表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/31

15話 転生令嬢は目覚め始める

連れて行かれた娘を心配したエリザだが、衝立の奥から聞こえる声に安堵の息を吐いた。

エリアナを褒める言葉が飛び交っていたからだ。



「申し訳ありません。従業員達も、妖精姫の衣装を作れる事が嬉しくて仕方ないのです。」

マリーさんの話に、母が問いかけた。


「エリアナが妖精姫。そう呼ばれているのですか?」

マリーさんが従業員に指示を出し、紅茶を用意させた。

セリーヌとエリザをソファーへと案内し、三人でお茶をしながらエリアナについて話をする。


「私達服飾を扱う者で、エリアナ様を知らない者はおりませんよ?来年のデビュタントの衣装をどのお店が担当するのか、密かに探り合いをしているくらいですもの。」


エリザはその話を聞き、紅茶を零しそうになった。

エリザはカップをそっと置き、娘についての話を聞く。


「エリアナは社交界にもまだ顔を出していません。お茶会さえ行っていないのですよ?誰かと間違われてるのでは⋯⋯。」

エリザの疑問は当然だった。

顔を知られていないのに、妖精姫とは⋯⋯。


「エリアナちゃんはね。ギルドに頻繁に行くでしょ?これは内緒だけども、ギルドには沢山の貴族の偵察が行くの。腕の立つ冒険者を家に迎えたいから。」

「でもね、腕の立つだけでは貴族の専属とはならない。その者の本質を見なければ家門に傷がつくかもしれないでしょ?」


冒険者は平民か貴族の後継から外れた者が多くいる。


「エリアナちゃんは全てが完璧よ。冒険者ではなく、嫁として欲しがる家は多かったわ。」


嫁に欲しいと思っていたなら、なぜ婚約の釣書が来なかったのか⋯⋯。

エリザは自分の過去のせいかと小さくため息を吐いた。


「エリザ夫人のせいでは無いのよ。本当に。」

セリーヌ夫人の言葉にエリザが視線を向けた。


「どちらかと言えば、セドリックのせいね。あの子が各偵察の者に圧をかけてたのよ?」


エリザは驚いて固まってしまった。


「エリアナちゃんには絶対に内緒にして欲しいの。嫌われたら私の娘になって貰えないでしょ?」

エリザは、コクコクと頷いた。


「エリザ夫人が自分を責めているとは、私達も考えていなかったの。ギルベルト様と仲睦まじく過ごしてらしたから。」

セリーヌ夫人が申し訳ない顔で話す。


「息子のせいでエリアナちゃんへの釣書もなく、不安になるエリザ夫人を私達は気遣っていなかった。」

「婚約を整えた日のエリザ夫人の話を聞いて、息子の我が儘を放置し貴女を傷付けていた事を知ったの。

今日の衣装は、謝罪の気持ちもあるわ。だから、遠慮なく受け取ってね。」


エリザは自身のせいでは無かった事に少しホッとした。

「ありがとうございます。セリーヌ夫人。」

エリザ安堵の笑みを浮かべた。


「エリザ夫人。お互い名前呼びにしません?家族になるのですから。」


セリーヌの言葉に少しだけ驚くが、

「はい。セリーヌ様。」

エリザが微笑みながら答えた。


「「⋯⋯。」」


二人が固まってしまい、エリザはキョトンとしている。


「セリーヌ夫人!エリザ様とエリアナ様を紹介して頂き感謝しますわ!久し振りに腕がなりますわね。」


マリーのエリザを見る目力が凄い!

エリザが若干引いてしまう。


セリーヌはクスリと笑い、紅茶に口をつけた。


すると、衝立の奥からエリアナがぐったりしながら出て来た。


「貴族って大変⋯⋯。」

その言葉に、エリザをはじめセリーヌもマリーも笑い出した。


「でも、せっかくドレスが綺麗なら下着ももっと綺麗にすれば良いのに⋯⋯。」


その呟きに反応したのは、マリーだった。

「エリアナ様は、下着に対して何か案がありますか?良かったら、教えて頂けますか?」


(ヤバい⋯⋯。また口に出してたわ。)


「お恥ずかしい話ですが、こんな素敵な衣装を見たのは初めてです。豪華で素敵なドレスにドキドキしてしまいます!

