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書きたい物を書く

「さて、この話も残すところ今回の話を入れてあと二回になりましたから、ラストスパート気合を入れていきますよ」


「了解っす♪( ´▽`)」


「では、オリジナルの作品の書き方について述べていきます」


「お願いするっす(((o(*゜▽゜*)o)))」


「君もかなり成長してきたし、実際に作ってみても良いでしょうね」


「俺っちもオリジナルが作れるんすか?でも、自信ないっす……」


「余り難しく考える必要は無いですよ。今まで練習してきた事の応用をやっていけば良いのですから」


「応用っすか?良く分からないっす」


「まず、君のパソコンで文章作成ソフトを起動させて見て下さい」


「先生、白で塗り固められた何も無い空間っす。何すか、この絶望感……」


「非常に良く分かります。これって、はっきり言って、異常ですよねwww」


「何から書いたら良いか訳が分からないっすよ」


「下書きから書けば良いのですよ。いきなり本文を書かず、作品の大まかな流れと自分の作った設定を書いて下さい」


「適当で良いんすか?」


「適当では困りますが、簡単な物で結構ですよ。話の大まかな流れと自分の作った設定を決めたら、一話でその流れのどこまでを描写するかを決めてみて下さいね」


「全部書かないんすか?」


「書ける物なら書いてみてください。どんな話の流れや設定でも、纏まった話にしたら膨大な文量になりますよ?」


「そうなんすか?」


「そんなものです。それから、一話の流れに登場する人物を決めてからその人物達がどのような会話を行うのかを考えて下さい」


「まあ、練習してたから出来るっすけど、それは単なる会話文形式で読者の皆様に良く分からないと思うっすよ?」


「これで完成品ではないのでしょう?では、その会話文の間に簡単な地の文を書き込んで下さい。本当に簡単で良いですからね。主人公がヒロインを見て、その美しさに驚いたとか、出てきたのが神様では無くギンギンに目を光らせたガチムキの日焼けした男だとか、何でも結構です」


「ほう、ほう、先生のセンスも捨てたもんじゃないっすね。やはり、神様は屈強な男であるべきっすよ」


「その時には俗に言う、【5W1H】(誰が?何を?いつ?どこで?どんな風に?なぜしたか?)を考えながらすると、後でその文章に肉付けをしていくのが楽になりますよ」


「肉付けっすか?」


「そうです。要は文章を組み立てているのですよ。設計図も無しに何も無いところから作るよりは段階に分けて骨組みから作っていく方が作り易いと先生は思いますね」


「大変なんすね……」


「文章を書いていくのは大変ですよ。小学校の授業の作文で学校の先生がいきなり主題を出して、書き方も教えずに作文を書かせようとした時は私も【出来るわけねーだろ!】と思いましたよ。個人的にはせめて子供達に具体的に書き方を教えてから書かせて欲しかったですね」


「教えてくれる先生もいるんじゃないっすか?」


「では、その先生に出会えた事に感謝をして下さいね」


「ふーん、そんなもんすかねえ?」


「後は、情景描写や心理描写などを何処に入れ込むかを考えて、自分の流れで地の文に肉付けを行ってみて下さい。ここからはその人のそれぞれの表現の仕方なので、どの様な作品になるかは先生も分からないですね。基礎を積んで、応用が出来るように訓練してから作品を作った方がどんな道でも結局は効率が良い物ですよ。少なくとも、先生はそう思いますね」


「俺っちにも何とかなりそうっす」


「それは君が今まで積み重ねてきたからですよ。努力の結果です。そんな君に先生から言わせて下さい」


「何すか?」


「まじで、だりーだろwww」


「何でそこで人のやる気を殺ぐ様な事を先生は言うんすか……」


「人が苦しんでいるのを見るのは私の大好物ですから。好きな物は好きとしか言い様がないですね」


「最低っすね。ところで、先生は何でプロを目指さなかったんすか?」


「いきなり、話が変わりますね。まあ、良いでしょう。先生もプロになりたいと思った事はありますよ」


「あるんすか?」


「動機が不純でしたから、諦めるとか、挫折したとかの言葉は当てはまりませんね。【こんな文章なら自分でも簡単に書けるんじゃねーの?普通に働くよりも楽して儲かるんじゃねーの?】って勘違いして、実際に書いてみて思ったんですよ。そして、気付いたのです。プロになるのは面倒臭いって……」


