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「ピンク色の封筒」

 

吉野は家に帰り一人になると

落ち込むというより腹が立った。

原因はもちろん



あんたが欲しいんじゃないの。

あんたも素直じゃないわね。

素直に言えば幾らでもあげるのに。



というサクラナの言葉であった。

 傲慢な態度にあの下品な言葉遣い。

あんな奴に一年以上も恋をしていたのか。

 あんな奴に


 「誠に恐縮でございますが……」


 なんてばか丁寧な言葉を使うなんて。

 畜生。

 そんな怒りと悔しさで興奮し、

 その夜吉野は一睡も出来なかった。

 


一晩たっても樫の言葉は耳を離れず、

 それに、

 寝不足が追い討ちをかけたので

吉野はますます腹が立った。

 授業中も教師の言葉が耳に入ってこなかった。

 3時限目が終ったころには、

 吉野の怒りは絶頂に達し、

 今にも爆発しそうだった。

 そこへやって来たのが弘子だった。

 自分の席にじっと座りどこを見るでもなく

視点を一箇所にすえ怖い顔をした吉野の様子をうかがうようにして、

 弘子が声をかけた。

 「昨日はどうも。

 これ、サクラナから」

 それだけしけ言わず、

 ピンク色の封筒を吉野の机の上に置くと、

 弘子は逃げるように去っていった。


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