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と、いうことで、俺とドラグは無難にルーレットをやることにする。


「これはどうしたらいいのだ?」


「ルーレットに数字が書かれているだろう。球を一つあそこにいる男、ディーラーっていうんだが、ディーラーが投げ入れる。そして、入った数字や色を当てるんだ。賭け方は2倍になるのが赤・黒、奇数・偶数、1~18、19~36を当てる賭け方、3倍が1・4・7・・・や2・5・8・・と・続く数字、または、1~12、13~24、25~36といった1~36を3分割にして当てる賭け方。あとは四つの数字の塊に賭けるやり方、これは9倍、横一列の三つの数字に賭けるやり方が12倍、0や00も含ませられるな。二つの数字が18倍、一つの数字が36倍。基本的なルールはこんな感じだ。基本的にはディーラーが球を投げ入れてから賭けるからイカサマは出来ないって建前だが、この国ではどうなっているだろうな。俺の転生前の国では、イカサマもできた。胴元が勝つようにな。」


「ふむ。なんで38倍じゃないのだ?」


「胴元が勝つ仕組みだろ。数を38倍にすると数をこなせば必ずトントンになるからじゃないか?知らないけどな。」


「ふむ。そうか。いったん見てみよう。」


「おう、俺がやってみるよ。」


迷宮を潜り、素材を売ったりして、なんだかんだ金はたまっていた。現在150万といったところか。この世界の物価と貨幣価値はそんなに元の世界と変わらなかったため、ある程度の生活は問題なく出来るようになっている。

カジノでは金をチップに換え、遊ぶことになっている。1チップ金10といったところで、稼いだチップは金に換えることもできるし、町売りでは無いような希少な装備に換えることもで出来るようになっているようだ。あまり装備品の価値はわからないが。最初に交換するときに手数料が10パーセントかかるようだが、10000チップ以上は手数料がかからないという形だったので、10000チップ分、交換する。


 さて、ルーレットの基本は赤黒だ。それなら0がない分丁半のほうが間違いないのではないかとも思うが、丁半よりルーレットのほうが人が多い。一重に球が転がって入る瞬間がたまらなく好きな人間のほうが多いのであろう。だが、俺はそんな賭け方はしない。誕生日である11月29日、いい肉の日からとって、11と29の周りにベットだ。他の人間が2倍や3倍のラインにかけているところを俺が不思議な賭け方をしているものだから皆がざわついていた。そりゃあそうだろう。俺だって変わった賭け方だと思う。しかし、割と馬鹿にしたものではない。各数字はちょうど真ん中に位置している。よって周りの数字は11の周りの9カ所、29の周りの9カ所で合計18カ所となる。約2分の1の確立だ。そして当たった時の最低が9倍である。100ずつ18カ所に賭けて、当たれば、最低900、最高が11か29に入った時の14400と考えれば、割と悪くない賭け方だと思っている。俺はこの賭け方が好きで、前の世界でも勝ち越していた。ただ、2倍とさして期待値は変わらないだろう。

 

そして締め切りのコールがされた後、玉が落ちる。入った数字は・・・14。つまり俺は合計36倍の3600を獲得する。実際には2倍になっただけなのだが、周りが沸く。

そして俺はもう一度同じ賭け方をする。次の数字は1。残念。0になってしまった。


「ドラグ、やってみるか?」


「・・・ぁあ。」


ドラグに半分。5000を渡す。ドラグは投げ入れたあと、盤を見つめ、0に全ておいた。


「おい、ドラグ、一点じゃ・・・。」


「まぁ見ていてくれ。」


 球が落ちる。落ちた個所は0だった。周りが更にざわつく。


「これでいいのか。簡単だな。」


「ドラグ、お前まさか。」


「簡単だ。タイミングやスピードで落ちる位置はほぼ決まる。はじかれたりもあるかもしれないが、さっきからの入る感じを見ているとそれもあまりなさそうだ。8割から9割はわかるな。」


ドラグの席へ18万のチップが置かれる。ドラグがスキルを使っているのではないかと思ったが、それも言い方的になさそうだ。見る目に関しては流石といったところか。


次の回が始まる。投げ入れられたあとにドラグがまたも一点にチップを置く。年のためなのかはわからないが、半分の9万チップだ。結果は・・・入る。324万チップ。一瞬にして3240万もの金が手に入った計算だ。周りも沸く。

合計で333万のチップを手にしたが、ディーラーの元へ一人の黒服を着た男が寄り、何かを話しているようだった。まずいか・・・?


何か話しかけてくるのかとも思ったが、黒服がディーラーと代わる。凄腕のディーラーなのだろうか。


ドラグも不思議に思ったのか、次のゲームが始まると、33万だけをかけて様子を見るようだ。結果は・・・外れた。賭けたところに入りそうだったものの、はじかれて少し先に入ったのだった。ドラグは結果を見つめ、次のゲームに入る。


ドラグは次のゲームで3点に100万ずつ賭けた。3点は盤上で並びである。賭けた瞬間に新しいディーラーの顔が歪んだ。つまり、ディーラーは回転をかけつつ、入るところを調整できる凄腕のようだ。入る場所がわかっているのだろう。もちろん結果は当たりだ。3600万チップになる。3億6000万の金である。


「ドラグ、もういいだろう。これだけあれば十分だ。」


「そうか。いくらでも当てられるがな。」


 俺達はディーラーにチップの交換を申し出る。


「・・・お客様、裏でお願いしてもよろしいでしょうか?」


「・・・かまわない。連れがいるから連れてくる、ちょっと待っててくれ。」


「畏まりました。」

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