18
俺達はアキナイへ向かう。ドラグの転移でマカイへ向かい、それから車で向かうことになった。ドラグの転移は行ったことのある場所じゃないとできないということで、のんびりした旅になったということだ。
「我は今までマカイから出たことがほとんどなかったから、こういった旅が新鮮だ。」
「魔王も苦労してるのね。」
「そうだぞ。苦労しかないぞ。先代がバカだったからな。」
「先代は先代で色々な苦労があって、そういった形になってしまったんじゃないか?数を束ねるのは大変だぞ。」
「いや、あいつの場合はただの戦闘狂だ。」
先代魔王とやらに会ってみたいと思ったが、死んでしまったのではしょうがない。
「アキナイはいろいろ娯楽があるのだろう?我もいいものがあれば、マカイに取り入れたいと思っている。」
「最高の場所よ。あたしが案内してあげるわ。まずはアキナイきっての繁華街、カブキに向かいましょう。」
・・・ところどころ色々な名前が前世と連動しているのは気のせいなのだろうか。
「カブキとやらにはどういったものがあるのだ?」
「行ってからのお楽しみね。とにかく楽しいわよ。まぁ裏の世界もあるけどね。繁華街ってそういうもんよ。ヤクザが裏で仕切ってる部分もあるの。」
「ヤクザとは?」
「説明はむずかしいから見てちょうだい。」
「わかった。」
ヤクザはヤクザなんだな。どんな奴らがいるのか楽しみだ。
なんだかんだで会話していたらカブキへ着いた。煌びやかな街並みは前世の歌舞伎町を彷彿とさせる。アキナイが首都圏で、イクサバが田舎、マカイとクチナシが他国って感じか
「まずはカジノの行きましょ。」
「カジノがあるのか。」
「リュウはカジノ知っているの?」
「前世と同じ認識であればだがな。」
「ふーん。まぁアキナイの娯楽は転生者のエンジニアがほとんど考案したって話だったし不思議じゃないか。」
「何?転生者のエンジニアってソウマのことだよな?我はそんな娯楽があるなど聞いておらん。」
「ドラグは転生者を知っているのか?」
「我は長命だからな。我が魔王になってすぐにソウマとは知り合った。忙しくてあまり関わりは持てなかったがな。」
「そうか。」
「そりゃああんまり関わりが持てなかったんじゃしょうがないじゃない。」
「まぁトレイルの言う通りだな。」
そんな無駄話をしながら歩き、カジノへ着いた。俺はカジノは日本には違法でしか存在しなかったし、あまり興味がなかったため、行かなかったが、ここのカジノはラスベガスにあるようなカジノだった。
「さて、あたし、カジノ大好きなの。悪いけど2時間くらい自由行動にしましょう。」
「わかった。」
「我はどうしたらいいかわからないぞ。」
「ドラグは俺と一緒に動いていればいい。基本的なルールならわかる。」
「そうか。助かる。」
カジノはルーレット、バカラ、ポーカー、ブラックジャック、スロットという基本的にものに加え、丁半に麻雀、チンチロにまである。中でも、圧巻だったのが闘技場があり、勝者を予想するというものだった。
またエキシビジョンマッチというのもあり、絶対的なチャンピオンがいるらしく、そいつにはいつでも挑戦できて、勝つ自信があれば自分に金をかけ、戦えるようだった。たいていがチャンピオンにオッズが傾くらしく、1.01倍と100倍以上ということがざらで未だに勝ったものはいないとのことだ。
「ほう、我が戦って、全額を我にかければ大儲けだな。」
「それじゃ魔族があんまりいい印象を得られないんじゃないか?」
「・・・やめておこう。」