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モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


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46話 エリアナを優しく包む皆の好意

セドリックがエルランドから説明を受けている頃……。




別の場所では、平民三人衆からの報告書をアーノルド殿下が目を通していた。


秘密のお店では報告書を読み終えた殿下が、呆れ果て大きな溜め息を吐く。

殿下の溜め息に反応した三人衆は、身を小さくしてしまった。


「すまない!君達の事ではないから、気にしないでくれ。

貴族科の様子に、溜め息しかでなくてね……。」


アーノルド殿下は目を通した報告書を側近達に回した。

一人読み終えると隣に渡す。

報告書を読み終えた側近達は、全員が同じ苦い顔をする。


黒髪の美しい容姿の男性が、殿下に声をかけた。


「殿下。殺ってもいいよな?アナに舐めた態度のあいつ等は、この世にいらない。」


見た目に反して過激な言葉を口にする美丈夫に、トニー・マーク・ジル達三人は抱き合い震えていた。


「お前なぁー。三人が怖がってるぞ。」

側近の一人が美丈夫に声をかけた。


美丈夫は三人衆に視線を向けると、

「すまない。アナの事になるとつい……。」


美丈夫に謝罪された三人衆は、首が壊れそうなくらいブンブン振り気にしていない!

と、必死に返事をする。


殿下がふとある事を思い出し、口を開いた。


「そう言えばお互い名を名乗っていなかったな。」


全員がお互い名を名乗っていない事に気が付いた。


先に側近五人を殿下が紹介する。


エドワルド・イーネ侯爵令息

サニエル・メイソン侯爵令息

アロンソ・イェガー伯爵令息

マチアス・ギアーズ伯爵令息


殿下に名前を呼ばれた四人は、一人一人宜しく。と、三人衆に挨拶をしてくれた。


高位貴族のオンパレードに、三人衆は萎縮してしまい、体をガチガチに固めてしまった。


最後に黒髪の彼が紹介された。


フェリクス・ジールマン侯爵令息


美丈夫な彼は、口元をあげて宜しく!と、軽口で挨拶をしてくれた。


(((……ジールマン?


  ジールマンっっ!!)))


三人衆が同時に席から勢い良く立ち上がった。

フェリクスを見て口をハクハクさせるが、言葉を発せずににる。


三人衆は平民如きが口に出来ない

「何か」

に気が付いてしまう……。

口にしたい事を、どう伝えれば良いのか解らない。

解らないが、自分達平民が知って良い内容では無い事だけは理解出来た。


「やはり貴方達は賢いね。セドリックが気に入るのも理解出来るよ。ジールマンの名前を聞いて一瞬で察せれるなんてね。」


殿下は三人衆の能力に感心していた。


一方の三人衆は震えながらも椅子に座る。


「察しの通り、筆頭魔法師団長の子息のフェリクスだよ。」

殿下の言葉は普通に聞けば正しいのだ。

だが、ジールマン侯爵家には子息はエアハルト一人しかいない。

なのに、ジールマンを名乗るとなれば隠し子、もしくは養子になる。


「ジールマン侯爵家に子息がもう一人いたなんて話は聞いた事がないよな……。」

「それなら、貴族科でも魔法科でも大騒ぎになる筈だし……。でも、なぁー……。」


マークとジルが小さな声で呟いた。


「うん。エアハルト本人は何も知らされていない。だから、学園の者も誰も知らないんだよ。

それにフェリクスは学園には通わないからね。フェリクスは冒険者ギルドか私の王宮の執務室にしかいない。

今日はエリアナ嬢の顔を見たくて、態々子爵家まで私を迎えにに来たんだ。」


(((殿下は軽く答えてくれたが、フェリクス様の存在が表に出る時が来たら……。

エアハルト様の廃嫡を意味する事になる……。)))

三人は同じことを考えている。


しかも、自分達は貴族間の闇の部分に触れてしまったのだ。

何をしようと、この人達からは逃げられなくなってしまった……。


三人衆は顔面蒼白で、今にも倒れそうな雰囲気を出している。


フェリクスがそれに気が付き声をかける。


「君達は悪い方に考えてない?俺の存在は確かに機密事項だよ。知る者は限られている。陛下と宰相とギルマスと、この側近達だけだ。

君達からしたら雲の上の人物だと思うよね。王族に高位貴族。

でもね、逆に考えたら一生関わり合う事のない事案に関わるんだよ?恐怖を抱くのではなく、興味を持ち高揚感に変えてみなよ。違う世界に足を踏み入れるのも、楽しいと思うよ?」


