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物語から伝説へ  作者: 愚者の夢
二章…王都に向かって
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二ー陸話・・・・・王都に向けて

 …朝を迎えた。目が覚めると、なにやら柔らかく暖かな物に包まれている感じがした。僕はちょっとした幸せを感じていたが、朝日を浴びてそのまま寝ているわけにもいかず、起き上がろうとし、柔らかい物を退けようとした。


 むにゅ


 (うん、柔らかい。手触りが気持ちいい。)


 それが、率直な感想だった。次の声が聞こえるまでは。


「やぁん…」


 僕は一瞬で覚醒し、起き上がって回りを確認した。僕の寝ていた回りでリリアとアイシャも寝ていた。


 (僕は無実だ〜!)


 大声で叫びそうになったが、なんとか心の中に押し止めた。先ずは落ち着け、自分。冷静になって思い出すんだ。


 ……そうだった! 夜中の叫び声でリリア達の部屋にきて、そのまま一緒に寝ることになったんだ。自分自身に言い聞かせ、昨日の夜の事を思い出していった。


 そして、僕は無実? だった事を思い出し安心した。二人は可愛い寝顔でスヤスヤと静かに寝息を立てていた。僕は急いでベットから抜け出して、リリア達の体を揺さぶって起こした。


「そろそろ起きなよ~」


「う…う~ん」


 リリアが目をこすりながら、ゆっくりと起きた。


「ん~…まだ~」


 アイシャはまだ夢の中のようだ。


「…サ・サークさん…え! なんで!」


 僕を見たリリアは慌てて、毛布で顔を隠した。


「リリアさん、思い出してください。昨日の夜、君達がお願いしてきたんですよ~」


 リリアから返事が返ってこない。少し考えているようだ。


「…そうでした。すみません。」


 そしてリリアは何かに気がつき、僕に詰め寄ってきた。


「サークさん! 私の寝顔見ました? 見ましたよね?変じゃなかったですか?」


 (リリアさん、顔が近いですよ)


「あ~ごめん。見たよ。でも、変じゃなかったよ。むしろ可愛かったよ。」


 バサッ


 リリアは毛布の中に隠れた。隠れる一瞬に見えた顔は、赤く染まっていた様な気がした。


「ちょっと、ごめんなさい。少しこのままでお願いします。」


「リリア、大丈夫? 熱でもあるの? 顔が赤かったみたいだよ。」


「はい! 大丈夫です。少し待って下さい。」


 僕は待つ間にアイシャを再度、起こそうとした。


「お~い、アイシャも起きて。」


「…あと、すこし~」


 中々起きてくれない。僕が苦戦していると、リリアが復活してきた。


「この子は朝が弱いから、思いっきりいかなければダメですよ。」


 そう言って、リリアは毛布を思いっきり剥ぎ取った。剥ぎ取られたアイシャは、目を開けて僕を見た。


「サークお兄ちゃん…おはよ~」


 まだ、眠たそうに目をこすりながら、挨拶をしてきた。


「うん、おはよう。」


 やっと皆が起きて、顔を洗ってから食堂に向った。それぞれ、モーニングセットを注文し、料理が来るまで、喋りながら待った。


「今日は先ず、バータックさんのところに行こう。」


「そうですね。昨日お医者様に大した事は無いと言われましたが、心配です。」


「うん、それにお父さん、一人で寂しがっていると思う。」


 料理が運ばれてきたので


「「「いただきます。」」」


 皆で食べはじめた。


 食事が終わり、病院に行く準備をして、宿の主人に声を掛けてから出かけた。


「この子達の父親を迎えに行ってきます。それと今日と明日も泊まるのでお願いします。」


「ありがとうございます。それと昨日の夜はすみませんでした。では、お気を付けて行ってらっしゃいませ。」


 宿の主人は、僕達を見送ってくれた。


 昨日は時間も遅く、町並みを見れてなかったが、朝市で活気付いた通りを見て歩く余裕があった。そんなに大きくない町だが全体として、いい感じのする町だと思った。僕達は病院について、バータックさんの病室を訪ねた。部屋の扉をノックすると、すぐに返事が返ってきた。


