表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦士の歌  作者: Iz
23/24

よぞらのほしの おひめさま

むかしむかし

せかいのまんなかに

やみのくにが ありました。


よぞらにうかぶ たくさんの

きらきらひかる ほしのように


そこではひとと ひといがいとが

なかよくいっしょに くらしていました。


でもそのうちに ひとがたくさんにふえて

じぶんたちだけのくにを ほしがりました。


たくさんのひとの あつまりは

そのうちおおきな ひかりになって

やみをはらい ひかりのくにになりました。





やみのくにの さいごのおうさまには

ちいさなかわいい おひめさまがいました。


おひめさまは とてもちいさくかよわく

いまにも しんでしまいそうでした。


おうさまは むすめをたすけたくて

くにじゅうに ふれをだしました。


すると あるものが いいました。

きたのにしの はてにあるやまの

ふもとのみずうみの ふるいしろには

じゃあくなあくまが すんでいる と。


あくまは いのちとひきかえに

なによりだいじなものを すくうのだ と。





おうさまは じぶんのいのちより

むすめのことが だいじでした。


そこであくまに おねがいしようと

くにいちばんのきしを つかいにだしました。


くにいちばんのきしは ながいたびをして

きたのにしの はてにあるやまの

ふもとのみずうみの ふるいしろにすむ

じゃあくなあくまに あいました。


くにいちばんのきしは じゃあくなあくまに

おうさまのおねがいごとを つたえました。


じゃあくなあくまは いいました。



「その王とやら、娘が何より大事なら

 どうして自ら頼みに来ないのだ。


 娘より王の責務や体面が大事かね?

 半端な願いを聞いてやる気はない。失せろ」



くにいちばんのきしは

じゃあくなあくまの いったことを

もどっておうさまに つたえました。


おうさまははずかしくなって なきました。

そしてくにとおしろと けらいをすてて

おひめさまをかかえ ながいたびにでました。


とおいとおい はるかとおい

きたのにしの はてにあるやまの

ふもとのみずうみの ふるいしろにすむ

じゃあくなあくまに あうために。





おうさまは だいじなむすめをかかえ

くるひもくるひも あるきました。


くるひもくるひも あるいたけれど

きたのにしの はてにあるやまの

ふもとのみずうみの ふるいしろは

ずっと とおいままでした。


それでもおうさまは あるきつづけ

やがておひめさまを かかえたまま

いっぽもうごけなく なりました。


おうさまはいのり さけびました。

わたしのむすめを かわいいむすめを

このこのいのちを たすけてくれ と。


おうさまは ずっと さけびつづけ

やがて こえが かれてしまいました。


おうさまは ずっと いのりつづけ

やがて めが みえなくなりました。


それでもおうさまは おひめさまをかかえ

ずっと ずっと ねがいつづけました。





「王よ。そなたの願い、聞き届けよう」


どこからともなく こえがして



「だがその子の肉体はとうに寿命だ。

 今の私の力ではその子の魂しか救えない。


 宿るべき肉の器を失って

 魂だけとなったその子が果たして

『生きている』と呼べるのかは判らぬ。

 

 だが魂だけでも残っていれば

 遠い先、時の彼方のその果てにて

 新たな器を用意してやれるかも知れん。

  

 そなたと共に今旅立つもよし、

 未来に懸けて永らえるもよし。

 

 選ぶのだ、王よ。

 望み通りにしてやろう」



じゃあくなあくまは そういいました。


おうさまはこころから ねがいました。



「この子に生きて欲しい。

 この子に幸せになって欲しい。

 

 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、

 心に様々の彩りと思い出を宿し、

 この世に生まれて来て良かったと

 心の底からそう想い、笑って欲しい」



そしておうさまは ちからつき、

じゃあくなあくまは いいました。



「王よその願い、叶えよう。

 そしていつかきっと、

 この子に伝えよう。


 そなたの父は命を懸けてそなたを救ったと。

 そして心からそなたの幸せを願っていたと」



じゃあくなあくまは おうさまのかかえた

だいじなおひめさまに てをかざしました。


おひめさまは きらきらと ひかりかがやく

あおいほうせきへと すがたをかえました。



こうして やみのおうこくの

さいごのおうさまの おひめさまは

ひかりかがやく よぞらのほしのような

あおいほうせきに なりました。


そしてほうせきになった おひめさまは

とおいさき ときのかなたの そのはてまで

ながいながい ねむりにつきました。



いつのひかふたたび めをさまし

しあわせになる そのときまで。




挿絵(By みてみん)

本話掲載の画像は

Yunika様の2018年の著作物です。

本画像に係る諸権利はIzがこれを有します。

無断転載・二次配布・加工等は禁止致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