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第二話
「元気…そうですね」
何所からか、声がした。
何となく、懐かしい声。
…おかしい。今まで、誰も居なかったのに…。
すると、いつの間にか、目の前に人が居た。
人…と言っても、翼が生えていた。
薄く、衣を纏っていた。
ギリシア人の様な格好…と言えば、良いだろうか。
兎に角、白い衣を纏っていたのだった。
何所かで、見た事のある顔だ。
“青竜”※四神の一人。東の方角を司る神。
そんなイメージが、沸々(ふつふつ)と湧いてくる。
キレイな、顔立ち。整っては、いるけど…気に食わない。
自分の美しさを鼻にかけている様な感じ。
髪は、青く、長いものだった。後ろで、括っている。
純粋に、キレイだ、と思った。
瞳は、髪よりも深い、そうだな…藍色…と言うべきだな。
サファイヤと同じ色で、煌めいていた。
…キレイ…その一言に尽きる。
「何ですか?人の顔をジロジロ見回して」
“青竜”は、迷惑そうに顔を顰めた。
…そう言えば、勝手に名前を付けて良いのだろうか?
取り敢えず、謝っておく。
「す、すみません」
…あ。声、出た。