魔法銃士ルーサー、畑の様子を見る
俺は新しい銃を天才鍛冶仙女のメイちゃんに作ってもらった後、素材を提供してくれたたけのこ村のお婆さん達に礼を言って別れた。
『エイジド・ラブ』と『デス・オーメン』はもうすでに俺の体の一部となり、腰の左右のホルスターに収まっている。
大量の弾丸と、どでかいバルカン砲とやらはおたゑちゃんの家の裏にある蔵の中に置かせてもらった。
で、次に向かったのは俺がノーバちゃんに分け与えて貰った畑だ。
毎朝欠かさず水やりをして、夕方には丁寧に雑草も抜いてある。
そろそろ変化が出てきた頃だ。
「ようしっ、そろそろ芽が出ただろ」
―――――――――――― ルーサーの畑 ―――――――――――――
拡張レベル:1
土質:黒土
追加肥料:無し
□□□□□□□□□
□葱葱葱□□□□□
□葱渋葱□玉玉玉□
□葱葱葱□玉嫌ニ□
□狸根ママ 玉ニニ□
茎茎茎茎赤白白白白
渋:スモールトレント。高さ50センチほどまで伸びて顔もはっきりわかる。
射程2で侵入する動物をぶったたいて追い払う。
射程5に近づいた動物には顔と声で威嚇する。
なんか人ごみにもみくちゃにされた時のような、すっごい渋い顔してる。
嫌:スモールトレント。すっごい嫌な顔してぐったりしている。
もう一匹のトレントと比べると頬がこけて口開けっぱなしで、ぐにゃりと曲がって
やる気が無い感がハンパない。
葱:葱。高さ30センチほどまで伸びてきて青々と茂っている。
ニ:ニンニク。高さ30センチほどまで伸びてきて青々と茂っている。
玉:玉ねぎ。葉っぱ部分が高さ20センチほどまで伸びてきて青々と茂っている。
赤:キュアハーブ。6枚ほどの大きな葉っぱが高さ5センチくらいまで出てる。もう少しだ。
茎:芽が出た形跡があるが、上から丸ごと食いちぎられて茎しか残ってない
白:ホワイトフラワー。高さ20センチくらいまで葉っぱが伸びている。
マ:マンドレイク。高さ10センチくらいまで葉っぱが茂っている。
根:マンドレイクが引っこ抜かれて転がっている。まだ成長途中なので根はちっさく5センチほど。
狸:狸の死体だ。口には隣の引っこ抜かれたマンドレイクの葉っぱと茎を咥えたままだ。
「なんじゃこりゃー!
狸が死んでるぞ」
ノーバちゃんが俺に歩み寄り、畑の状態を見て言った。
「あれまぁ。
マンドレイクば引っこ抜こうっちして、叫び声ば聞いて死んだったいろうね」
「そ、そういやマンドレイクってそういうもんだったな。
無防備に引き抜いたら即死効果を持つ叫び声を上げると……。
俺も気を付けないと。
つーか、ハーブ食われてるなぁ。
これも狸が食いやがったか」
「ハーブは栄養たっぷりだから狸も大好物ばい。
動物も馬鹿では無かから、トレントん射程外んばきっちり狙っち食われとるね」
「シビアだな。
つーかスモールトレント2体ともすんごい顔してるけど、あんなもんだっけ?」
俺は指で2体のトレントの頬を突いてみた。
「ンッバハァ――! ゼェ~、ゼェ~」
「ホェッ、ヘッ、フゴ……」
変な鳴き声を上げて少し揺れる。
「なんか元気が無いように見えるなぁ」
「あっはっはっは!
トレントは葱類ん匂いはすかんたい。
彼らにっちっちこん状態は地獄ん拷問ばい。
葱はまちっと遠くに離して置かんっち」
「ニンニクが臭過ぎてあんな顔になってるのか。
オゥケィ!
なんとなく分かって来た。
只の畑にも戦略が必要という事だな?
じゃぁ配置換えするか」
***
ザクッ! ザクッ! ザクッ!
「赤ハーブはまだ育ちきっちなかばってんも、若い葉っぱにも栄養の一杯あっけん。
煎じて飲めば体によかよ」
「そうだな。
ちょうど今療養中だし、この赤ハーブは持って帰るか。
ノーバちゃん、もうちょっとハーブの種貰っていい?」
「よかよ」
―――――――――――― ルーサーの畑 ―――――――――――――
拡張レベル:1
土質:黒土
追加肥料:無し
マ葱葱葱葱葱葱葱マ
ニ黄黄黄黄黄□□葱
玉赤渋豆豆赤赤赤玉
玉黄黄黄豆豆嫌黄玉
ニ□青青青青青青玉
マニニ 赤白白白白マ
渋:スモールトレント。高さ50センチほどまで伸びて顔もはっきりわかる。
射程2で侵入する動物をぶったたいて追い払う。
射程5に近づいた動物には顔と声で威嚇する。
渋い顔してたが、今はなんか鼻の下伸ばして人をおちょくるような変顔してる。
嫌:スモールトレント。
すんごいニッコニコ顔に変わった。
葱:葱。高さ30センチほどまで伸びてきて青々と茂っている。
ニ:ニンニク。高さ30センチほどまで伸びてきて青々と茂っている。
玉:玉ねぎ。葉っぱ部分が高さ20センチほどまで伸びてきて青々と茂っている。
赤:キュアハーブ。埋め直したので種の状態だ。
黄:ヒールハーブ。種。
青:マジックハーブ。種。
白:ホワイトフラワー。高さ20センチくらいまで葉っぱが伸びている。
マ:マンドレイク。高さ10センチくらいまで葉っぱが茂っている。
豆:ソラマメの種
「これでよし。
狸は持って帰って食うかな」
「なしマンドレイクば四隅に置いたと?」
「戦略だよ。
狸はキュアハーブを端っこからかじってただろう?
つまり動物は畑の植物をはじっこから食い始める。
そうするとしょっぱなにマンドレイクを引っこ抜いて即死するわけだ。
そうなると今度はその死体が他の動物に警戒心を抱かせることになり、さらに寄せ付けない。
そして中央部分ではスモールトレントが害獣を全て追い払うという作戦だ」
「うふふふふ。
上手くと行くとよかねぇ」