発端
土曜日ーーー午後2時
「あーもうウンザリ!」
次女レイナは銀髪のツインテールを左右揺らし少し怒り気味だ。能力は無く属性は時。今の発言はどうせ何時も通りジロジロ見られたとかそんな事だろう。
「道に歩いてるだけでなんであんなジロジロジロジロ見てくんのよ!時間止めてやろうかしら!」
やはりか。
「またかお前は、いい加減慣れろ。」
そう言い放ったのは弟の中で一番立派な次男アレックスだ。属性は火、風、地。能力は【絶対破壊】
名前の通り全てを破壊する。気体だろうが固体だろうが液体だろうが全て破壊する。相手に触れていれば能力や魔法を使用不可にすることが出来る。兄弟の中では俺の次に強い。まあ俺とでは話にならないだろうが。
「慣れられんだったらとっくに慣れてるわよ!それが出来ないから困ってんでしょうが!!ねえ、兄さん?」
「まあそうだな。毎日ジロジロ見られたらそりゃ不愉快にもなるわな。」
「流石兄さん!話がわかる!」
「兄貴まで……。」
「まあアレックスの言い分もわかる。だがそれ以上に不愉快極まりないんだよ。」
興味本位やおこぼれ目当てで寄って来る人間にろくな奴はいないからな。
ガチャ
「あら、どうしたの?」
「お、セレナか。」
我が家の長女セレナ。能力者であり、その能力は【観察眼】
指定した人物、物体、液体、気体全てを見ることができ、全て理解することができる。例えば人間を見れば、身長、体重、魔力量、能力や思考さえ見える。弱点は死角。兄弟の中ではあまり強い分類ではない。属性は水。
「姉さん!聞いてよ、今日もジロジロ見られたんだよ!?」
「うーん…それは仕方ないんじゃないかしら。だってクラウン家は有名なのだから。」
「まあ、そうだな。」
「やっと味方が出来た……。」
「うー…それはそうだけど……。」
「別に慣れる以外にも手はあるけどな。」
まあ最終手段ともとれるようなものだけど。
「え!なになに!?」
「そんなもの思い浮かばないけど…。」
「どんな方法だ?」
「国出て、旅に出ようぜ。」
「へ?」「えっ」「はあ!?」
「馬鹿か!?兄貴お前どっかで頭打ったんじゃねえの!?」
「落ち着けアレックス。俺は大真面目だ。どうせだからあいつらにも話そう。」
「えっ!?ちょっと待て!」
ガチャ
「あの馬鹿兄貴……!気は確かか!?」
「それ良いかも……。」
「お前もか!?」
「落ち着いてアレックス。」
「姉貴はなんでそんな落ち着いてんだよ!」
「とりあえず落ち着いて。ハイラルとレイナはともかくミリア達はまだわからないわ。」
「ミリア達の事もそうだけどレイナはどうすんだよ!」
「いやもう……。」
「うふふ……兄さんと一緒に旅……兄さんと旅行……デート……えへへぇ。」
「このブラコンめ……。」
「まあハイラルは常にレイナの味方ですごく懐いてるし……一緒に色々な場所へ行きたいんでしょう。」
「……そうか……あいつら大丈夫だろうな……?」
「うーん……それはミリア達次第かな……?」
「不安だ……リオンはともかく、ミリアとレインは気分屋だから、乗るだろう。」
「……別に行っても平気だと思うけどね。」
「姉貴まで!駄目に決まっているだろう!俺たちはクラウン家の人間だぞ?絶対に止められる。俺たち、特に兄貴、あいつはクラウン家次期当主なんだ!この国の未来を背負っていると言っても過言ではない。そんな人間がたった視線が気になる程度のことで国から出るなんてどうかしている!」
「でも他の国へ行くことは駄目なことばかりじゃないわよ?他の国の人間を見てみるのもとても良いことよ?お父様だって他の国へ行き、色々な人を見てきて育ってきたのよ?理由は違えど、やることは変わらない。それにハイラルだって視線が気になっているという理由だけじゃわざわざ国から出るなんてしないわよ。」
「……くっ。」
「気をつけてって伝えておいて。お願いね。」
「……わかったよ、ったく、仕方ない。行ってくるよ!」
ガチャ
バン!
「ふふっ…まったく、素直じゃないんだから。」
「えへへ……兄さん……えへへ……。」
「まだやってたのね……。」
因みにハイラルとレイナが銀髪、アレックスが赤、セレナが緑、ミリアと三男が黒、四男が灰色
生まれた順番は
ハイラル>セレナ>アレックス=レイナ>ミリア=三男>四男
貴族の権力
王族>クラウン家>五大貴族>貴族>平民
自然属性
火、水、風、地、雷
特殊属性
創造、破壊、時、空間
光は天使。闇は悪魔。
発見されてる他にもまだ属性はある