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物語から伝説へ  作者: 愚者の夢
一章…始まり
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一ー壱話・・・・・出会い

 ここは日常に魔法が使われ、様々な物語や伝説が紡がれる世界【エルシオール】。


 この世界で唯一魔法の効かない少年が物語の主人公である。


 少年の物語は一人の少女と出会い、ゆっくりだが確実に綴られていく。


 後に少年の物語は時を重ね伝説となるだろう。






 エルシオールにある一つの国から物語は始まる。




 光の国『アルテオール』には、王家の森と呼ばれる広大な森が広がっている。深々と木々が生茂り、神秘的な雰囲気のある静かな森の中に、突然!


「キャーーーーーーーー」


 少女の悲鳴が響き渡った。


 少年は悲鳴を聞き、すぐさま悲鳴が聞こえた方へと駆け出した。


 少女はファンブル(猪型の獣)に、崖の壁に際に追い詰められていた。ファンブルは少女に狙いを定めて、ひづめで地面を掻いている。ファンブルは蹄で地面を蹴り、少女に向かって突進してきた。


 少女は恐怖で目を閉じて体を強張こわばらせ、ファンブルの突進による痛みを覚悟した。しかし、突進の痛みは無く、逆に少女を優しく包む暖かな感触だった。


「大丈夫? 」


 少女は聞き覚えのない声の主に、顔を向け小さく「はい」っと頷いた。


 少女は自分の今の状況がどの様になっているのか、周りの様子をうかがい少し離れた所にファンブルが倒れているのを見つけて安心した。そして、冷静になってくると目の前の少年の顔があり、自分が少年に抱き抱えられているのに気が付き、慌てて離れた。


「きゃっ」


 離れた時につまづき転んでしまった。


「君、大丈夫?怪我してない? 」


 少年は心配そうに声を掛け、手を伸ばしてきた。少女は手をとり、起き上がると、少年に向かって


「危ないところを助けてもらい、ありがとうございます。……私の名前はリアと言います。」


 お礼を述べた。




 この少女との出会いが、少年の物語が始まった。




 僕は、セシーと名のる少女を改めて見てみると、旅用のフード付きのマントは、所々破れていたが、特に怪我等は無いようだ。


「大丈夫みたいだね。こんな森の奥に君一人で来たの? ここには獣や魔獣などもいて危険だよ。森の外まで送るよ。あ! 名前言ってなかったね。僕の名前はサーク。宜しく。」


 僕はセシーを安心させる為、笑顔を心掛けて話し掛けた。


 リアは慌てて


「え! っあ……その、他の仲間とはぐれてしまって……」


 少し詰まりながら答えた。


 僕は、何か慌てさせる様な事をしたかな?と考えつつ


「じゃぁ、一緒に探……」


 言葉の途中で、燃えさかる炎の魔法が僕らに向かってきた。


 僕はリアを庇うように抱き寄せた。


 ドォオオオン


 足元に炎が着弾し、大きな衝撃を伴って爆発した。地面をえぐり、石などが弾けた。


「誰だ!」


 僕は炎が飛んできた方に向かって叫んだ。


 そこには二人の男女が立っていた。


 女は僕に対して


「リア様から離れなさい! 」


 言うないなや、剣を構え素早く間合いを詰めるのと同時に剣を突き出してきた。僕は女性の剣筋に殺気は感じられなかった。穏便に済ます為にかわそうとしたが、そのまま連続突きを仕掛けてきた。僕はリアから離れて避けることに専念する。殺す気はないが傷つけることには躊躇いが無いようで、急所は外しているが攻撃自体に迷いが無い。


「すみませんが少し冷静になって話しを聞いてくれませんか? 」


「黙りなさい。この悪党が!」


 相手の攻撃を避けながら、話しかけるが全く聞いてくれそうにない。倒すのは簡単だが女性を傷付けたくないし、どうしようかと考えていると、もう一人の男が魔法を放とうとしていた。僕は不意に体制を崩し、隙をつくった。


