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「カ、カネナリ様。」
「どっちにしても君はもういらないよ。リングで殺されてくるがいいよ。」
「お、お許しを・・・カネナリ様!」
「それとも僕とリングに上がるかい?」
「・・・。」
カネナリと呼ばれたあのデブが13騎士のようだ。思った以上のクズみたいだな。部下を簡単に切り捨てる奴にろくな奴はいない。
「おい、カネナリとやら、あんたがリングにあがったらどうだい?部下の失態は上司の責任という言葉もある。」
「あぁ?何を訳の分からないことを言ってるんだい?いや・・・まぁ・・・いいか。」
カネナリは面倒くさそうにリングへ上がった。
俺も上がろうとする。
「なんで君が来るんだよ。来るのは君だよエース。お客様を喜ばすにはこれしかないだろう。」
エースがガタガタと震えながらよろよろとリングに上がる。
「開始しろ。実況。」
「え?あ・・・開始!」
カネナリは先ほどとは打って変わった動きで瞬時にエースに詰め寄る。そしてビンタを一発エースへ叩きこむ。エースはそのまま叩きつけられ、動かなくなった。かなりステータスは高いのだろう。会場が沸く、絶対的だった王者が13騎士に一撃でやられる様は見てる側からすれば、かなりのショーだろう。
「さて、次は君らかな。全員つぶして再構しないとだね。お客様がまた楽しめるように。」
カネナリがちょいちょいと指で来るよう合図をする。
俺はリングへと上がる。
「勝てるとでも思っているのかな?僕の実力がわからないなんてたいしたことないよ。謝って帰ってもいいんだよ。金は置いてもらってね。」
「お前みたいな下を切り捨てるような外道は嫌いなんだ。さっさとかかってこい。」
「残念だね。もう許してあげないよ。」
カネナリはその図体には見合わない速さで間合いを詰め、俺にエースと同じようにビンタを放つ。俺はその攻撃を腕で受け止める。
「は、ははは。いうだけあってなかなかやるようだね。さて、ここからが本番だよ!」
カネナリは平手を拳に変え、俺に殴りかかってくる。やはりか・・・エースもそうだったが、カネナリも大した能力ではない。俺は拳を体で受け止める。
「な、なんだ貴様は!?」
「お前みたいなやつらが13人なら大したことないな。つぶさせてもらおう。」
俺は反対に拳をカネナリに突き出す。
と、カネナリと一緒にいた少女が俺の前に飛び出てくる。
「お、お前はそっちにいろ!」
「もうよい。」
「な!?」
「もうよいと言っている。」
少女がカネナリを蹴り飛ばす。一撃で気を失ったようだ。
「雑魚と相手をさせてすまなかったな。私はカネナリ。あのデブは私の影武者だ。」
「そんな気配なかったな。」
「まぁ実力があれば、力など隠せるさ。さて、貴様もかなりの力を持っているようだな。私の部下にならないか?不自由はさせぬぞ。」
「俺達は13騎士をつぶそうとしているんだ。勧誘する相手が悪い。」
「そうか。残念だな。・・・魔王までいるのではこちらも一人では分が悪いかもしれないな。あの女はともかく、な。」
「ほう、ドラグのことを知っているのか。」
「まぁな。貴様のことは知らんが、どこから出てきたのやら。そんな力を持っていては狙われるぞ。」
「跳ね返すまでだ。」
「ふむ。私ですら13騎士の中では下位なんだ。私達をあなどらないほうがいい。簡単につぶすなどと言ってくれるなよ。」
少女・・・本物のカネナリから殺気があふれる。
「女に手を出す趣味はない、不利だと思うなら出直せ。」
「ふむ。まぁそうだな。ここは出直すか。では・・・またな。」
「・・・。」
少女が目の前から消える。瞬間移動でも使えるのだろうか。俺はリングから降りて仲間と合流する。
「やはりあいつがカネナリか。」
「そうだ。ドラグは気が付いていたか?」
「うむ。力を感じ取れなさ過ぎた。13騎士はなかなかの手練れが多そうだな。」
「どう思う?」
「ん?たいしたことないだろう。」
「そうか。」
「ただ、他の奴らじゃ決め手に欠けるかもしれんな。」
「俺の能力があってもか?」
「どうだろうな。まぁいい勝負にはなるだろうが。」
「・・・まぁいい。とりあえず後片づけをどうするかだな。」
「そうだな。我らのことを見られたし、ここにいる奴らは全員消しておくか。」
「あんたら物騒すぎるでしょうが!ここにいるのは少なくとも貴族とか要人が多いんだろうから、簡単に消すなんて言って、もしあたしたちがやったってことになったら国を敵に回すわよ!?」
「顔隠してこんなところにいる時点で問題ないとは思うが、じゃあこうしよう。死ぬか、顔をさらして一筆書かせるか、ここにいる人間には選ばせよう。」
「それはいいアイデアだな。さすがリュウだ。」
さて、実行していくか。