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第四十六話

最近の雨が鬱陶しいと感じている朝廷です。

満員電車で雨に濡れた傘とか最悪ですよね。

まぁ気を取り直して第四十六話スタートです!

目を覚ますと見たことない天井だった。

「ここは……」

段々と頭がすっきりとしてくる。

俺はリュカさんと戦って【龍剣】を使ってそれで……

「そっか。俺負けたのか……」

そうだ俺は負けたんだった……

「あ、起きた?アレン君?」

「おぉ起きたんだなアレン。」

横を見てみるとポーラさんとカイさんが立っていた。

「ポーラさん、カイさん。ここは何処ですか?」

「ここはギルドの中の医務室よ。ギルドで倒れた人や、怪我した人は一旦ここに運ばれるの。」

「お前はリュカとの決闘の後ぶっ倒れてここに運ばれたって訳。大体3時間くらい寝てたな。」

3時間か……ゲームの中で「寝る」っていうのはなんだか不思議な感覚だ……

「また今度。次は本気で……」

「え?」

「リュカが伝えろってさ。」

「リュカさんが……」

伝言かぁ。それにしても「本気」かぁ。

「俺本気だったんですけどね……」

「あいつも何か感じるところがあったんだろ。あの後の会議中も結構ボーッとしてたし。あっそうだアレン。」

そう言うとカイさんはある一枚の紙を渡してきた。

「これは?」

「強くなりたかったらそこに書いてあるところに行ってみろ。そして白ランクになって、俺達に挑みにこい。じゃあな。」

そこまで言うとカイさんは部屋の外に出ていってしまった。

残ったポーラさんはため息をついてからしゃべり始めた。

「ごめんね。カイはあぁ見えて少し不器用なところがあるからあれでも励ましてるつもりなんだよ。」

なるほどそういうことだったのか……

「すみません。変に心配かけちゃって……」

「いやいや。良いんだよ元々こっちから吹っ掛けた勝負なんだから。それに良いものも見れたからね。」

「良いもの?」

「うん。あそこまで本気を出してるリュカ久し振りに見たからさ……更に古代魔法を使うだなんて思ってもなかったし……」

「そうだったんですね……」

「だからそこまで本気を出させたアレン君にはちょっと期待をしているんだ。」

「え?」

「だから次会うときは白ランクとして会おう。」

俺は少しうつむきながら答えた。

「……はい!」

「うん。元気な返事大変結構!それじゃあここは疲れがとれるまで使ってて良いからね。」

「すみません。何から何までありがとうございます」

「良いの良いの。それじゃあね。」

そう言い残すと部屋の外にてでいった。

「ふぅ。」

「マスター……」

「あぁそうだね……あんな啖呵切ったのに負けたかぁ……」

「マスター……!」

「カッコ悪。本当に馬鹿みたいじゃん。」

「マスター。ごめんなさい私が弱いせいで……」

「違う違うよ。イウは充分頑張った。弱かったのは俺自身だ……」

目から涙がこぼれる。

この涙は俺と「俺」のものでもあるんだろう……

悔しい……悔しい悔しい悔しい……!

どこかで慢心してた!イウがいるから!古代魔法が使えるから!種族が特殊だから!

だからだ、だから俺は負けた。

これは身から出た錆。

調子に乗ってた俺に対する罰。

たかがゲーム。されどゲーム。

あぁそして何よりここで泣いてるだけの自分に腹が立つ!

「イウ。」

「何ですか?マスター。」

「俺さ、今まで強くなってきたのは目的もなかったし方向性もなかったけど今決めた。」

「それは……?」

「負けないために強くなる。」

「へ?」

「もう誰にも負けずに最強と言われるまで強くなってやる!だからイウ。」

「はい。」

「こんな俺だけどさ……ついてきてくれるかい?」

「はい!と言うか当たり前じゃないですか。どんなになってもマスターはマスターです。一番信頼できる相手です!それは未来永劫絶対に変わることはありません!」

「そうか……ありがとう。」

多分今日がちゃんとこの【Herun world online】の世界で【アレン】が生まれた日になるんだろう。

俺はこの日を絶対に忘れないことを心に刻んだ。

少し開いた窓から入ってきた風はほんのりと暖かく俺達の背中を押しているようだった……


???side

「それでは大丈夫ならここにサインを……」

「はい。これで大丈夫ですか?」

「大丈夫です。これで貴方は公式NPCとしてのゲームライフをおくることになります。それではまず最初に次のイベントの話を……」

彼女の物語が始まるのも後もう少し……

感想や誤字などがありましたら報告よろしくお願いいたします。

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