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3話 僕、この世界を学ぶ

 ー少し伸びた髪が風に吹かれた。記憶を失った…いや、”思い出した”場所でゆっくりと考える。

 前世を思い出した日から約2年、僕も今日で8歳になった。あの後、父様や母様にこの世界のことを教えてもらい最低限の知識をつけた。

 まず、この世界の名前は「アースヴァルス」。女神・フィリアーナと邪神・カルウァが創りあげた世界で人間以外にも魔族、精霊、獣人など様々な生物がいるらしい。

 そんな世界を20年前、魔族の王”魔王”が強大な力を使い支配し始めた。それから2年間、魔王に世界を支配され人々は死を待つしかなかったが、女神の加護を与えられた10人によって魔王が倒され、平和になった…というよくRPGによくある話だった。

 その魔王を倒した十英雄の内、2人が父様と母様で、父様に関しては異世界から召喚され、尚且つ彼らのリーダー各として戦ったらしい(…いるじゃないか!僕以外の異世界人!…まぁ、実の息子が精神年齢20を超えているのを知れば色々気まずくなると思うから黙っていよう)。

 他にも、大陸や国の名前を教えてもらい、ここがウァルガナ大陸で近くにある街は”始まりの都・アーカス”だということを知った(父様はそこで召喚された)。

 …こうして様々な事を学び、言葉もスラスラいえるようになってようやくこの世界に馴れ始めた…が、


「エディ!ここに居たのか。変な奴に会ったりしていないか?」

「アレクったら…いつもエディ君と一緒にいないと落ち着かないの?あっ、こんにちはエディ君」

「相変わらずですね、君は。ああ、こんにちはエディ君」

「こんにちはエミリアさん、フェイさん。兄様、少し外に出ていただけですよ?心配しすぎです」


 はい、あの時から兄様が僕が引くぐらい過保護になってしまいました。…どうやら前々から少し過保護だったのがあの日からカンストしたらしく、よく僕に構ってくるようになった。そのせいで兄様が通っている学園では、超絶ブラコンの残念なイケメンとして有名になるという悲しいことが起きている。

 それでも、友人である「エミリア・ルティナ」さんと「フェイ・アルフォート」さんは一緒にいてくれているので1人にはなっていないらしい。この2人は、兄様を十英雄の息子として見ておらず友人として接しているので僕も仲が良い(まあ、弟みたいに接してくるんだけど)。


「エディは可愛いから、変な奴が近寄って来たらいけないと思ってな」

「まぁ、それは分かるわ」

「確かに」

「…可愛いよりかっこいいと言われるほうが嬉しいです」


 何故だか分からないが、兄様たちはフツメンの僕をよく可愛いと言っている。髪が白くて眼が銀色なだけで他は前世と変わっていないのに…何でだろう?(まあ、鈴と響は美男美女だったけど…元気かな2人とも)。

 そんなフツメンの僕と比べて、兄様は父様と同じ黒髪黒眼の(さわ)やか系イケメンだし、エミリアさんとフェイさんも赤髪碧眼の美少女と金髪青眼の美少年だからなぁ…一緒にいると存在感が薄くなりそうなんだよね(ちなみに、父様は兄様を大きくした感じで、母様は金髪で紫の眼をした(はかな)い系美人だ)。


「それで、どうしたんですか?今日って何かありましたっけ?」

「何言ってるんだ!今日はエディの誕生日というめでたい日じゃないか!」

「…それもありますが、エディ君、今日は”目覚めの儀式”をやるんですよ?」

「学園が早く終わるから一緒に”目覚めの森”に行こうって言ってたじゃない。…まさか忘れてたの?」

「…………あっ」


 ”目覚めの儀式”とは、子供が8歳の誕生日を迎えると行う儀式で、身体に宿っている属性を”目覚め”させるのだ。一度行うと、目覚めさせた属性と同じ魔法が使えるようになる。

 属性は10種類あり、炎、水、風、地、雷、氷、樹、時、光、命とある(他にも何種類あるが、それは限られた一族か魔族にしか現れないため関係はない)。

 勿論兄様たちも(おこな)っており、エミリアさんが炎と命属性、フェイさんは地と氷属性、そして兄様は全属性という風に目覚めている。

 …前世はそんなの無かったからすっかり忘れてた。


「ごめんなさい…景色を見ていて忘れてました…」

「本当に忘れてたの!?」

「これは…ここに来て正解でしたね」

「大丈夫だエディ、そんなこともある。それに今から一緒に行くから丁度良かったじゃないか」


 …本当に兄様たちが迎えに来てくれて良かった。忘れたままだったら迷惑かけていたからな。


「さ、行こうエディ。父さんも母さんも待っているからな!」

「まだ時間もありますし、ゆっくり行ってもいいでしょう」

「今日はエディ君しかやらないしね」

「…はい!今行きます」


 これ以上待たせるわけにもいかないから早く行かなくちゃね、そう思いながら僕は立ち上がった。 

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