優しく話すフェリクスの言葉を三人は真剣に考える。


フェリクスは三人がエリアナに憧れ敬っているのを聞いていた。

アナの事を知るフェリクスは次に口にする言葉に確信があった。


「それに、アナは君達と仲良くなれる筈だよ。アナは身分を問わず一生懸命に生きる人物を好む。家族の為に特待枠になり支える君達と絶対に仲良くなれる。」


フェリクスの補足に、三人達の気持ちが上がる。

「エリアナ様と仲良くなれる……。」

ポツリとトニーが呟くと、三人は顔を合わせて頷きあった。


三人は名を名乗り、後ろ盾の家門を伝えた。

この場で家門の名を出せた事で、役に立てたであろうか……。

三人は家門に迷惑が行かないか、それだけが不安だった。


「侯爵家も伯爵家も、殿下や側近達に家名を名乗れた事は誉れだよ。帰って報告すると良い。全て内密な話しだからそれは伝えてはならない。なので、私達に頑張っている姿を認められ目を掛けて貰った。とかね!

もし、私達と共にいて何か言われるならば、周囲にそう言ってもらって構わないからね。」


殿下の言葉にホッと息を吐くと、帰ってから報告をしよう!

三人は帰宅を楽しみに、報告書には書いていない今日の貴族科での報告を始めたのだった。



※※※



一方のギルドマスターの部屋では、フェリクスについての話をエルランドが始めていた。


「あいつの名前は、フェリクス・ジールマンだ。」

エルランドの言葉に、セドリックが目を見開いた。

「まさか……。」

セドリックは直ぐ様察したのだった。


「フェリクスは魔力量が半端無い上に、魔法魔術どちらも長けている。だが、剣術は皆無だ。

黒髪を忌避しない国だが、他国から来る冒険者の目に止まりギルドで騒がれた。

それがアイツが12歳の時だ。

アイツをギルドで隠して育てていたが、騒がれた為にアイツの事をどうするべきか考えた。

その結果、冒険者ランクも高く年も同じ。魔法魔術も長けたエリアナに面倒を見てもらっていた。」


セドリックはそんな話は報告に無かったし、エリアナからも聞いていない。

ゆっくりと視線をエリアナに向けるが、申し訳なさそうな顔をするだけだった。


(そうだった……。誓約魔術がかけられていたからな……。)


嫉妬心や苛立ち……様々な感情が湧き上がるが、仕方なかったと無理に抑え込んだ。


「エリアナに預ける事が決まり、ギルベルト子爵にも説明はした。誓約魔術を受け入れて貰い、領地に住まわせる許可も貰った。

そんな時に、ジールマン魔法師団長がギルドに来てな。黒髪の子供に会いたいと言ってきた。黒髪は膨大な魔力保持者である事を知っていたのか、彼は自分の籍に入れたいと申し出をされた。」


(その時からエアハルトを見限っていたのか……。)

セドリックは魔法師団長の考えを読む。


「エリアナとフェリクスを魔法師団長に合わせ、子爵家で暫く匿う事が決まった。

そこから二人は領地でお互い切磋琢磨して魔法と魔術の腕をあげた。

フェリクスは剣術がさっぱりだから、冒険者ランクはAランクのままだがな。」


笑いながらエルランドが話しを続ける。


「エアハルト殿は転生者の一人に侍り、側近としての役目を放棄している。

魔法師団長として国と民の命を守る役職にあるのだ。家族だからと放置する立場にはない。有事の際には前線に立つのだからな。」


エルランドの話す内容は正論である。


セドリックはエアハルトの事に興味は無かったが、重い内容を聞かされ少しばかりの同情心は抱く。


「彼が子爵領にいたなら、密偵から報告が無いのも仕方ないのか。」


セドリックの言葉にエルランドが問いかけた。

「領地で男に接触するとは思わなかったのか?」


「最初は密偵を送りましたよ。でも領地のエリアナは異性に接する事が無いと言うか……。邸か領地の視察か森の討伐。この三つしか行動しないので、子爵領への密偵は打ち切りました。」