「せい!」


 女性は僕の隙を逃すまいと力を込めた一撃を放った。


 大振りの一撃を待っていましたとばかりに、少し本気で避けて、女性の剣を持つ右手首を掴み間接を極めて動きを封じ込める。そして、リアに向かって


「リア、この人たちを止めて。」


 呆気にとられていたリアは大きな声で叫んだ。


「二人とも止めて下さい! この方は恩人です。無礼ですよ!」


 男性は魔法を放とうとしていたが、リアの声で止めたのを確認した。


「君達はリアが言っていた仲間の方だね。僕はサーク、リアに何もしてないよ。」


 極めていた手首を放し距離をあけた。


 改めて見てみると、かなりの綺麗な顔だが、勘違いをしていたことが恥ずかしかったか、それとも動きを封じられたのが悔しかったのか、顔を朱く染めている。


 男性の方はというと、いつの間にか、リアの横に移動していた。


「リア、大丈夫かい! あの男に何もされていないかい? 」


 男性は僕を無視してリアに話し掛けた。


「私は大丈夫です。先程も言った通り、この方は危ないところを助けて頂いた恩人です。」


 リアは男性にそう言うと、僕の方に向いて


「サーク様、仲間が無礼をし、申し訳ありません。」


 そして仲間に向かって


「二人ともサーク様にお詫びをして下さい。」


 二人は顔を見合わせて


「すまなかった。」「すみませんでした。」


 僕に同時に頭を下げた。


「いいよ。それだけリアの事を心配していただけだから。」


 と、手を振りながら応えた。


「あ!」


 リアは何かに気が付き、僕の手をレイラさんに差し出した。


「レイラさん、サーク様に癒しの魔法を」


 言われて見てみると手の甲から血が出ていた。


「これくらい大した事ないよ。気にしないで。それに……」


「そんな訳にはいけません。」


 間髪入れずにリアが言う。


 レイラさんが近くに来て魔法を使うと、


 パーン!


 癒しの魔法が弾けて消えてしまった。


「「「え!」」」


 三人とも驚き声を上げた。


 レイラさんがもう一度魔法を使ったが、結果は同じだった。


 僕は皆に


「僕に魔法は効かないから、もういいよ。傷も大したことないから。」


 と言うと、リアは自分魔法を掛けようと、僕の手をとった。


「生命を司る光よ。彼の者の傷を癒し給え。」


「!!!」


 驚くことに、レイさんより小さな魔法は、僕に弾かれることもなく、傷を癒していった。


「へ~ 魔法で傷が癒えるのって、こんな感じなんだ。」


 僕は手を返し返し見て、つぶやいた。僕が手を見ながらつぶやいていると、リア達が聞いてきた。


「サーク様は、魔法の効きにくい体質ですか? 」


「君は、何か封魔のアイテムでも使っているのか? 」


「レイラの魔法は弾かれて、リアの魔法は効くのはなにかあるのかい? 」


 上から、リア、レイラさん、誰???


