27、カネナリとガル
次の日、朝早くからトレイルとドラグは出かけて行った。
俺は魔族たちを横目に見ながら体を鍛えている。
と、そこに思いもよらぬ人物が尋ねてくるのだった。
「カネナリだったか。何の用だ。」
「あなたたちのせいで13騎士を除名になって、反逆者となってしまったわ。部下を1人連れて逃げてきたの。よかったら助けてくれないかしら。」
ふむ、まぁそういう国であれば、おかしい理由ではないが・・・気になるな。
「・・・大変だな。だがここはマカイだ。俺に聞かれても困る。」
「魔王はどうしたの?」
「魔王はイクサバに出かけている。カジノのことを契約として取り付けにな。」
「そう。でもこのままじゃクチナシのやつらが乗り込んでくるかもしれないわ。お願いだから助けて。」
「うむ。まぁ明日には戻ってくるだろう。それまでなら俺が了承しよう。」
「ありがとう。」
「・・・だがカネナリ。部下といったが、その男はお前より強そうだが?」
カネナリが動揺したのを見逃さなかった。カネナリが言葉を返せずにいると男が話し出す。
「いやーさすが転生者。相手の能力も見るだけでわかるのかい?」
転生者だということを俺は話しただろうか。
「その表情を見るに本当に転生者みたいだね。初めまして、カネナリ様はどっちかっていうと頭を使うほうが専門でね。戦いのほうは僕が任されているんだよ。カネナリ様も本気だせば強いんだけど、武力のほうは僕のほうが少し優れているかもね。」
「そうか、その割にカネナリは動揺した様子だったが?」
しかも武力担当といったが、あきらかに頭が回るのもこいつのほうだ。何者なんだこいつは。
「あはは・・・さすがだね。あんまり隠し事してもしょうがないから言うけど、僕も13騎士なんだ。最後の席だけどね。部下っていうのはちょっと違ったかもしれない。」
「ふむ・・・。そういうことか。なんでお前までカネナリと一緒に行動しているんだ?下手うったのはカネナリだろう。」
「カネナリ様・・・まぁもういいか。カネナリとは元々仲が良くてね。カネナリが抜けさせられるなら僕もと思って一緒に来ただけだよ。」
「・・・まぁいいだろう。とりあえず帰ってくるまではゆっくりしていけ。」
「ありがとう。名前はなんていうの?」
「龍だ。」
「リュウさんね。よろしくね。」
怪しい、怪しいが、まぁ俺らを狙っているなら、人手の少ない今を狙ってつぶしにかかっているだろう。理由も筋は通っているし、トレイルにでも判断を仰げばいい。
「リュウさん。よかったらこれからどうしていくのか聞いてもいい?」
「あ?敵方かもしれないのに情報なんて漏らせるかよ。」
「たしかにそうだね!でももしかしたら協力できるかもしれないよ!」
「まぁどうせ漏れるだろうからいいか。」
俺は今後のマカイの展望を話す。
「すごいねーそのトレイルって女の子は頭が回るみたいだね。」
「みたいだな。」
「そっか。よかったら僕とカネナリにも手伝わせてよ。僕もカネナリも魔法で建物の作成くらいなら協力できるよ。」
「あーじゃあ居住区を作るのを手伝ってもらうか。魔族がどんどん作っているみたいだが、何せ多くの者が来そうでな。ホテルなんか作ってくれるといいかもしれない。」
「おっけー何棟くらい?」
「そんな何棟も作れるのか?」
「簡単だよ。ほら!」
一瞬で3階建て一軒家のようなものを作る。これでは効率が悪いな。敷地は多いとはいえ、カジノからあんまり離れて何件も建てるのもいかがなものか。
「おい、ちょっとまて、ちなみにこんなようなものは作れるか?」
俺は地面に30階建てのホテルの絵を簡単に書く。
「作れるよ!それと僕の名前はガルね。おいじゃないからね。」
「わかった、ガル。それじゃ頼む。家具とか施設もあっちにあるのを参考にしてくれ。」
「家具とかは素材がないと厳しいかな。建物の材料は地中から歳出しているけど、それ以外の木材とか繊維とかは歳出できないんだよね。僕の能力は何事も等価交換なんだ。」
「そうか。じゃあ用意させる。」
他の魔族に依頼し、用意させる。何やら魔族は魔力を素材に変換できるようで、すぐに用意ができた。能力の違いは人と魔族の違いなんだろう。
そしてほとんど準備ができたころ、ドラグとトレイルが戻ってきた。