日の出
小鳥のさえずりが聞こえる 虫たちの奏でる歌も聞こえる
弱いけれども確かに風が吹いていた
空は既に白んでいる 見れば点々と鳥が羽ばたいていた
空から大地へ順に夜明けの準備を終え始める
人だけがまだ眠ったままだ
風も鳥も虫も自分という存在感を一層強く出している
なのに人だけがこの日の出を待つ荘厳な空気を知らない
知っているのは僕一人
ああ、雲のカーテンの後ろに赤ともオレンジともつかない太陽が
放射線状に光の帯を出しながら垣間見えた
今、この瞬間だけは眼をまっすぐ太陽へ向けられる
このまま見続けて両目が潰れてしまっても構わない
そんなことさえ思った
ただひたすら僕は日の出を見続けていた