「え~と、別に仕掛けもアイテムでもなく、体質的に魔法が全く効かないはずだったのに、リアの魔法は効いたな~? それより、貴方の名前は? 」


 そう言って、男性の名を尋ねると


「あ〜、すまん。名乗ってなかったな。名はカルロ よろしくな。」


 カルロさんはそういえばみたいな顔で名乗ってきた。


 僕は軽く会釈を返し、リアに向かって


「リア、君の魔法は何か特別なの? 」


 逆に尋ねると少し慌てて


「え! 何か変でしたか? 」


「さっきも言ったように、昔から僕に魔法は全く効かないから、今みたいに回復したことがなかったから……! 」


 と話している時に気が付いた。


「そういえば光魔法ってことは、リアは王族の血筋を引いているの? 」


 一瞬、体をビックッと反応させたが、リアは頷くとフードから顔を出した。


「はい。本当の名前はセシリアと言います。」


 フードから出した顔は、綺麗な金髪で、絹の様な滑らかな髪をポニーテールしていて、深く蒼い瞳は一種の神秘さを讃えているようだ。


 顔立ちは少女の可愛らしさの中に、大人に成長する美しさがあり、僕は少しの間、見とれてしまった。


「サーク様、そんなに見つめられると困ります……。」


 リアは頬を染めて目を逸らしながら呟いた。


 僕はドッキッとし


「ごめん。」


 と何故か謝ってしまった。


 リアの隣では、カルロが顔に手を当てて


「姫様、折角お忍びで来ているのに、簡単にバラして……っっっっ ぃった!」


 ガン!と音が聞こえぐらいの勢いでレイラさんがカルロさんの足を踏み付け


「カルロは少し黙っていなさい! サーク殿、私達には事情あって、セシリア様の事は内密で、お願いします。」


「ええ、分かりました。王家の森に関係することですか? 」


(王家の森は、聖域に指定されており、奥には王家縁の塔がある。森の中には獣だけでなく、高位の幻獣などもいるので、一般の者は近づかない。)


 僕は返事をする。


「もし良ければ、僕が森の中を案内しますよ。」


 次の言葉を告げる。


 話し掛けた時に、王族の方に対して、いつもの口調ではまずいと思い、口調を変えた。


「リア…… セシリア様、私の家系はこの森の管理を王家から任されています。森の中は知り尽くしていから、安全に移動できると思います。」


 セシリアは少しショックを受けた顔で


「サーク様、先程までの砕けた話し方のままで、お願い出来ませんか? 」


「しかし、それでは王族の方に対して失礼に当ります。」


 セシリアは捨てられた子犬みたいに、今にも泣きそうな顔で僕の顔をジッと見つめてきた。


 僕はセシリアの顔を伺いながら少し考えたが、この顔には勝てずに了解してしまった。


「わかった。」


 セシリアの顔がパッと明るくなった。


「その代わりにセシリアも、僕に様付けは止めて。」


「でも、サーク様は恩人の方ですし……」


 僕はセシリアの言葉の途中に話した。


「困っている人を助けるのは当たり前のことで、何も特別なことをした訳じゃない。特別なことは何もないから、様付けは止めて。」


 セシリアは納得のいかない顔だが


「う~ 、分かりました。次からサークさんとお呼びします。」


 話し方がまとまろうした時に


「駄目です! セシリア様は王族の方ですから、自覚を持って頂かないと、示しが付きません。」


 レイラさんはセシリアに対して説教を始めた。


 30分後……


 セシリアはレイラさんに対して


「私のお願いをきいて下さい。」


 少し涙を浮かべて言った。


 レイラさんは少し怯んで、了承の頷きを返した。


 僕はその姿をみて、セシリアは以外と、したたかな性格をしているなと思った。


 僕はそろそろ良いだろうと思い


「セシリア、この森の何処にいくの? 」


「はい、森の中心部にある塔までです。」


「塔までか~、今から向かうと着くのが夜になるから、一旦僕の家で泊まり、明日の朝から向かおう。」


 僕達は一度森の外れにある僕の家に向かった。


 僕は向かっている道中で、気になっていたことを尋ねた。


「セシリアはどうしてファンブルに追いかけられていたの? 」


 セシリアは僕から目を逸らしながら


「え~と…… その~…… 」


 恥ずかしそう言ってきた。


「お昼ご飯を食べてから、休憩しているとファンブルの子供が寄って来たので、遊んでいました。」


「ちょっと遊びに夢中になって、レイラさん達とはぐれてしまいました。」


「すると、草むらからファンブルの親が出て来て追いかけられました……」


 横で聞いていたレイラさんは


「セシリア様、急にいなくなり、どれだけ心配したとお思いですか! これだけは言わせてもらいます……」


 ……20分後


「……良いですか、これからはしっかり守ってくださいね。約束ですよ!」


 説教が終わったと思ったら、セシリアは僕の背中に回り込み、レイラさんに向かって


「い~だ!」


 と言って隠れた。


 レイラさんは怒った顔になり


「セシリア様! 」


 怒鳴り声を上げた。


 その後はカルロさんが止めに入って、殴られたり……


 まぁ~ そんなやり取りをしていると一軒の家が見えてきた。


「あれが僕の家だよ。今日は誰も居ないから遠慮はいらないから。」


 そう言って、皆を家に招き入れた。


 ……そうして、出会いの一日は過ぎていった。

前の0話から5話をまとめて少し加筆しました。

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