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物語から伝説へ  作者: 愚者の夢
四章
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四ー参話・・・・・子供達の依頼

 僕達はセシリアの後に続いてお城の中を歩いていたが、セシリアはあっちこっちに歩き回り、なかなか目的となるところに着かないようだった。どこに行くのか尋ねてみると人気ひとけがない所でゆっくりと話をしたかったが流石に自室に案内するわけにも行かず、どこに案内すればいいか迷っているとのことだった。

 

 そこでカルロのが近衛隊の隊長室なら他の者は来ないからゆっくり話をするにはピッタリだと提案してきた。その提案にセシリアは賛成し、僕達はカルロの案内で隊長室に向かった。近衛隊の隊長室だけあって、広い室内に派手さは無いが質の良い上品な机や本棚が揃えられっている。

 

「ここなら他の人は来ないぜ。適当に座ってくれ。」

 

 カルロは自然に勧めてきたが、隊長さんの許可を取らなくていいのか聞いたら、驚いたことに隊長はレイラだった。それにカルロ自身も副隊長だから問題はないらしい。セシリアと向かい合うように僕はソファーに座った。セシリアの表情は少し怒った様な、拗ねた様な感情が入り混じっている。

 

「サークさん、いつ王都に来られたのですか?この数週間、ずーっとお待ちしてたのですよ。」

 

 身を乗り出すかのように机に手を就いて質問してきた。

 

「王都に着いたのは四日くらい前かな?」

 

 僕の答えを聞いて、セシリアの表情は怒りの割合が増えてきた。どうして直ぐに来てくれないのですがと僕に詰め寄ってきた。僕はセシリアに慌てて謝った。最初の内はセシリアに皮肉交じりの小言を言い続けられたが、何とか許して貰えた。

 

「そういえば、どうしてランスィート様と戦っていたのですか?」

 

「なんと言うか、成り行き?」

 

「……?」

 

 セシリアはキョトンとした顔で僕を見ている。

 

「ごめん、ごめん。これじゃ分からないよね。ちゃんと説明するよ。」

 

 ランスィート様はグレンさんに見込まれた僕の実力を試すのに模擬戦を始めたと説明した。そして、僕は先ほどの模擬戦でタイミングよくセシリアが来てくれたので質問に答える前に立ち去ることができたのでセシリアに御礼を言っておく。あの場でランスィート様にいろいろと質問されると後々面倒なことになっていただろうし。

 

 粗方の説明をし、一息ついた瞬間!!

 

 バーン!

 

 部屋のドアが勢いよく開かれた。

 

「カルロ、お城の中に部外者を連れてくるなんて、何を考えている!」

 

 現れたのは怒りの表情をしたレイラだった。レイラはカルロに詰め寄り、誰を連れてきたか問い糺す。カルロは別に怪しい者じゃないと答えたが、レイラは怪しくなければ部外者をお城に入れても良いことにはならないと反論した。入城の際の越権行為、ランスィート様との模擬戦などこれらの原因にを作ったことの自覚があるのかと捲し立てた。

 

 レイラは僕達に気が付かずにカルロを叱り付けていたが、見かねたセシリアが口を挟む。

 

「レイラさん、もうその辺で許してあげたら。」

 

「いいえ、駄目です。この愚弟は自分の立場をわかって…え! セシリア様!」

 

 レイラはセシリアに話しかけられて慌てて、頭を下げ礼をとった。

 

「挨拶が送れ、申し訳ございません。しかし、何故この様な所に?」

 

「レイラさん、それよりもサークさんが来られていますよ。」

 

 レイラはすぐさま頭を上げて、セシリアの後ろの僕の姿を確認した。僕を指差し、何か言おうとしているが言葉にならずに口をパクパクさせている。僕は手を上げて、お久しぶりですと声をかけた。

 

 そこから、レイラにも同じように今までの経緯を説明をし、今日だけで同じ説明を3回もすることとなった。それからみんなに僕が王都に来てからの生活について色々と聞かれて、それについて答えていった。

 

 話が一区切りついたところで、レイラはカルロに入城許可のない者を城内に入れないように釘を指した。カルロはサークならいいじゃないかと言っているが、これ以上規律を乱すなとまた怒られた。セシリアは僕に許可書を渡してはどうかと提案したが、それもレイラに規律に反しますと反対された。

 

 そこで僕は許可書を貰う為にはどうすればいいのかを聞いてみた。冒険者の場合は冒険者ギルドに出されているお城からの依頼を受けた、貢献度によって発行される。と言う事は僕がその依頼を完遂していけば良いのか。今度ギルドに行った時に依頼があれば受けてくると言ったら、レイラはお城からの依頼は最低でもBランクになるので新人の冒険者では受けられないと説明してくれた。

 

 みんなに僕がBランクの冒険者だから問題はないと言ったら、セシリアはがんばってください!と、嬉しそうに応援してくれた。

 

 レイラとカルロはどうやって、Bランクに成れたのか聞いてきた。先ほど説明では、家から王都に向かう途中に護衛の真似事をしてきた。王都に来てからはグレンさんのお屋敷でお世話になる事となった。そして、冒険者としてギルドに登録をしてからみんなに会いに来たと端的に話しただけだった。

 

 ライオウの件や、バータックさんの事を話してなかったので、その事を詳しく説明すると三人ともそれぞれ違う表情を浮かべていた。

 

 レイラは半ば呆れ顔で、カルロは非常に楽しそうに、そしてセシリアは何故か少し怒っている様な…何故???

