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「彼女」


 僕は彼女に近づくと、

 「ひさしぶり。おれだよ。おれ」

と言って自分の顔を指差した。

 「やっぱり弘君だったのね。

 さっきから、

 そうじゃないかと思っていたの」

 「元気だった?」

 「ええ。弘君の方も元気そうね」

 丁寧な言葉使いであったが、 

 その声はまさしく彼女のものだった。

 でも、声とは裏腹に、

 彼女はこの僕でさえ一目見て気づかないくらいに

ずいぶんと変わっていた。

 髪は肩にかからないくらいに短くなっていて、

 うっすらと化粧もしていた。

 化粧のためか、

 瞳は昔より大きくなっていた。

 頬はふっくらとしていて

耳には小さな金のイヤリングをつけ、

 仕立てのいい白いワンピースを身につけていた。

 昔のような野生的な雰囲気はなくなり、

 むしろ、

 上品な雰囲気を漂わせていた。

 「きれいになってるから、

 最初はわからなかったよ」

 「あら、あたし、

 昔はそんなにひどかった?」

と言って、

 彼女はいたずらっぽく笑った。

 「いや。

 昔も美人だったけど、

 今はもっときれいだよ」

 「ありがとう。

 弘君の方もずいぶん変わったわね」

 「恰好よくなった?」

 「冗談いわないでよ。

 ずいぶん老けたわよ」

 彼女はそう言うと、

 僕の薄くなった頭を見た。

 「相変わらず、口が悪いな」

 「御免」

 彼女は、

 そう言うとぺろっと舌を出した。



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