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モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


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44話 殿下に全てを話しちゃえ

気不味い空気が流れる……。


・セドリックはエリアナの事を話すつもりは無い。


・アーノルド殿下はエリアナにもう一度確認の為に聞きたいが、セドリックの無言の圧で口を開けない。


・エリアナは、どうしようか……。悶々と悩んでいる。


何とも言えない空気だけが流れる……。




『話しちゃえば良いじゃん!そいつは魂が綺麗だから、大丈夫だよー。』


いきなり陽気な声が響き渡る。


エリアナの側にプカプカ浮かぶ少年を見た殿下は、口を開けたまま固まっている。


セドリックとエリアナは気にした様子もなく、ジト目を向けている。


『そんな目を向けないでよ……。』

神様はエリアナの顔の近くに来て、ガックリと頭を垂れた。


「また余計な時に出てきますよね。」

セドリックの冷たい一言を聞き、神様が反論する。


『ずっと黙っていたら先に進めないでしょう?エリアナは悩んでるみたいだし。話しちゃえば楽になるじゃん!』


神様が必死に力説するも、

「リアに部屋から絶対に出ないように言われてましたよね?リアとの約束を破ったら、おにぎりは暫く無しでしたよね?」


セドリックの言葉に忘れていたのだろう……。

神様の顔が青褪めて行く。


『おにぎり……。』

ポツリと呟き、ションボリとなってしまった。


エリアナは神様がいきなり現れた事には驚いたが、神様の後押しは有り難く思っていた。


「神様ありがとう。殿下に話すのかどうかを悩んでいたの。以前の殿下を思い出すと、話さない方が良いとも思って。

でも、今の殿下なら話しても大丈夫な気がして……。魂が綺麗って教えてくれたから、話す事にするわ!」


エリアナがションボリする神様の頭をヨシヨシする。


『おにぎりは?』

神様はエリアナを上目遣いで見ると、小さな声で聞いてきた。


エリアナはクスクス笑いながら、

「沢山作りますよ?」


そう伝えると、元気になったのか浮かびながら部屋中を飛び回った。


エリアナの隣からは、「チッ」と、舌打ちが聞こえた。

エリアナがバッとセドリックを見ると、不機嫌な顔で神様を見ていた。


神様は飛び回るのを止め、エリアナの隣に浮かぶ。


『セドリックはエリアナの秘密を知られたくないんだよ?家族は仕方ないにしても、エリアナの秘密は、セドリックだけが知っていたかった。簡単に言えば嫉妬だよ!』


エリアナの耳元で神様が囁いた。

その言葉が聞こえたのか、セドリックが神様に冷たい視線を向ける。


(嫉妬か……。独占欲強めよね。)


エリアナは神様の囁く言葉に、照れくさそうに微笑む。


セドリックと神様は何やら言い合いを始めた。




(エリアナ嬢とセドリックは、宙に浮かぶ少年を「神様」そう呼んでいた……。

神様って、あの神様なのか?!)


殿下の頭は大混乱中……。

思考が上手く働かないでいる。


「殿下、私からお話があります。

ですが、この話は私の両親とハーマン公爵夫妻。それに、ギルドマスターであるエルランドさんしか知らない事です。陛下にすら伝えていません。他言しないと約束して頂けますか?

あ!後二人知っている人がいますが、まぁ人数にいれないで良いでしょう。」


エリアナの言う「後二人」は、リリアーヌ女辺境伯と娘のキャシーである。

エリアナはこの二人には、今のところ無関心でいる事を決めたのだ。




エリアナが殿下を見つめ、真剣な表情で問いかけた。


「解った。他言はしないと約束する。不安ならば、制約魔術を結んでも構わない。」

殿下は頷くと、制約魔術の言葉まで出してきた。


「そこまでは大丈夫ですよ?殿下を見ていて誠実な方だと理解していますし。」


エリアナが殿下にそう伝える。


「以前の殿下ならば悩んだと聞き、自身が愚かだった事を再度認識出来たよ。」

殿下は苦笑いをしながら、エリアナに話す。


「も、申し訳ありません。失礼でしたね……。」

エリアナはついつい出ていた無礼な発言を謝罪した。


「リアが謝る必要はありませんよ?私も以前の殿下には呆れる以外の言葉は見つかりませんからね。」


セドリックが神様を脇に抱え、席に戻って来た。


『セドリック!離せよっ!』

ジタバタ脇で暴れる神様を、セドリックは空中にポイっと投げた。


セドリックが最近神様にする遊びだったので、エリアナは気にしていなかった。


でも、神様と呼ばれる人物をセドリックが放り投げたのだ!

