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『”モノ”がたり』

作者: 詩織





キミと過ごした


年月としつきは、


ほんとうに おいしかったよ、




”ごちそうさまでしたっ♪”







 



「これだけ、遣えたんだから

もう、諦めよう、

年貢の納め時だよ、」



「でも、パパ、パッキンのゴムが

ダメになってるだけで、

   他は何でもないのよ?」



「わたし、明日製造元に聞いてみる、」



「もう、無いって、、、

この圧力鍋は パパが若い時に

騙されて買ったもんで、

会社だってあるかどうか、、、

解んないんだぞ?」



「騙されたなんて、人聞きの悪い

この鍋に失礼だわ、」



「単に、パパが使い方が

覚えられなかっただけじゃない(笑)」



「こんなに、丈夫に丁寧に作られた

圧力鍋ないもの、


きっと、自慢の逸品よ、


作った人だって、

きっとまだ作り続けてる


ちゃんとした会社に決まってる。


わたし、パソコンで探してみる。」




挿絵(By みてみん)

圧力鍋




この圧力鍋は、

父がひとり暮らしをしてた

20歳のころ アパートに

行商の鍋屋が来たんだって


今で云う、押し売り営業かな?


その値段たるや、、、


給料がひと月7000円の時代に

100000万やて

(*´д`*)馬鹿じゃないの!?

ふつう買う?



それで、ずっとそれこそ

ローンでチビチビ、チビチビ、

払ってて、

使い方が解んなくて

キッチンの上の戸棚に

入ってたんだけど、



ママと一緒になって、

モツ煮を作ったら

天井までモツ煮が噴出して


(笑´艸`笑))).:∵



ようするに、

入れ過ぎってだけだけど

ママ、説明書とか読まないから

B型の典型みたいな人だったし


恐いから、

もう使わないって、

また上戸棚に仕舞いっぱで、

日の目を見なかった鍋が、


地震とき、上から降って来て

当りそうになって、

危ないから、、

ママが1回捨てようとしたんだけど


パパは、勿体無くて捨てらんなくて


そりゃそうだ、

パパからすれば

安月給の中、

何年もローン払って

とてもじゃないけど

捨てられないと思う、、、



それで、


捨てられないように

今度は、押入れに仕舞って



わたしが一緒に住むようになって


引っ越しすることになって

荷造りしてたら出てきて

今度こそ捨てる云うのを

わたしが拾って


使いはじめて15年くらいかな?


幾つの年から?


(ナイショ(笑))))))



これが、ほんとうに


優れもので、呆れるほど便利で


例えば、


お魚なんて丸ごと骨まで軟らかく

食べられるように煮えて

おもりがユラユラしだすまで

火をつけて、ユラユラしだしたら

5分とろ火にして、

あとは、火を止めて待つだけ。



煮豚や、おでんや、お赤飯や


ママが失敗したモツ煮や(笑)


茹で、蒸す、煮込むが短時間で


じっくり火を入れたみたいに


トロトロで味がしみてうんまいの



その、蓋の圧力を逃がさない為の

ゴムパッキンが伸びちゃって


圧力が逃げちゃうの


ゴムの劣化ってやつで


今、圧力鍋ッて、安いじゃない


だけど、この鍋は高いからじゃなくて


マジメにいいものを作ろうとした

時代の財産だと思うの


鋳物は金型から起こして


その中にアルミを容れて


その、容れる加減だって


きっと、職人芸の技術なんだと思う。


こんないいものを作ってる会社が


続いてない訳がない、


日本の「モノ作り」の中で


培われてきたもの。


そんな[確信]があった。





パパが買ってから約40年


押し入れにあっためた時間は

忘れて、


わたしが使った年数15年÷10万


15×12ケ月=180ヶ月


1ヶ月約555円


スゴーい ガス代の節約だと思う




パソコンで調べたら会社は

しっかり御存命しておりました。


嬉しかった!


(*´∇`)鍋、復活やあ~





挿絵(By みてみん)

なべ~♪





かと、思いきや

担当さんの冷たい一言ひとこと


(`・ω´・)+ 「ああ、もうありませんよ、」



(つω`*)「とても使い勝手が良くて勿体無いんです。

ゴムだけなんです、どうにかなりませんか?」



( ̄~ ̄;) 「ふつうに、

ただの鍋として使ってください。」



(つω`*)「でも、、、」



(`・ω´・)+ 「じゃあ、そういうことで、」


「♪ツーツーツー………」





じゃあ、

そういうこと?





”長い間、ご愛顧ありがとうございました。”

可愛がっていただけて、

鍋も作った職人も悦んでいると思います。


しかしながら、申し訳御座いませんが、

部品等も保存が難しく

残念ながらございません。


もし、よかったら普通の鍋として

使っていただけたなら幸いですが、、、。




(ぐらい言えよ!)

とは、思ったけど


したら、次に繋がるじゃん。


絶対、次だって

あなたの会社の鍋、買うじゃん。



お客さんへの

心使いも忘れちゃったのかな~?



あなたたちは、

先人の技術を学んでこなかったの?



メイド・イン・ジャパン

=高品質



は、もう神話だろうか、、、




『お疲れさまでした♪』




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― 新着の感想 ―
[良い点]  その圧力鍋。  使ってもらうようになって幸せだったでしょうね。  日用雑貨品は活躍してなんぼですから。  でも値段が異常に高すぎる。  パパさん、よく買われましたね。  まあ、パチンコに…
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