「どうぞ。」


「失礼します。」


 バータックさんの顔色は昨日より良く、元気そうに見えた。


「バータックさん、おはようございます。」


「「お父さん、おはよう。」」


「おはよう。」


「顔色も良い様で良かったです。」


「ええ、お蔭様で…」


 バータックさんは、不意に表情を曇らせた。


「どうかしましたか?」


「いや、娘達が助かったことが夢でなく良かったという思いの反面、私達だけが助かり皆に申し訳なかいという思いなりまして…」


「それは…」


 僕は返答を詰まらせた。一日に満たない付き合いをした僕が、何を言っても気休め程度にしか、下手したら逆に傷付けてしまう事にしかならないと考えてしまった。


「困らせるような事を言い、すみません。」


「いいえ、しかし皆さんの事は残念ですが、貴方達親子が無事だった事は喜んでいいと思いますよ。」


 僕らが話をしているとノックが聞こえ、


「入るぞ。」


 昨日の医者が入ってきた。


「「「「おはようございます。」」」」


 僕達は、声を揃える様に挨拶をした。


「うむ、顔色は良い様じゃな。どれ診察するか。」


 そう言って、バータックさんの体を一通り診た。


「異常は無さそうじゃ、退院して二日程は安静にしとけば良いじゃろ。」


「そうですか、ありがとうございます。」


 バータックさんは深々と頭を下げてお礼を言った。


「先生、昨日は急に押しかけて、すみませんでした。」


「気にするな。怪我や病気はなりたくて、なるもんじゃないしの。」


 医者は手を振りながら答えた。


「先生、父がお世話になりました。ありがとうございました。」


「おじいちゃん、ありがとう~」


 リリア達も口々にお礼を言った。その後、僕達はバータックさんを連れて宿屋に戻った。宿に戻ると主人が声を掛けてきた。


「おかえりなさい。」


「ただいま。今日の泊まる部屋は僕個人と親子三人の二部屋を用意してもらえますか?」


「はい、ありがとうございます。少しお待ちいただけますか?」


 宿の主人はそう言って、部屋の準備をしに奥へと行った。僕達は食堂の席に座って、待っている事にした。


「サークさん、改めてですが昨日は本当にありがとうございました。貴方がいなければ、全滅したいました。どれだけ感謝しても足りません。」


「いいえ、僕なんか力不足で皆さんを助けられませんでした。それに僕自身途中から記憶がなくって、どうして助かったか分からないんです。」


「と言いますと。」


「ええ、バータックさんがライオウに跳ね飛ばされて、リリア達が危ないところまでは覚えているのですが、次に気が付いたのは傷付いたライオウ達に止めを指そうとした時なんです。その間に何があったかが記憶にないのです。」


 僕はリリアにあの時の事を訪ねた。


「リリア、あの時の事を何でもいいから教えてくれるかい?」


「はい。わたしが見た光景は…」


 リリアの話は聞いていて、到底信じられない事だった。しかもそれを僕がやったとは…


 リリア達がライオウの爪で引裂かれそうになった時に、僕が叫んだと思ったら光の壁がリリア達の周りをドーム状に覆い、ライオウの爪や雷を全て防いでいた。そして、僕はライオウの爪撃を左手一本で受け止め、そのままライオウの巨体を捻り倒した。その後、僕は二体のライオウを相手に互角以上の戦いをしていた。リリアの目にははっきりと捉えることの出来ない速度で戦い、偶に止まった時に見せる姿は少しづつ傷付くライオウ達の弱っていく姿のみだった。


「…詳しいことは分かりませんが、サークさんか戦って助けてくれたことは間違いないです!」


「僕がそんな戦いを…?」


 アイシャも自分の見たことを話してくれた。


「わたしが止めた時のサークお兄ちゃん、顔が怖かった。それに目が金色に光っていたようだったよ~」


 目の色が変わるなんて、今までに聞いたことがない。金色に目の色が変わる事が何か関係しているのか、疑問に思ったが確かめる術がない。


「リリアもその時の僕の顔を見た?」


「確かに顔の印象は怖かったです。目の色は良く覚えていないです。」


「そっか、二人ともありがとう。」


 今まで話を聞いていたバータックさんが喋り始めた。


「凄いですね。ライオウ二体を相手に勝てるなんて。この国でいや、この大陸でも居ないでしょう。」


「そんな事ないですよ。その時の記憶がありませんし、僕の実力なら精々ライオウから逃げ切れるぐらいですよ。」


「…それでも十分凄いですよ。」


 話が一段落したとことに宿の主人がやってきた。


「お客様、お待たせしました。お部屋の準備が整いましたのでご案内します。」


 宿の主人に案内されて、それぞれの部屋にいった。


 …それから3日後、僕達は王都に向けて出発した。

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