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モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


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30話 セリーヌ夫人は策士

王妃様とのお茶会で疲労困憊のエリアナだった。が、目の前に座りニコニコ笑顔のセリーヌ夫人を見ると、逃げられないと覚悟する⋯⋯。


王宮に出仕している筈の父や公爵様までいる。

最初からお茶をしながら話を聞くつもりでいたのだろう。

サロンにはお茶の準備が用意されていた。


全員が席に着き、紅茶を口にする。


「王妃様との対面はどうだったかしら?」

セリーヌ夫人は、しれっとした表情でエリアナに話しかけた。


エリアナはそんなセリーヌ夫人に、ジト目を向ける。

「セリーヌ夫人の思惑通りになりましたよ?」

エリアナは一言だけ告げた。


セリーヌ夫人は一瞬だけ驚いた表情をしたが、満足気な笑みを浮かべた。


「そう⋯⋯。エリアナちゃんは、私の意図に気が付いたのね。」

セリーヌ夫人の言葉を理解する者は、女性達だけだった。


「セリーヌ?話が見えないが説明はしてくれないのかな?」

公爵が説明を求めた。


エリアナが王妃様との会話を全て話た。

王族に喧嘩を売った事を。


「アハハハッ!」

公爵がお腹を抱えて笑い出した。

「エリアナちゃんは本当に喧嘩っ早いな!良いねー。私は大好きだよ!」

公爵はそう言ってくれるが、父のギルベルトは顔面蒼白だった。


「エリアナ!大丈夫だ!何があっても、父と母で守ってやるからな!」

ギルベルトの言葉に、エリアナが父に自分の考えを伝える。


「もしも王家から処罰されるならば、私は平民になり他国に亡命するつもりです。Sランクの冒険者であれば、どこか受け入れてくれる筈です。」


エリアナの言葉に両親は青褪めていく⋯⋯。


「そのような事はさせません。我が公爵家がエリアナちゃんを守ります。相手が王妃様だろうと、容赦しませんわ。」

セリーヌ夫人がそう告げる。


「でも、そんな事にはならないと思うわよ?王妃様は気が付かれた筈。

利用され駒の一つとして扱われた事に⋯⋯。」


セリーヌ夫人の言葉に静まり返る


「王妃様は確かにエリザさんの事を後悔していました。その隙間にフィデラ夫人が入り込んだのです。

高貴で賢いからこそ、自身の行動の失態を無かった事にしたかった。もしくは同情して欲しかったのでしょうね。弱い自分に寄り添ってくれたフィデラ夫人に依存していましたし。」


セリーヌ夫人の話を私達が聞いて良い事ではない。でも、エリアナが関わっている以上は王妃様の事を知る必要があった。


「ですが、一国の王妃が臣下に依存するなどあってはならない。

あの方は、確かに王妃として立派に政も社交も熟していらっしゃる。

ですが、フィデラ夫人が関わると人が変わったように弱くなる⋯⋯。フィデラ夫人以外の側付きは、王妃様が目を覚さない場合の覚悟を決めていたくらいですからね。」


(王妃様を排除する覚悟があったと⋯⋯。)

エリアナはセリーヌ夫人がそこまで考えていたとは思わなかった。


「そんな時にエリアナちゃんとセドリックが婚約し、エリアナちゃんがエリザさんの為にいつも動いているのを知ったわ。

利用しようとした訳では無いけれど、エリザさんを貶めている中心人物のフィデラ夫人と、そんな夫人に依存する王妃様と対面させたらどうなるか知りたかったのよねー。」


(のよねー。って⋯⋯。)

エリアナは呆れ顔でセリーヌ夫人を見ていた。

エリアナはいつしかセリーヌ夫人に対して明け透けな態度になっていた。


「王妃様の事をどうするか考えていた時に、セドリックがトリス侯爵家を調べ始めたしフィデラ夫人の嘆願書は後を絶たないし⋯⋯。

エリアナちゃんを王妃様とぶつけてみたら、何か変わるかと考えたの。

王妃様とエリアナちゃんが普通に馬が合えば、繋がりを持つ事でエリザさんを守れるでしょう?

でも、トリス侯爵家の話がもし出たら必ずエリアナちゃんが王妃様をこてんぱんにすると思ったのよ!」


セリーヌ夫人はつらつらと話をするが、要はエリアナを使い王妃様にお灸を据えた。

それだけであった。


「セリーヌ夫人に利用された気もしますが、母の名誉を守れたと思っています。

セリーヌ夫人。ありがとうございます。」

エリアナは深く頭を下げた。


「王妃様の様子を少し見る事にしますわ。何か動くようなら申し立てを少し待つ事にしますが、動かないようであれば⋯⋯。ね?」


それを口にすると、セリーヌ夫人は紅茶に口をつけて喉を潤した。


(排除する。か⋯⋯。)


この国には公爵家が四家ある。その当主夫妻の四家全員の名で王族に対して異議申し立てを出せる。

議会が受理すれば、王族から排除される仕組みが取られている。


「母上が様子見をしていても、私とリアはコート伯爵家の令嬢を助けるように動きますが良いのですか?

