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物語から伝説へ  作者: 愚者の夢
五章
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五ー壱話・・・・・バラック村にて

 依頼を請けた次の日、僕は朝から乗合馬車に乗り、バラック村を目指した。道中にトラブルも無く平和な旅となった。

 

 途中の村で一泊し、翌日のお昼頃に目的のバラック村についた。僕は依頼主である村長さんの家に向かうことにしたが、この村には初めて来たので村長さんの家が分からないので、近くで遊んでいた子供達に尋ねようと近づいた。

 

「やぁ、こんにちは」

 

 子供達に笑顔で挨拶をすると

 

「「「「こんにちは~!」」」」「……」

 

 四人の子供達は大きな声を上げ、屈託のない笑顔で返してくれた。そして、一番小さな女の子は無言で別の女の子の背中に回り、隠れてしまった。

 

「みんな、元気だね。」

 

「おう! 元気だぜ!」

 

「お兄ちゃん、誰?」

 

 一番年上だと思う男の子と少し背の低い男の子の2人が僕の方へ近づいてきた。

 

「僕はサークって言うんだ。村長さんの家が何処にあるのか教えて欲しいんだ。」

 

「ふーん、家に何か用か?」

 

「おじいさんの家はあっちー」

 

「ちょっとね。教えてくれて、ありがとう。」

 

 僕は少し背の低い男の子が指差した方へ向かって歩き出した。すると、もう一人の男の子が自分の家まで案内すると言って、僕の前を駆け出した。

 

「兄ちゃん、こっちー追といで!」

 

 少し駆け足で進んだところに、周りの家より少し大きな家が見えてきた。男の子は家の扉を勢い良く開けて中に入っていった。

 

「母ちゃん、じいちゃんにお客ー!」

 

 僕は扉の前で誰かが出てくるまで待つ事にした。中から二十代後半と思われる女性の方が出て来てくれた。

 

「こんにちは。僕は冒険者のサークと言います。本日は此方の村からの依頼の件で来ました。村長さんはいらっしゃいますか?」

 

「まぁ、思ったより早かったわね。立ち話もなんですから、中で待って下さい。コウ、お爺ちゃん裏の畑にいるので呼んできてー」

 

 そう言うと、女性は僕を家の中に招き入れてくれた。コウと呼ばれた男の子は村長さんを呼びに外に出て行った。僕は勧められた椅子に座り、出されたお茶飲みながら少し待つと初老男性が帰ってきた。

 

「待たせたの。儂がこの村の村長をしているザイルじゃ。こんな田舎の村まで、わざわざすまんの。」

 

「いいえ、そんなことは無いです。僕は冒険者のサークと言います。早速ですがご依頼の魔物の調査・討伐についてなのですがお話を聞かせて貰って良いですか?」

 

 僕はザイルさんに依頼について聞かせて貰った。話をまとめると、一ヶ月ほど前から村の西側にある山の麓の狩場となる森に、得体の知れない魔物が住み着いたらしいので調査し、出来るなら討伐をしてほしいとの事だ。

 

「住み着いたらしい・・・と言うのはどういうことですか?」

 

 僕は村長さん詳しい説明を求めると、分かっていることを話してくれた。

 

「一ヶ月ほど前に今までに見たことの無いような足跡を見つけたのが始まりじゃ。誰もその姿を見てないんじゃが、狩場を住処としておるブラッドヴェール(熊型の魔物)が引き裂かれて死んでいたのを見つけておるんじゃ。ブラッドヴェールより凶悪な魔物が狩場の森におるのは間違いないんじゃ。」

 

「そうですか、確かにブラッドヴェールを倒そうとするなら、Cランクの冒険者のパーティか腕の立つBランクの冒険者並みの戦力が必要ですね。」

 

 僕は正体不明の魔物ついて、何も分からなければ、確かに調査からになるなと、当たり前のことを考えていた。ザイルさんにこの半年ぐらいで何か変わったことが無かったか聞いてみた。

 

「そうじゃなー、昔からこの村は良くも悪くも変化の少ないところじゃ。…おお! そう言えばこの前に地震が起きた時、狩場の森の北に山があるんじゃが、その山の森とは反対側の山肌が崩れ、遺跡の入口が現れたみたいじゃ。その調査の為、王都の方から団体さんが来たのが丁度一ヶ月ぐらい前じゃ。」

 

「その他には、何かありますか?」

 

「そうじゃな、後はこれと言っては無いの。」

 

「そうですか。では、村の中で色々と聞き込みをしていいですか?」

 

「ああ、構わんよ。もし何なら儂の了解を受けとると言ってくれ。」

 

 ザイルさんの了解も貰えたので、今日は村の中で聞き込みをすることにする。ここで一つ思い出した。どこで寝泊りをしよう? この村あまり大きくないし、宿屋があるかな?

 

「ザイルさん、この村で宿屋ってありますか?」

 

「すまんの、この村には無いんじゃ。しかし、寝泊りするところは用意するので安心してくれ。」

 

 僕はその言葉で少し安心した。

 

「他にも何かあれば言ってくれ。出来るだけ協力はするから」

 

 ザイルさんの申し入れを有難く受けておき、お礼を伝えた。僕は村の中で色々と聞き込みをする為に、ザイルさんの家を後にした。ザイルさんは泊まり場所の案内をするので夕方に来るように言ってきた。

 

 村の様子は一見すると何事も無く平和そのもので、長閑のどかな雰囲気がある。子供達は先程と同じように仲良く遊び、周りには子供を見守るようにお年寄りの方が会話をしている。

 

 僕はおばあさん達に挨拶をした後、村長さんから依頼を請けている冒険者だと説明して、色々と話を聞かせてもらった。

 

 おばあさん達は子供達が不安にならないように自分達はいつもの通り振舞っているが、やはり息子さんとかが狩りの為に西の森に行く時には心配になるらしい。今のところは被害を受けた人がいないが、いつ襲われるか不安で気が休まることが無い。

 

 他には昔話や村に伝わる言い伝えなど、役に立ちそうな話は聞けなかった。おばあさん達の不安を少しでも和らげる為に僕は魔物の正体を明かすことを約束した。

 

 次に村唯一の雑貨屋に行ってみた。店の中には思わず身構えそうになる様な山賊顔のおっちゃんが店番をしていた。僕を睨むように見ると話しかけてきた。

 

「おっ! 小僧、客か?」

 

「いや、僕は村長さんから依頼を請けた冒険者でサークって言います。」

 

「そうか。じいさんの依頼って事は、魔物の事か?」

 

「そうです。それで、ここ最近何か変わったことが無かったか聞いて回っています。」

 

「そうだなぁ、これと言ったことは無いな。魔物に関係ないがこの一ヶ月ぐらい山の遺跡を調べに来た団体さんが食料や雑貨を買いに来てくれるぐらいだな。」

 

 僕がおじさんと話していると店の扉が開いて聞いたことがある声が聞えてきた。

 

「こんにちは。いつもの食料を買いに来ました。」

 

「こんにちは~。おじさ~ん、いつものお願いします~。」

 

 僕は声の主を見ようと振り返ると、久しぶりに見る顔だった。

ここまで読んで頂き、ありがとう御座います。

これからも続きを書いていきます。

3/18の13時に「帝都の夜に」を更新します。

「帝都の夜に」もよろしくお願いします。

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