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「ちょっとした妄想」
吉野は昼食を取り終える
とその場で横になった。
サクラナの方は後片付けをしていた。
吉野は雲一つない青空を見つめながら、
十年後の自分を想像した
--今と同じように寝転んでいる吉野の周りを
二人の小さな男の子が元気に走り回っている。
これをサクラナがにこにこ笑って見守っている--
吉野は思わずにやけてしまった。
サクラナは、
そんな吉野に気付いたのか、
「どうしたの?」
と言って、
吉野の顔を覗きこんだ。
吉野は少し顔を赤らめ、
「なんでもないよ。
そろそろ出発しよう」
と言いながら起き上がった。