エリアナがフィデラ夫人と対面するような事が起きたら、必ず揉めますよ?」


エリアナはセドリックの言葉を聞いて、バッと顔を見た。


「大人しくは出来ないでしょう?」

セドリックに聞かれたが、多分言い返してしまう予想はつく。


エリアナはスーっと視線を外し、知らん顔をした。

セリーヌ夫人が笑いながら、

「それは好きにしなさい。王妃様がフィデラ夫人に対しての初手が早いならば、エリアナちゃんとフィデラ夫人が揉める前に事は終わっている筈ですから。」


セリーヌ夫人の許可は貰ったので、私達は何も気にせずアーネットとケイシーを救う為に動く事にした。


「あ!!」

エリアナが急に声を出すので、全員がビクッとなる。

「リア?どうしましたか?」


「マリー夫人を置いて来ちゃった⋯⋯。」

エリアナがどうしようと、ワタワタし始めた。


「マリーならきっと大丈夫よ?上手くやるわ。」

エリアナは夫人のその言葉を信じ、心の中でマリー夫人に謝罪した。


その頃のマリーは夫人の言う通り、上手く立ち回っていた。


マリーは大勢の夫人の衣装を担当している。そこで聞く話にエリザ夫人の名前が出る事もあった。

トリス侯爵夫人の取り巻き達の会話を忌々しい気持ちで、ずっと聞いていたのである。

なぜここまでトリス侯爵夫人はエリザ夫人を貶めるのか⋯⋯。

随分昔の出来事に何時迄も執着する意味が解らない。

マリーは自分には関係無い事と知らない振りをしていた。

しかし、セリーヌ夫人を通してエリザ夫人と知り合いエリアナ様との繋がりが出来た。

二人を知れば知る程、トリス侯爵夫人を毛嫌いする気持ちと王妃様への不信感でいっぱいだった。


(私を置いて帰ってしまったエリアナ様。きっと王妃様と揉めた筈⋯⋯。)

マリーは心の中で面白がっていた。

セリーヌ夫人に話しを聞くのを楽しみに、王妃様付きの侍女に持参した衣装を渡し、早々にお店に帰るとセリーヌ夫人に手紙を送る。

エリアナ様の武勇伝を聞くために⋯⋯。



王妃様と対面した日から僅か数日で、トリス侯爵夫人の王宮の立ち入りが禁じられた。

王妃様の名の下、トリス侯爵へと通達された。


社交界ではその話で持ち切りらしい、


エリアナ達はまだ未成年な為、夜会にはほとんど参加出来ない。

学生の参加が許されている夜会は数回しかないのだ。

フィデラ夫人と王妃様の事には関わらない事にエリアナは決めていた。

噂話は耳にしても知らない振りを続けた。


エリアナはアーネットとケイシーを助ける為に、まずアーネット達の父親のコート伯爵家の当主の病を調べる事にした。


アーネットとケイシーには、こちらの事情を全ては話せない。

だが、エリアナの薬草の知識で体調を良く出来るかもしれないと持ちかけた。


「詳しくは話せないけど、私のスキルでアーネット様達のお父様を助けれるかもしれない。絶対とは言えないけど。一度、お父様に会わせて貰えないかしら?」

エリアナがアーネット達と自身の喫茶店に呼び、話をしてみた。


「良いのですか?可能性があるのならば、是非ともお願いをしたいです!」

アーネットとケイシーはエリアナに頭を下げた。


「学園も後一月で始まります。なので早目に向かいたいので日程の話をしましょう。」


伯爵家の領地に向かうのは、明後日となった。

伯爵様の容体を簡単に聞き、幾つかの病気とそれに使う薬草を頭に浮かべる。

明日は一日必要になりそうな薬草を摘みに行こう。


明後日、この場所に集合する事にしてアーネット達と別れた。


子爵家へ帰り、セドリックに明日森に薬草を摘みに行く事も。

明後日に伯爵家に向かう事を伝えた。


「何だか私はお留守番のような言い方ですが、勿論明日も明後日もついていきますからね?」

セドリックがリアの腰に腕を回し、優しく抱きしめる。

「伯爵様が治る様に、私も力になりますから。」


エリアナはセドリックの温もりに包まれ、明日からの活力をセドリックの愛情から満たして行った。



セドリックと森に入り、神様から貰った鑑定のスキルを使ってみる。

始めて使う鑑定に、ワクワクしながら薬草を覗いて見た。

この世界の名前の横に、日本での呼び名が記されていた。

効能も処理方法も、全て記されている。


鑑定が楽しくなり、辺りをキョロキョロしながら薬草を次から次に鑑定して行く。


「リア。鑑定が楽しくなったのは解りますが早く必要な薬草を採取しないと時間か無くなりますよ?」

セドリックの言葉に、エリアナがハッとなり急いで薬草を探しては鑑定し必要であろう薬草を採取して行く。


セドリックにも手伝って貰い、予定通りの薬草を集める事が出来た。


マジックバックに薬草をしまい、邸へと急いで帰る。

乾燥させなければ使えない薬草もある為だった。

セドリックには旅の支度をお願いした。

暫くあちらに滞在する事になるからだ。


「学園の入学までに、少しでも良くなれば良いけど⋯⋯。」

エリアナがポツリと呟いた。

セドリックがエリアナの頭をポンポンする。


「エリアナならきっと大丈夫な気がします。今回が無理でも、諦めず次に頑張りましょう。私もまたお手伝いしますから。」


伯爵様の体調を考えれば早目に何とかしたいけれど、急いだ結果何かを見落としたりしては意味が無くなってしまう。


「そうよね!焦りは禁物よね!」

エリアナは大きく背伸びをし、強張った体を解して行く。


「セド⋯⋯。」

小さく囁くエリアナの声にセドリックがエリアナの方に振り向くと、宙に浮かぶ神様がいた。


エリアナの顔の正面に浮かんでいる。

が、その顔は明らかに怒っていた。


『約束が違う!!』

神様はプンプンに怒り始めた。


エリアナとセドリックは思い出した!

神様とのお茶会の約束を⋯⋯。

二人は顔を見合わせ、苦笑いをした。


この後プンプンに怒りゴネる神様を宥めるのに、無駄な体力を使う事になったのだった。


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