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モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


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16話 転生令嬢が三人揃う⋯⋯

セリーヌ夫人が店主を呼び、私達の事を内緒にしてもらう。

従業員が用向きを聞きに来ないように。


令嬢達が近くの席で会話を続ける。


「それにしても、セドリック様は学園には来られないようね。エイミーさんの事が余程嫌いなのでしょうね。」

セドリックの名前が出て、エリアナがビクッと肩を揺らした。


エリアナは両手を口にあて声を殺す。

エリザとセリーヌ夫人を視てコクコク頷いた。

三人で会話を盗み聞きすることにした。


「あんただって実はセドリック狙いでしょう?知ってるのよ。」

エイミーががイザベルを馬鹿にしたように言い放った。


「あら?私は箱推しですから、出演者全員を推してますので。貴女と一緒にして欲しくないわよ?」


(イザベル様は箱推しなの?王太子殿下の婚約者なのに?)


「あんたは良いわよね〜。公爵令嬢で金持ちだし!?私は男爵だから、貧乏だしさ〜。日本の物を作ろうとしても、作り方を知らないから無理だし〜。」

はぁ〜。と、大きなため息を吐いたいた。


「私も詳しく知らないから良い物を作れないけど⋯⋯。転生者だからと、皆ちやほやしてくれるので気分は良いですわ。失敗しても転生者だから許されますしね。」


「そうね〜。転生者で良かったわ。

でも〜ダンジョン攻略しないと、私は先に進めないのよね〜。」

甘ったるい声で、エイミーが愚痴をこぼす⋯⋯。


「学園に入学すれはダンジョンに行けると思っていましたが、あんな裏設定があるなんて私も知りませんでしたわ。」


(やっぱり、あの時ダンジョンの入口で見たのは、乙女ゲームのスタートのイラストと同じだったのね。)

エリアナの予測は当たっていた。

ならば⋯⋯。


「ランクを上げて行くならば、セドリック様が助けてくれるはずなのです。続編は余り見ていないのですが、確かに貴女とセドリック様が一緒にランク上げをしておりました。」

イザベルが、続編のストーリーを話している。


「あんたが言うから〜、殿下達に色々言ってセドリックを側近に戻そうとしてるのに〜。戻って来ないし。

婚約者はいないって、あんたが言ったんじゃない!子爵家の女と婚約してるしさ〜。」

エイミーの愚痴が止まらない。


「殿下が何をしても、全然戻って来ないしさ〜。殿下の婚約者でしょ〜何とかしなさいよ〜。」


「私からは進言しませんわよ。面倒ですもの。」

チッ。エイミーが舌打ちをした。


「同じ転生者なんだから、助けなさいよね!!」

「ですから、私は誰の味方もしませんわ。ただ、物語を眺めるだけで十分ですので。」


「あんたが悪役令嬢をやらないのもいけないのよ!!なんで、ヒロインと悪役令嬢が一緒にいるのよ。」

はぁ〜。とまたもため息を吐く。


「私は物語を見ていたいだけですから、貴女がヒロインを演じたいなら好きになされば?」


「解ったわよ。殿下もセドリックも私が奪ってやるから。後悔しないようにねっ!」

「お好きにどうぞ。」


椅子がガタンと倒れた音がした。

エイミーは怒って出て行ったようだった。


イザベルも暫くしすると帰って行った。


(あの二人が転生者。セドリック様が言ってた学友の転生者ってあの二人なのね。)


「エリアナちゃん。大丈夫?」

セリーヌ夫人が声をかけてくれた。


「大丈夫です。たぶん⋯⋯。」


(ヒロインがセドを奪うって⋯⋯。)


エリアナは、不安になった。キャシー様が言ってた強制力が働いたら、セドはヒロインに奪われる⋯⋯。


例え強制力でも、セドが選んだなら仕方ないのだろう。

キャシー様に頼らないと決めたのだ。私は私のやりたいように生きるだけね!

悩んだり、覚悟を決めたり⋯⋯エリアナの思考は忙しい。


セリーヌ夫人とエリザは、急に青褪めたり握り拳を作って何やら決意したり⋯⋯。

百面相をするエリアナを観察していた。


エリアナが視線に気が付き、セリーヌ夫人とエリザを見た。

「あの二人は同じ国の転生者です。そして、あの二人がヒロインと悪役令嬢です。美味しくない食べ物を広げるなんて最悪です。」

エリアナは肩を落とし、しょんぼりする。


「エリアナちゃんは、セドリックが奪われる不安はないの?」

セリーヌ夫人が気になったので問いかけた。


エリアナは少し考えたが。

「不安は勿論あります。セドに好意があるので、そうなったら辛いとは思います。でも、セドが決めたのなら仕方ないかなぁと。手に入らない人に縋って生きるより、子爵家を一緒に守っていける人を探すだけです。」