 

 レイラやカルロの表情の意味は分かる。ライオウ相手に戦うなんて、非常識であると僕も思う。しかし、セシリアの少し怒った様な表情は分からない。危険なことをして心配をかけたのかと思いつつも話しかけた。

 

「えーっと、セシリアさん。何かお気に触るところが有りましたでしょうか?」

 

 セシリアは僕に聞えるかどうかぐらいの小声でで答えた。

 

「…羨ましいです。サークさんとお買い物や、王都内を一緒に回るなんて。そのとはその後、何もないですよね!」

 

 段々と声が大きくなり、最後には僕を強く見詰めながら確認を取ってきた。何もって、何のことかは分からないが、僕は反射的に肯定の意味でうなずくしかなかった。この時何故か、何か言えば泥沼に嵌った様にその説明にもがき苦しむ自分の映像が頭にぎった。

 



 …王都に来て、数週間たった頃、僕はちょっとした有名人になっていた。

 

 みんなに再会してから、ギルドに行ってお城からの依頼が無いか聞いてみるがなかなか無く、Bランクの依頼を受けずに昼間はギルドで請けたDランク依頼をして、夜にはグレンさんに修行をみてもらう生活を送っていた。Dランクの依頼は王都内で出来る店の手伝い等のが主だった。市民生活に密着した依頼は、王都での世間勉強になった。それに街の中では顔なじみが増えて、ギルドには僕を指名している依頼が徐々に増えてきた。

 

 一方、ギルドの中では異例の新人が現れたと噂になり、パーティーの誘いが何回かあった。しかし僕は誘いを断り、Dランクの依頼ばかり請けていた為に、今では腰抜けのお飾り冒険者と陰口を言う冒険者が出てきた。僕自身はそんな陰口を気にせず、今までやったことない経験が出来るDランクの依頼で満足していた。

 

「こんにちは。今日はどんな依頼がありますか?」

 

 僕は受付のシアンさんにいつもの様に尋ねた。

 

「こんにちは~、今日もサークさん宛てに売り子の要望が多いですね。」

 

 いつもの営業スマイルで案内してくれた。

 

「そうですか…最初の頃に比べて、僕が行った時はお客さんの入りが突然増えて、忙しさが倍増するような…いや、倍増しています。何故なんですかね?」

 

「それは、サークさん目当てのお客さんが、多くなってきた証拠ですね。」

 

 シアンさんは良かったですねっと言うような笑顔で教えてくれた。

 

「僕目当てって、別におまけとか何もしていないですよ。何を目当てにされているのか、分からないです。」

 

 僕の考えを聞いたシアンさんは、溜め息をつきアドバイスをしてくれた。

 

「そしたら、お仕事中は最高の笑顔で接客をして下さい。それで皆さんの期待を裏切りませんから。」

 

「そうですか。心掛けていきます。」

 

 いつもの様にDランクの依頼でも受けようとした時、見慣れない子供達がギルドの中を泣きそうな顔で歩いていた。僕は気になったので子供達に声を掛けてみた。

 

 事情を聞くとお母さんが病気で倒れたので、お医者さんに診てもらったが、薬となる薬草が切れているらしい。お母さんに少しでも早く元気になって欲しいので、薬草を手に入れたいが入荷の予定はまだ先になる。薬草を手に入れる為に冒険者を雇いにギルドにきたが、薬草が生えているエリアはBランクでも危険なエリアになる為、子供達のお金では請けてもらえなかったので、落ち込んでいたところだった。

 

「よし! その依頼、僕が請けよう。シアンさん、この子達の依頼をギルドを通しての依頼にしてもらって良いですか?」

 

「駄目よ。このエリアだとBランク相当になるので、残念だけどこの子達の依頼金じゃ無理よ。」

 

 当然といえば当然の返事だった。そこで僕は思い付いた事をシアンさんの耳元で囁いた。

 

「ちょっとお耳を貸してもらって良いですか? こうすればどうです?」

 

 コソコソ…

 

 聞いているシアンさんは顔を赤くして、たまに耳にかかる息に体を震わせている。

 

「そ・それなら、何とかいけますが…」

 

 まだ、心配で行かせられませんって、顔に書いている。

 

「じゃ、それでお願いします。」

 

 僕は心配させないように、笑顔でお願いした。

 

 シアンさんは僕の笑顔を見て、渋々ながら了解を出してくれた。

 

「わかりました。本来あそこは、Bランク相当で新人が、単独で行くようなエリアで無いんですよ。」

 

「僕のランク忘れていませんか?」

 

 シアンさんは言われればと、いうような顔になった。

 

「あ! そうでした。でも、危険には違いません。気をつけてくださいね。」

 

「はい。心配してくれて、ありがとうございます。」

 

「ここでもし断っていても、後で勝手に依頼を請けるのでしょう?」

 

 僕はわざとらしい引き攣った笑顔で答えた。

 

「ばれましたか。多分、そうしてました。」

 

「はい。これが依頼内容です。Dランクで依頼主の代わりに、指定の薬草を手に入れること。入手方法は問いません。これなら、市場で買ってくるだけの、お使いと代わりません。」

 

「無理を利いてくれて、ありがとう。今度何か埋め合わせしますから。」

 

 僕は依頼書を受け取り、早速目的地を目指した。シアンさんが何か言っていた気がするが、帰ってからまた聞けば良いだろう。

 

「今度のお休みにお買物でも付き合ってもらおかしら…っていないですし!」

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