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「ピンク色の封筒と長い授業」


 吉野は

何故かその場で封筒を開く気にはなれず、

 それを見つめるだけだった。

 何だこれは。

 吉野が考え込んだとき

四時限目の開始を知らせるベルがなった。

 吉野は

封筒を鞄にしまいそれ以上考えるのをやめようとした。

 しかし、

 封筒の中身が気になり、

四時限目の授業も教師の話がいっこうに頭に入らなかった。

 何だ、あいつは、こんなものよこして、

 吉野は封筒の中身を見てもいないのに

何故かサクラナの行為に憤った。

 いや、

 封筒の中身が判らないからこそ

憤っていたのかもしれない。

 昨日の口論が只の喧嘩だったら

吉野はこうも興奮しなかっただろう。

 そして、

 只の喧嘩なら封筒の中身も予測し得ただろう。

 だが、

 吉野にとって昨日の出来事は只の喧嘩ではなかった。

 だからこそ、

 吉野はこんなにも憤ったのである。

 何が入っているんだ、早く中身がみたい、

早く、吉野は終業のチャイムを待った。

 しかし、そんな吉野に意地悪するかのように時は

いっこうに進まなかった。

時計の針はまるでスローモーションで見るかのように

ゆっくりとゆっくりと動くだけだった。


『あと30分』

『あと25分』

…………

『あと5分』

…………

『あと2分』


と吉野が数えたとき、

授業の終りを知らせるチャイムがなった。

 吉野は初めて教室の時計が2分遅れていたことに気付くと共に、

なんとも言えないような脱力感に襲われた。


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