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「二種類の乗り物」
それから、
1時間ほど歩くと、
ちょっとした民宿、
土産物屋、
食堂などが並ぶ場所に出た。
湖畔には貸ボートや貸し自転車もあった。
サクラナはそちらの方を指差して言った。
「まだ時間あるから、
どっちか乗らない?」
吉野は考えた。
ボートにも乗りたい。
でも漕いだことがないし。
スケートみたいなことになってはかっこ悪い。
自転車の方なら心配無いだろうと。
「自転車に乗ろう。
湖は冷たいからまだボートは早いよ」
と理屈に合っていない理由をつけながら笑顔で言った。
「うん」
貸し自転車屋には、
普通の自転車の他に、
サドルの二つ付いた二人乗り用の自転車があった。
そして、
サクラナは二人乗り用の自転車を指差した。