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プロローグ
「全員、武器を捨て投降しなさい」
建物の外から拡声器を使い此方に警告を促す声が聞こえる。
その声に釣られ窓の向こうに視線をやると、何台ものパトカーが停まっているのが見えた。
パトカーの裏には、完全武装した警官達が数えるのも馬鹿らしくなる位に集まり此方の様子を伺っている。
気が重くなった俺は、窓から自分の手元に目を移す。
其所には、映画やゲームで目にすることはあっても現実には持つ事の無い物――銃が握られている。
これが玩具ならどれだけ良かったことか。
俺は、思わず溜め息を吐いてしまう。
「溜め息を吐くと幸運が逃げるわよ?」
不意に、後ろから声が響く。
誰のせいだと言ってやりたい所だが、その言葉を呑み込む。
「さぁて、愉しい愉しいパーティーの始まりよ」
声の主は、喜色の滲んだ声でそれはもう愉しげに呟いた。
その声に俺は、もう一度深く溜め息を吐くと数十分前の出来事を思い返していた。