表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/83

「卒業と第二ボタン」


 そして、卒業の時が来た。

 サクラナに告白する絶好のチャンスであった。

 吉野は

密かにサクラナをスケートに誘うことを考えていた。

 吉野は、卒業式が終り互いに別れを惜しむ中、

その機会をうかがっていた。

 そこへ、

 同じクラスの細島和江という女が吉野に声をかけた。

 「吉野くん、ちょっと来て」

 和江はそういうと手招きをして、

 吉野を屋上まで連れ出した。

 そこには、好美がいた。

 好美はおとなしく無口で

吉野のクラスでは目立たないほうだった。

 勉強会でも一番静かで

いつも吉野たちの話しを黙って聞いているだけだった。

 サクラナを動の典型とすれば、

好美は静の典型といった感じであった。

 容姿は良く見れば美人と言えるかもしれないが、

 顔の造作が地味なので

一見しては普通の女の子にしか見えなかった。    

 「好美が握手して欲しいって、

それからできれば第二ボタンも...」

 和江がそう言うと、

 好美は顔面を真っ赤にして、

小さな右手をそっと差し出した。

 吉野は黙ったまま好美の手を握った。

 すると、

 好美の瞳から涙が零れかかった。

 吉野は好美の手を一度強く握りしめ、

 「ありがとう」

と言って手を放した。

 そして、

 吉野は迷ったが、

 制服の第二ボタンをちぎり取ると、

好美に渡した。

 その瞬間、

 好美の瞳から涙が零れ落ちた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