14、魔王
扉の先には整備された通路とアリが一匹。アリはこちらを見て、ついてこいとばかりに、ゆっくりと進みだした。俺は後を付いていく。
そして大きな広間にでた。かなり広々としていた。
「いらっしゃい。」
正面から声が聞こえ先に進む。そこにはまさに玉座だった。扇子を持った和服に身を包んだ女性が椅子に座っており、その周りを兵士が囲っていた。和洋折衷という感じだが、違和感が強い。
「よくきたでありんすねぇ。わっちはこのダンジョンの管理者じゃ。」
アリだけにアリんすなんだろうか?
「管理者とは?」
「ダンジョンのラストボスといったところかのう。ここが最下層でな。」
「最下層?60階層の骸骨が101階層が最下層だと言っていたぞ。ここは70階層だろう。」
「いや、ここが101階層で間違いないぞ。裏道からあのアリに案内させたんじゃからのう。あの扉自体が転移門となっていたんじゃ。」
「何?俺の連れはどうなっている?」
「安心せい。こちらから手は出させておらんよ。向こうは不思議がってるんじゃろうがな。」
「そうなのか。ならいいんだが、で、俺に何の用だ?」
「お主、強いのう。わっちでも勝てぬかもしれんくらいじゃ。」
「・・・。」
「でな、お主をマカイに招待しようと思っての。」
「何?」
「わっちも一緒じゃ。強い男は好きじゃからのう。さて行こうかの。」
「いや、連れがいるといっただろう。あいつらは?」
「後で会えるじゃろうて。さて、行こうかの。」
「まて!俺はいくとは言って・・・」
途中まで言ったところで景色が変わる。
目の前には別の玉座が広がっていた。ただし、規模は全然違う。そして、その玉座に座るのは、明らかに異様な雰囲気を出したやつだった。
「魔王様。お久しぶりでありんす。」
「久しいな。サクラコ。何用か。」
「かなり珍しい人間が我がダンジョンに迷い込んでおりまして、お連れした次第でありんす。」
「ほう。たしかに異常な能力を持っておる。お前、名は?」
「龍だ。」
「いい名だ。お前、転生者だな。」
俺は動揺した。なぜあいつにそれがわかるのか。
「我はすべて見通せるのだ。能力も高いの。サクラコ、こいつが更に力をつけたらお主でも敵わんぞ。」
「ただの人間にそこまでの能力とは、わっちは聞いたことがないでありんすね。」
「前に来た転生者は能力こそなかったが、我らには到底たどり着けない領域にいた。奴も同じなのであろう。」
「なるほどでありんす。」
「お前は何者なんだ?」
「魔王様に向かってお前とは、失礼な話じゃ。」
「まぁよい。我はこの魔界の王、ドラグラド・フレードだ。ドラグラドでも魔王でも、好きな風に呼んでくれ。」
「ずいぶんフランクなんだな。」
「リュウには願いがある。ぜひ聞いてくれると助かる。」
「内容次第だ。それに、ドラグは俺より強いだろう。俺が解決できるならドラグでも出来るんじゃないのか?」
「ドラグ!?いい呼び名じゃないか!?なぁサクラコ!?」
「魔王様、言葉使いが!」
「!?すまんすまん。さてリュウよ。では頼みを話そう。」
ドラグは話し出す。そんなことより、話し方無理しているなら素で話せばいいのにと思った。