エリアナはセドリックの話を聞き、何だか恥ずかしくなってしまった。

若い令嬢がする行動では無いからだ。


社交界に顔を出すより、冒険者ギルドに顔を出す。

ドレスを買うならば、領民の為に農機具を買う。


そんな生活は、年頃の娘がする事では無かった。


「エリアナちゃんは確かに令嬢とは逆の生き方をしてきたわ。でもね、私もギルマスもセドリック様も、そんなエリアナちゃんだから大好きなのよ?支えたいし守りたい。そう思わせるエリアナちゃんは、もっと自信を持って良いのよ。」


マリーがエリアナの気落ちする心に気が付いて、そう声をかけた。


エリアナはマリーが伝えてくれる優しい魔法の言葉が、スーッと心に染み込むのを感じていた。

胸の温かさを感じ、瞳に薄っすら涙が溜まる。


(今は泣いては駄目!)


エリアナは目をギュッと閉じ俯いた。

気持ちを落ち着かせ、ゆっくり目を開けマリーに視線を向けた。


「ありがとうございます。マリーお姉さま!」

嬉しさを隠さず、微笑んでお礼を伝えた。


エリアナの満面の笑みを間近で直視したマリーは、頬を赤らめエリアナの笑みに魅入っていた。

エリアナはマリーが体をプルプル震わせている事に気がついたが……。


「なんて……!なんて可愛い笑顔をするのよー!!」


マリーは大絶叫をすると、エリアナを自身の胸に顔を埋めさせエリアナの頭を何度も撫でる。

可愛い!ヤバい!尊い!と、ブツブツ言っている……。


エリアナはマリーの大きなお胸の中で、初討伐の報告で抱きしめられたギルドでの出来事を思い出していた。

(マリーお姉さまは、いつも私に勇気をくれる。大好きだわ!)

エリアナはマリーをギュッと抱きしめた。


仲良し姉妹のような二人をエルランドは呆れた顔で、セドリックは羨ましそうな視線で眺めていた。


中々離れないマリーとエリアナに話が進まないと、エルランドが声をかけようとしたが。


「仲が良いのは解りました。ですが、良い加減リアを返して下さい!」


嫉妬心剥き出しのセドリックが、エリアナの腰を掴むとグイッと引き離し自分の腕に閉じ込めたのだ。


エリアナをきつく抱きしめ、エリアナの後頭部と腰にセドリックは手を回す。


セドリックの胸に顔を押し付けられたエリアナは、セドリックから香る香水でアタマがくらくらする。

控えめに纏うセドリックの香水……。

胸いっぱいに感じる距離にいても良い事実に、エリアナは泣けてきた。


こんなに大事に大切にされ、愛を態度で示してくれる婚約者。

この世界で素敵な人に出会い、愛された。

そして自分も愛しているのだと。

そう思い知った。


(好きだけじゃない、この熱く苦しい気持ちをセドにちゃんと伝えよう。)


エリアナはセドリックの背中に手を回し、ギュッと抱きしめ返した。


「愛してくれて、ありがとう。セド。」


きつく抱きしめられながらも、顔をあげセドリックの瞳を覗き込む。

セドリックはいきなりなエリアナの言葉に驚いている。

エリアナはそんなセドリックの表情にクスリと笑うと


「セド。愛しています。」


そう言葉を伝えた。


セドリックはエリアナの言葉が耳に入り、顔を真っ赤にしていく。


エリアナがじっとセドリックの瞳を見つめると、薄っすら涙を浮かべた。


「私こそリアを愛しています。」


蕩けそうな笑みを浮かべ、エリアナの頭頂に口付けを落とすと更にきつく抱きしめた。


マリーはその姿に頬を赤らめ瞳を潤ませる……。

仲良しな二人を見るのが癒しであり、大好きなのだ。


この二人のいちゃいちゃを止めようとするエルランドと、それを阻止しようとするマリーの静かな攻防を自分達の世界に浸る二人はまだ知らない。


我に返った二人が、マリーとエルランドが部屋でバトルを繰り広げる光景に驚くまで……。


もう少し時間を頂く事になる。


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