姿勢を正し、しっかり答える。


「私は子爵家の後継です。役目があります。でも、それだけが全てではない事も理解しています。私が幸せにならなければ、両親もお姉様も納得しないでしょうし。」


娘の言葉に、エリザは強く頷いた。


「私は結婚する相手をちゃんと愛したいし、愛されたい。両親が私の理想の夫婦なのです。」

母エリザを見て、ニコリと微笑む。

娘に理想の夫婦だと言われた⋯⋯。エリザは泣きたくなるのを我慢する


「そう。エリアナちゃんは凄いわね。恋に浮かれる年頃なのにね。」


エリアナは内心、ギクリである。

前世を思い出し、前世の年齢の思考に引っ張られているのを自覚していたからだ。


「もしセドリックと破談になっても、リチャードがいるから大丈夫よ?公爵家はエリアナちゃんを手放さないから。」


さらりと怖い事を話すセリーヌ夫人⋯⋯。


セリーヌ夫人がエリアナとエリザの視線に気が付き答えた。


「だって、こんな可愛くて聡明な娘を他家に奪われるなんて嫌よ!絶対に私の娘になるのよ!あんな頭の悪そうな女が嫁になるなんて、絶対に嫌よ!」


エリザが扇子を口元にあて、笑い出した。

クスクス笑うエリザにセリーヌ夫人が少し拗ねた。


「セリーヌ夫人。ありがとうございます。」

エリザがお礼を口にし、エリアナも頭を下げる。


「夫人じゃなくてよ?」

エリザに指摘すると、

「そうでしたわね。セリーヌ様。」

ニコリと微笑むエリザに、エリアナもホッとする。

二人が仲良くする姿に、安心したのだ。


出された紅茶やお菓子を頑張って完食した。

エリアナは手を付けた食べ物を残す事は嫌いなのだ。


セリーヌ夫人は、そんなエリアナも気に入っている。

当たり前だが、食べ物は生きる為に大切なのだ。

それをきちんと理解するエリアナを、とても気に入っている。


「エリアナちゃん。今出された食べ物を知ってるのでしょ?作り方も知ってるかしら?」

セリーヌ夫人の問いかけに、

「作り方はどれも解ります。ですが、必要な素材がこの世界にあるのかは解りません。」


セリーヌ夫人が頷く。

「公爵家の商会にセドリックと行って確認したら良いわ。商会を立ち上げる時に、エリアナちゃんが作りたい物を売り出しなさい。名前は出ないように出来るわ。」


(私の夢⋯⋯。商会で自分の作る物を売る事は。でも⋯⋯。)


「考えてる物を売りたいとは思っていました。でも、私の知識は私が考えた物では無く、前世の誰かが作った物です。真似て出すのは、公爵令嬢と同じ気がして⋯⋯。」


「エリアナちゃん。この世界に来る転生者は国を豊かにする知識を持っているそうよ。あの二人を見ると信じられないけど。」


「でも、エリアナちゃんはちゃんと知識がある。良いか悪いかの判断も、しっかり出来る。エリアナちゃんが作る何かが誰かの喜びになるかもしれないし、助けになるかもしれない。」

「実際にマリーは下着やドレスに希望を見ているわ。」


「セドリックと話し合って、商会を立ち上げるのかを一度考えてみてね?」


セリーヌ夫人の言葉は、エリアナを褒める言葉ばかり。

心がポカポカ温かくなる。


「先程返事を濁したのは、セドに相談してからにしようと思っていたのです。私が前世の事で何かをする時は、相談したいとお願いしてあるので。」


セリーヌ夫人は優しくエリアナに話しかける。


「エリアナちゃんはセドリックを信頼し、頼りにしてくれてるのね。母親として息子が頼られていると知って、嬉しい限りよ!」


エリアナは照れて顔を赤くする。

セリーヌ夫人とエリザは、子供達の仲良さに安心する。

三人は喫茶店を出ると、子爵家に帰ってきた。


エリアナの帰りを待ち侘びていたセドリックが、挨拶もそこそこにエリアナを連れて行ってしまった。

呆れるセリーヌ夫人。

笑いを堪えるエリザ。

玄関ホールに取り残された二人が笑い合う。



エリアナを私室に連れて行くと、セドリックがエリアナを強く抱きしめた。


「あの女達と接触しましたね。」

エリアナはビクッと肩が跳ねた。


抱きしめられたまま、顔を上にあげると心配気なセドリックの顔があった。


エリアナは頷いた。

「顔は合わせてないけども、あの二人の会話を聞いたわ。あの二人が転生者よね?」

セドリックはエリアナを離した。


ソファーに座り、話しをする。


「あの店には、我が家の手の者を入れています。リアが転生者と知り、あの二人が転生者だと騒ぎ出した頃から情報を集めていました。

あの女達がリアに何かしないとも限らない。いつかリアが転生者と知られた時に、私は役に立ちたかったのです。」


セドリックの告白にエリアナは、目を見開き驚いていた。

会話もした事のない、顔も知らなかった時から自分を守ろうとしてくれた事にとても驚いていた。


「ありがとう。セド。」

ニコリと微笑みながらエリアナは話しを続ける。

「今日ねあの二人の会話を聞いたの。そしてセリーヌ夫人に言われた事で、セドに相談をしたかったの。」


エリアナがこれから話す事は、セドリックを確実に巻き込む。

だが、物語やヒロイン達に惑わされたくない。

エリアナの瞳は決意に満ちていた。

その瞳をセドリックは受け止めたいと思う。


これから二人の作戦会議が始まる⋯⋯。


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