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魔法銃士ルーサー、ジョロネロ国での二日目を終える

 俺達はジョロネロ国で予定していた二日目の視察を終え、ジョロネロロイヤルホテルへと戻っていた。

 俺とダイヤとミツールは並んでロビーを歩き、自分の部屋へ繋がる階段へと向かう。


「ふぅぅ、しかし色々心配していたジョロネロ国視察も後一日。

 思えばあっという間だったな」

「凄いしんどかったというか、私超疲れたわ。

 衝撃的な事のオンパレードだったし」

「今日が終わるのが本当に長かったですよ……」


「そうかぁ。

 俺くらいの年齢になると時間が経つのが早く感じるからなぁ」

「じじぃみたいな事言ってるし」

「どのくらい早く感じるんですか?」


「着ている服があっという間にボロボロになっていくというか、触れるものが皆あっという間に腐り落ちていく感じだな」

「300年生きたトレントみたいな事言ってるし」

「ルーサーさん大袈裟ですよ。

 ルーサーさん時々真顔で冗談言うから分かんないんすよ」


 雑談しながら俺達は自分の部屋のある階層へと辿り着いた。

 で、ミツールだが昨日はろくに寝ていなかったし、今日はミツールのミラクルで裁判長が考えを変えた功績もある。

 仕方が無いからやっておくか。


「じゃぁちょっとまず、ミツールの部屋チェックから始めるか。

 アサシンが居ないか念のためにな」


 俺はミツールの宿泊する部屋のドアを開けて中へと踏み込む。

 ミツールとダイヤも後に続いて恐る恐る入ってきて周囲を見回している。


「…………ふむ。

 やっぱミツールがまたレベルが上がったら儲けものだしこのままにしとくか。

 頑張れよ、ミツール。

 ダイヤ、戻るぞ」

「ええええ!? ちゃんとチェックして下さいよルーサーさん。

 マジっすか?

 鬼畜っすよ」


 ぶつくさ言うミツールを置いて、俺とダイヤは部屋から出てドアを閉めた。

 そしてダイヤは今日も俺の部屋に入り、荷物を置いてから俺に言った。


「ルーサーさん、さすがにちょっと可哀そうよ。

 ミツールは昨日まともに寝てないんだし、今夜こそやられちゃうかも知れないわよ?」

「あぁ……居なかったんだよ。

 侵入しているペッパーワーキャットは一匹もな。

 何故かは分からないがな。

 俺の気配探知はマスターレンジャーほどではないが、熟練したアサシンでないそこらのペッパーワーキャットくらいはすぐに分かる。

 あの部屋には居なかった」


 ***


 ミツールは自分の部屋で荷物を置き、まず木刀を手に取り、手裏剣をポケットに入れた。


 バサッ!


 布団をめくる。

 なにも居ない。


 バンッ! バンッ! バンッ!


 念のため布団と等間隔に三か所ほど木刀でぶっ叩く。

 反応なし。

 ベッドの下をチェックした後、風呂場へ移動して手裏剣を構えながら天井をチェック。

 何もない。

 机の上に伏せられていた不自然な大きな金属のボウルをそ――っと開ける。

 中にはフルーツ盛り合わせとステーキをメインにした豪華ディナーが置いてあった。


「何だこれ? サービス?」


 それでも気を許さずに周囲を伺っていると突然何者かがドアをノックする音が響き、ミツールはビクッと身構える。


 コンコン! コンコン!


 ミツールは木刀を構えたままドアを開けた。


「なんすか?」

「異世界転移者のミツール様で間違いないかミャ?」


 現れたのはセクシーな衣装を着た、雌のペッパーワーキャットであった。


「そうだけど何か?」

「特別サービスをしに来たミャ。お代は別の方に頂いているので気にしなくてもいいミャ。

 どうかプレゼントを受け取った貰いたいミャ」


 セクシーな雌のペッパーワーキャットは両手を左右に開いて胸を反らす。

 巨乳の胸は、リボンのようなドレスで包まれていた。


「プレゼント?」

「お兄さん、どうかリボンをほどいてプレゼントを受け取って欲しいミャ」


 ***


 その夜、やはりダイヤは俺のベッドで一緒の布団で寝た。

 なんか押し当てられてる感があったが、特に何事もなく一夜が終わった。

 翌日、最終日の朝。

 俺とダイヤは再び準備を行い、部屋から出てミツールの部屋の前へ起こしに向かった。


 ガチャ


 呼ばれる前にミツールが準備万端で現れる。


「あ、おはようございますルーサーさん。

 おはようダイヤ」

「おぅ、おはよう」

「おはよう」


 なんかミツールの顔がテカってるような気がする。


「ミツール、お前昨日はちゃんと眠れたか?」

「えぇ、大丈夫でしたよ?」

「……」


「ダイヤ、なんかミツールの様子が変わったか?」

「昨日までより落ち着きが有るような気がしますね」

「いや、気のせいでしょう」


「本当に大丈夫だったか?」

「大丈夫ですよ、ルーサーさんも心配性だなぁ」


「いやいや、明らかに何か変わってる気がするぞ。

 ミツール、もう一度例の魔法使ってみろ」

「仕方ないですねぇ。ステータス・オープン」


 ―――――――――――――― ミツールのステータス――――――――――――――

 レベル:6

 種族:人間?

 筋力:42

 知力:13

 俊敏さ:36


 【スキル】

 剣術:レベル5

 寝技系格闘術:レベル3

 手裏剣・スローイング:レベル13

 威嚇:レベル5

 気配探知:レベル3

 フェイント・テクニック:レベル5

 ハイディング:レベル5

 交渉術:レベル6

 男:レベル1   <----『New』


 【ユニークスキル】

 屁理屈:レベル32

 ティッシュ・スローイング:レベル45

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ふっ」

「ええぇぇ、何!?

 男って何!?

 ねぇミツール男レベル1って何!?

 キャ――!

 何があったのミツール!?」

「いやもう、そんなのいいじゃないか。

 ルーサーさん、速く任務に行きましょうよ」


「まぁ多くを聞く気は無いが……、どんな感じだった?」

「えぇ……モフモフかなぁ」

「キャ――ッ!

 モフモフって何ぃぃ!?

 モフモフって!?」


「もういいだろぉ?」


 バンバンッ!


 俺はニヤけながらミツールの背を叩いて言った。


「任務に向かうぞ」


 ***


 ルーサー達が3階でやり取りしている頃、迎えに来ていた外交官マルフクは人目を伺いながらジョロネロロイヤルホテルの支配人とコソコソ話をしていた。


「ちゃんと異世界転移者のミツールをVIPとして扱ったかミャ?

 何度も言うが彼はジョロネロ国を滅亡から救った英雄だミャ。

 失礼な扱いは許さないミャ」

「それはもう、不審な奴が居ないか彼が入室する直前まで5分おきにチェックしたし、豪華ディナーやデザートまで部屋に用意させましたミャ」


「そうか、それなら問題無しミャ」

「さらに最高級コールペッパーワーキャットもデリバリーしておきましたミャ」


「……いや……そこまでしろとは言ってないミャ」

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