないどころか
物も人も気配がない
でも空間は確かにある
ある
あるのに真っ暗だ
、、、闇、、、
そう闇だ
音もしない
耳は聞こえてるはず
静かになっても聞こえる音も聞こえない
風の音も
空気が流れる音も
時計の音も
冷蔵庫の音も
何かの家電の音も
隣や近所から聞こえる何の音かわからない音も
雑音も何も聞こえない
目をよく開いても見えない
耳をすませても何も聞こえない
声を出して
「誰かいますか?」
、、、、、、、、
返事は返って来ない
何もない空間
自分の体がある感じもしなければ
自分の手足も見えない
あるのは自分の意識と闇
意識と闇
意識と闇
意識と闇
『自殺すると闇の中にいって意識しかない』
と自分が恩師と思っている人の言葉がよぎった
ああ、、、死んだんだ
自殺して死んだんだ
ここは死後の世界なんだ
納得共に恩師の続きの言葉が浮かんだ
『闇の中には10000万年はいる』
時間の感覚もない中で長い年月を自分の意識だけでいる
生きていないから怪我も病気もなければお腹もすかない
やらなければいけない事も仕事もなければやりたい事もできない
自分を傷付ける人もいなければ自分が傷付ける事もない
それどころか誰かを見る事も誰かの声を聞く事もない
孤独
、、、、、、、、
孤独が恐怖をよんできて
目の前は真っ暗なのに
意識は真っ白で
混乱して
「だれかーーーー!」
「だーれーかー!!」
「だれかいませんかーーーーー!!!?」
と何度も何度も狂ったように叫んだ
でも
返事はない
声を出してる感覚も体を動かしてる感覚も何もない
この声も自分の中で響いてるだけで音になっているかもわからない
けれど
叫ばずにはいられなかった
怖くて
怖くて
怖くて仕方なくて
今まで怖いと思ったことはたくさんあって
死ぬかと思った
この人は怖い
高い場所は怖い
でもこの闇の中に自分の意識しかないのは感じたことのない怖さ
これまでに感じたことのない怖さ
恐怖
ひたすら叫ぶ
何を望んでいるのかわからない
ただ怖くて叫ぶ
「だれかーーーーーーーー!!!!!、、、、、だれかっ!」
........
これは実際に自分に起きたことです
死の世界は突然やってきました
........