それを目にした殿下は、勢い良くソファーから立ち上がり口をハクハクしながらセドリックを指さした。


「大丈夫です!殿下。二人は時々こうして遊んでるんです。神様もあれで楽しんでるので放っておいて大丈夫ですから。」


エリアナは慌てて殿下を落ち着かせる。


「セドリックも神様も良い加減にしなさいっ!話が進まないでしょうっ!」


エリアナが腰に手をあて、二人を怒り始めた。

セドリックは怒る姿のエリアナも可愛いと話しを聞かない。


エリアナは神様にジト目をやり、

「神様も座りなさい。」

エリアナはセドリックを強引に座らせ、神様はエリアナを挟みセドリックの反対に座った。


「最初からお話しますね。」


エリアナは自身が転生者である事を伝えた。


産まれた時から曖昧ながらも記憶があった事。

高位貴族を避ける為に、隠し続けた事。

ダンジョンの入口で倒れた時に記憶を完全に思い出した事。


そして、この世界の物語の話を詳しく話した。


「全ての原因は、神様よ!」


エリアナが最後に言った言葉に、神様はグッと言うとションボリしてしまった。


「セドリックと出会えたから、神様を許す気持ちになったわ。今が幸せだから許せたの。」


神様をヨシヨシしながら、エリアナが伝える。


『あの娘達を選んだ事は、少しだけ後悔しているよ。ごめんね。』

エリアナを見て、神様が謝罪した。


神様が殿下を見て問いかける。


『お前の婚約者はエリアナのせいだと言うが、違うぞ?僕はこの物語をちゃんと知っている。ヒロインと悪役令嬢が一緒にいる時点で物語は破綻していると思わないか?敵同士が一緒にいるなんて、おかしいでしょう?』


神様がコテンと首を傾げ、皆に問いかけた。


「あのね。主要人物の性格が、物語とかなり違うのよね……。」


エリアナが殿下をチラリと見ながら話を始める。


「殿下や側近の方はかなり優秀で、貴族の令息令嬢達からの尊敬や憧れの対象だったの……。

学園でエイミー様と出会い、下位貴族ながら懸命に努力し明るく振る舞うエイミー様に皆は恋をするの。

それに嫉妬したイザベル様がエイミー様を排除するのだけど……。」



殿下は何とか物語のような人物になれている。

だが、側近達は腑抜けとなり、殿下の側近から外された事すら知らされていない。


学園で出会うはずのヒロインが、それ以前に出会い交流があるのだ。

しかもヒロインと悪役令嬢が共にいる。


「物語の全てが違っていますよね。

想像でしかありませんが、あの転生者の二人は自身がこの物語の中心人物である為、なにをしようと自分の不利益にはならない。そう考えたのでしょうね。」


セドリックの意見に、エリアナが小さく頷いた。


『自分達で物語の改編しておいてさー、エリアナを悪者にするなんて嫌な奴だねー。』


神様が呆れてそう言うけれど、

「あれを転生者させたのは誰でしたかね?」

セドリックの突っ込みに、神様が固まった。


「物語の中であると勘違いするのは仕方ないと思います。でも、この世界で私達は生きている。それをあの方達が理解しなければ……。」


エリアナと殿下はエイミー嬢やイザベル嬢の未来を思い、落ち込んでしまった。


殿下は眉間に皺を寄せ、何やら思案している。


自身の足をポンと叩き、エリアナ達に考えを伝える。


「後一月で長期休暇になります。その間に様子を見る事にましょう。

イザベル嬢とエイミー嬢は王宮に来る事を何らかの理由を付けて拒否します。

元側近達は長期休暇に入ってから、当主達に側近を外された事を知らされます。

パトリック達がそれでも負けじと長期休暇で冒険者ランクを上げる努力をするのか、当主達からの叱責を受けても変わらないのか……。見極める良い機会です。」


殿下の提案は悪くない。と、セドリックが了承した。


長期休暇が明けてから、騒がしくなるのは確定したようだ。


エリアナはため息を吐くと、紅茶に手を伸ばす。

冷えた紅茶を口にしていると、扉がノックされた。


エリアナが用向きを聞きに行く。


「殿下。お迎えの方が見えたみたいです。こちらに案内させていますので、そろそろ王宮に戻られた方が良いかと。」


エリアナが席に戻り、殿下に伝えた。


「側近にはここに来る事を伝えてあったからね。時間をきちんと考えて迎えに来るなんて、以前の私や私の周りでは考えられないよ。」


殿下は肩を竦めて、自虐込みでそう言葉を漏らした。


扉がノックされ、側近の一人が入って来た。


エリアナはその人物を視界に入れると、小さく肩を揺らした。


側近も一瞬だけエリアナに視線を向けたが、直ぐに殿下と話を始める。



エリアナは自分が一瞬焦った態度をとった自覚があった。


隣から感じる真っ黒な気配は、確実にエリアナの態度に苛立っている。


エリアナは一切セドリックを見る事なく、殿下と側近を部屋の中から見送った。


背後には魔王なのかな?

と、そう思われる気配が感じられる。


エリアナは身動き出来ず、じっと見送ったまま立ち尽くしていた。


「リア。あの側近と知り合いですか?」


地を這うような低い声をお腹に感じ、エリアナはどう説明しようか必死に考える。


神様はヤバい!と、さっさと消えていた。



エリアナは背中に流れる冷や汗など気にする暇もなく、必死に考えていた……。


(どう説明しても、セドリックの苛立ちは消えないかも……。)


エリアナは心の中で、大きな大きなため息を吐いた……。



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