「俺っちも最初はそうだったっすね……」


「先生は書き手ではなく、基本的には読み手なんですよ。自分が面白いと思った事を書くのは好きですけど。人が面白いと思う事を書きたいとは思えなかったんですよ。そもそも、プロを目指していたらこんな作品を世に出しませんよ。自分の飯の種をさらして、ライバル増やそうとか馬鹿以外の何者でもないですからね」


「自分の面白いと思った事は他人が面白いと思う事とは違うんすか?」


「ええ……違うでしょうね。根本的にプロになられる方は自分の作品を読んで面白いと感じてくれる人がいる事に喜びを感じて、更に多くの人を喜ばせたいって思って書ける人なんでしょうね。きっと、それが自分の書きたい物なんですよ……」


「先生は人に喜んで貰えると嬉しくないんすか?」


「先生も人間です。自分の作品を喜んでもらえたら嬉しいですよ。でもね、自分の嗜好を変えてまでより多くの人を喜ばせたいとは思えないですから」


「先生が人間設定だった事に俺っち驚きっす((((;゜Д゜)))))))」


「先生は自分の作品を読んでくれているファンの方々の為に死病と闘いつつも書き続けられた作家の方々がおられたのを知ってます」


「いるんすか?そんな奴?」


「ええ……おられますよ。先生はその作家の方の作品を読んでいましたからね。亡くなられたと聞いた時には号泣しましたよ」


「好きだったんすね……」


「プロを目指される方を先生は純粋に尊敬してますよ。先生の出来なかった事を実践して、より多くの読者の皆様に喜んで貰いたいと思える人をね……」


「先生、以前に商業プロって顧客のニーズを見極めなきゃ駄目って言ってたっすよ?」


「確かに言いました。でも、それは経済的な視野に限定して物事を判断しているに過ぎないのですよ。商売である以上は、顧客のニーズを掴み、顧客のニーズに合った物を提供する事は重要です。でもね、その事に喜びを感じられない人間は続かないのです。どんな職業だって、そうです。そこに喜びを見つけられなければ、何れその人の心が壊れてしまうかもしれません……」


「先生は仕事楽しいっすか?」


「辛い事もありますが、楽しいですよ」


「俺っちも家業を継いだら、そこに喜びを感じられるっすかね?」


「親の遺産を継いで、不動産屋と税理士に管理させて自分は遊んで暮らしていくのを辛いと君が感じるなら、先生が今この場で殺してあげますよ?」


「俺っちは人とちょっとだけスタートラインが違うだけっす……俺っちにも悩みはあるっすよ」


「無いですね。どうせ、理想の兄貴にまだ出会えていないなんてほざく馬鹿は一回死んで、女しかいないハーレム異世界に行けば良いんです」


「何ちゅう恐ろしい事を平気で言うんすか、先生は!この世の地獄っすよ。女しかいない世界なんて、考えただけでも恐ろしいっす((((;゜Д゜)))))))」


「人の嗜好はそれぞれなので、君を先生は可笑しいとは思いません。しかし、どんな人のどんな生き方でも、そこには喜びや苦しみが存在する物ですよ。人間ですからね」


「そうっすか……」


「先生はプロの作家さんではないですし、プロの作家さんにお会いした事もお話した事もありません。結局、先生の言っている事は憶測に過ぎないものですが、これが私の出した答えなんですよ……」


「俺っち、プロになれるんすかね?」


「知りませんよ、そんな事は。自分の道は自分で決めなさい。他人にとやかく言われる物ではないですから」


「今日の先生は厳しいっす……」


「後悔しない道なんてないですよ。あの時、こうしておけば良かった。あれをしておけば……なんて誰もが考える事です。君は多くの事を後悔して生きていけば良いでしょう?選んだ選択の結果に君が幸せを感じてくれるなら、先生も嬉しいですからね。では、次で最後ですから、もう少し頑張りましょうね」


「分かったっす。俺っちも頑張るっす……」


「では、行きますか」


「先生、一つ気になったんすけど、その手に持ってる紙は何なんすか?」


「えっ?これですか?カンペですよ。大体、こんな臭いセリフを素面の真顔で言える訳がないでしょう?どうせ、読者の皆様にはカンペ持って棒読みしてようが、分かりはしませんからね」


「……」


「えっ?駄目でした?」


「本当に誰でも良いからコイツを何とかして欲しいっす(T_T)」

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