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第十話
それにしても、可愛いね。
「お褒めに預かり、光栄です」
この子(って言って良いのかな?)まで、敬々(うやうや)しく礼しちゃって。
一寸、私が偉くなったみたい。
その時に、前髪が揺れた。
そして、額に何かを、見つけた。
…何だろ、これ。
トラ耳君の額には…大きく☆が刻まれていた。
…うそ、何これ?
「あんなぁ、僕の名前、タイガっていうの!!……近いんだけど」
私はタイガ君の額の☆を、顔を近づけて見ていた。
それこそ、至近距離。
鼻と鼻が、ぶつかりそうなくらい。
でも、流石だね。
動揺一つしない。
「あっ。ゴメン…」
謝りつつ、慌てて身を引いた。
あ。声出す必要なかった。
バカな私。