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10、トレイル

「さて、じゃあ出発しましょうかね。」


「あぁ、これからよろしく頼む。」


「よろしくお願いします!」


「ところでスティ、その変な語尾は癖なのか?」


「いや、支部長たるもの礼儀正しくという、冒険者には関係ないような本部の方針ですかね。」


「じゃあもう仲間なんだし、変な言葉遣いはやめてくれ。気になる。」


「おーリュウさんがそう言ってくれるならやめようかね。」


「さん付けもしなくていい。リンもだぞ。仲間ならそんなこと気にしなくていいんだ。」


「わ、私は癖なので大丈夫です!」


「俺はリュウと呼ばせてもらうよ。」


「あぁ、そうしてくれ。」


「ところで、お前ら、どうやってここまで来たんだ?」


「歩いてですけど・・・」


「じゃあ足はないのか。」


「足・・・まさか、スティさんは車を持っているのですか!?」


「そりゃ今は町同士の移動は車がなきゃ不便だろ。」


「そうだったんですね。クチナシでは地位がある人しか持っていなかったので、よく知らなくて。」


「ふーん。今では移動が必要な人はほとんど持ってるよ。ダンジョン以外のとこは車が走れるに整備もされているしな。」


「そうなんですね。便利ですね。」


「車もエンジニアが作ったのか?」


「そうらしいな。車は今はアキナイで生産されている。」


「そうか。」


「とりあえず。うちに寄って車回収して出発しよう。」


3人でスティの家へ向かった。


「ここが俺の家だ。」


「ずいぶん立派な家だな。」


「まぁいろいろあってな。金はあるんだよ。」


いろいろという部分が気になったものの、俺も必要最低限のことしか伝えていなかったため、詳しくはきかないことにした。


「じゃあ乗ってくれ。かっ飛ばしていくぞ。とりあえず一通りの町に寄っていこう。もしかしたら俺の知らない猛者もいるかもしれないからな。」


「よろしく頼む。」


車で整備された街を行く。途中はモンスターも出ず、快適な旅だった。隣の町へ着く。


「ここもランドと同じ、大したものはないところだ。ただ地下迷宮ダンジョンがあってな。冒険者の中には、ここで力をつけてから出発するものも多い。」


「ほう。俺らも力をつけていくか。13騎士は強い者も多いんだろう。」


「リュウなら問題はないと思うが・・・せっかくだしレベルでも上げていくか。リュウはまだまだ簡単に上がるだろうしな。」


「俺ならってどういうことだ?」


「レベルは上がれば上がるほど、上がりにくくなるんです。目には見えませんが、経験値というものがあって、強いモンスターを倒したほうが多くもらえるみたいです。」


ますますゲームに似ていると思った。


「ダンジョンは下に行けば行くほどモンスターも強くなるからな。地下迷宮は終わりがないともいわれている。今までの最高が56階層だ。俺が知っている限り。」


「スティさん、詳しいんですね!」


「俺の記録だからな。」


「ぇえ!?」


口ぶり的にそんな気はしていた俺は特に口を出さなかった。


「まぁ俺だけの記録ではないがな。昔一緒だった奴ら5人での記録だ。俺が資格持っているから50階層まではスキップできるが、どうする?」


「50階層はやばいのか?」


「やばかったというのが本音だな。なにせ強力な魔法を使ってくる奴らがわんさかいてな。リュウがいるからその心配はないと思うが。」


「なら50からにしよう。」


「おお。」


俺たちは車を停め、ダンジョンの受付に向かった。


「スティ!久しぶり!」


ダンジョンの受付には若いのか中年なのかわからない女性がいた。ただ、容姿は美しく、グラマーな女性だった。


「久しぶりだな。トレイル。」


「あんたどうしたの?支部長が仕事ほったらかしてこんなとこまでドライブ?」


「いや、町は大丈夫だ。これからこいつらとクチナシぶっつぶしてやろうかと思ってな。」


「は?」


「ドルンでサクラを拾って、中央とマカイとアキナイに寄ったあとにクチナシに突撃しようと思ってんだ。一応、仲間を増やさないと囲まれて死んじゃいましたってのはつまらないしな。こいつがいれば大丈夫だとは思うが。」


スティが俺を見る。


「なに?あんたがそんなこというのめずらしいじゃない。そんなに強いの?見たことないけど。」


「転生者だ。」


「はぁ!?転生者!?」


「俺が言うんだから間違いない。」


「そりゃあんたが言うんだから嘘じゃないのはわかるけど・・・」


「スティさん。この方とお知り合いなんですか?」


「昔の仲間だったやつだ。名前はトレイル。町長兼ダンジョン責任者だな。」


「初めまして、トレイルよ。」


「トレイル、この人がリュウ、転生者だ。それと仲間のリン。」


「リュウだ。よろしく頼む。」


「リンです。全魔導士です。」


「よかったらステータスとスキル教えてくれない?あたしのも見せるから。」


「構わんぞ。」


おれはトレイルにステータスとスキルの説明をする。


「化け物ね。これなら新記録いけちゃうじゃない。」


「そうだな。それにまだレベル11だ。レベル上げも兼ねて潜ろうと思ってな。」


「面白そうね。あたしも一緒しようかしら。」


「ほかのダンジョン攻略者になんかあったときどうするんだよ。」


「閉鎖するからいいわよ。リュウさん。よかったら一緒に連れて行ってくれない?」


「一応、ステータス確認させてもらっていいか?」


「いいわよ。」


ネーム:トレイル

ジョブ:スナイパー

レベル:46

ステータス

パワー:77 B

ガード:66 C

スピード:82 A

マジック:54 D


パッシブスキル

夜目

絶対命中

空中移動


スキル

属性付与

スナイプ


「強いな。」


「俺と一緒に56階層まで行った仲間だ。そりゃ強いさ。」


「あたしの場合遠距離支援が主だから、なかなか仲間がいないと大変なんだけどね。」


「またユニーク・・・私の存在が薄れていく・・・」


「リン、気にするな。俺の仲間だった奴にはⅠの職業だっていた。」


「え、そうなんですか?」


「そいつにも声をかけるつもりだから、そのうち会えるさ。」


「あ、はい。」


「とりあえず、今は入ってる冒険者いないし、いったん閉鎖するわ。それとリュウさん。あたしも縄張り指定してくれない?」


「かまわんぞ。」


俺はトレイルを縄張り指定した。胸の谷間あたりにリュウのマークが浮かび上がる。


「・・・リュウさんのエッチ。」


「・・・俺が指定したわけじゃないんだがな。」


いささか変な空気になりながらも、俺たちは4人で50階層へと向かった。


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