ですが、下着は普段と変わらない。下着から素敵な物を身につけたら、もっと気分が上がるのになぁーと⋯⋯。」


その言葉に、マリーが思案する。

マリーがエリアナを見て、

「何かデザインが浮かんでいますか?」

そう問いかけた。


(日本での下着に近い物が欲しい。あて布みたいな下着はうんざりだし⋯⋯。)

悩むエリアナを見て、セリーヌもエリザも前世が関係するのだろうと察した。


「マリー。エリアナちゃんは何か案があると思うの。でもね、エリアナちゃんは騒がれるのがとても嫌なのよ。エリアナちゃんの名前を出さないと誓ってくれる?」


「勿論ですわ。良い案ならば尚更手放せませんし。」

マリーさんが、エリアナをロックオンした。

「是非、その案を聞かせて下さいな!」


エリアナはエリザの横に座り、オズオズと口を開いた。

マリーが紙を出し、エリアナに書いて貰う。


(ワイヤーの様な素材はないものね⋯⋯。

自分が生成すれば作れるかもしれない。でも、自分しか作れない物では意味がない⋯⋯。)


紙に書いたデザインは、日本で普通に使っていた上下セットの下着。

ワイヤーのない可愛いデザインにした。

「貴族だけが使うのではなく、平民の方でも購入出来ると思います。」


エリアナがまた何かをデザインする。

描きあげたデザインに、マリーが息を呑んだ。

「貴族用は、レースを主に使って高級感を出す感じにすれば特別感がありますよね?」


貴族用は、ちょっと刺激が強い下着を描いてみた。


マリーは恐る恐るデザインを手にする。

レースはこの国の特産品である。

ドレス以外に使う発想が無かった。


「これは売れますわ!!」


マリーは大興奮だった。


「ドレスに合わせて下着を作って、セットで売るのはどうですか?」

エリアナの提案に、マリーは椅子に倒れ込んだ。


「エリアナ様の案が素晴らし過ぎて、目眩がしますわ⋯⋯。」

マリーがガバっと起きると、エリアナの手を掴んだ。


「セリーヌ夫人とエリザ様。それにエリアナ様のドレスを作る時に、下着も一緒にお作りします。」

「エリアナ様さえ良ければ、三人の衣装と下着を私達と一緒に作りませんか?」


マリーの提案に、エリアナは喜ぶ!

ドレスも作りたいデザインがあったのだ。


「はい!ドレスのデザインも少し考えた物があります。」


マリーとエリアナの作るドレスと下着が、この先流行の最先端を行く事になる。


後日マリーのお店を尋ねる事を約束して、三人はお店を後にした。


「エリアナちゃんは商会の伝を探してるのよね?」

セリーヌ夫人がエリアナに問いかけた。

「はい。私が転生者と知られたくなくて、どの商会を信用して良いかも解らずにいました。」

エリアナが苦笑いで答えた。


「だったら、公爵家の名前でエリアナちゃんが会長として商会を出したら?セドリックの名前を使っても良いわよ?」

セリーヌ夫人の提案に、エリアナとエリザが呆けた。

「資金の心配はしなくて結構よ。可愛い嫁へのプレゼントだからね!」


(プレゼントが商会って。規模がデカすぎます⋯⋯。)


エリアナが困り顔でエリザを見た。

「エリアナ。セリーヌ様の好意をお受けしなさい。貴女ならきっと公爵家に頂いたお気持ち以上の物を返せるわ!」


エリザはエリアナを応援したかったのだ。

「少し考えてみます。」

エリアナは返事を濁した。


「商会をやる決心がついたなら、私に連絡してちょうだい。」

セリーヌ夫人の言葉に頷き、三人は近くの休憩処に入った。


中に入るとセリーヌ夫人を見た店主が黙って奥の半個室の部屋に案内した。


席に座ると、セリーヌ夫人が教えてくれた。

「このお店は、喫茶店と言うらしいわ。」

意味ありげな視線をエリアナに向けた。


エリアナは理解する。転生者が出したお店なのだと⋯⋯。


「このお店は、ある公爵令嬢が主体で出してるお店よ。最初は珍しさから人気がありましたが、最近は人も少ないようね。」


エリアナが喫茶店のメニューに目を通す。

そこには、日本で見たデザートメニューがあった。

メニューを見て固まるエリアナを見て、エリザとセリーヌはエリアナは公爵令嬢と同じ国の転生者であると確信する。


「エリアナちゃん。知ってる物や食べたい物を全て頼んでみて。そして、感想を聞かせて貰いたいのよ。」

セリーヌ夫人の言葉に、エリアナは頷いて色々と注文する。


花茶をイメージした紅茶は、枯れた花が入ってるみたいで見た目が悪い。


チーズケーキは、乳臭くヨーグルトのような酸味も強く食べにくい。


バニラアイスと書いてあったが、バニラの香料も入ってないのでただの乳アイス。

しかも、氷菓子に近く滑らかさもない⋯⋯。


クッキーも、何故こんなに堅いのか意味が解らない。堅パンと間違いそうだった。


食べれば食べる程、日本の良い物をダメにする転生者にエリアナは腹を立てる。


「エリアナちゃんがいた世界と同じ転生者だと思うのよ。エリアナちゃんは、こんなに美味しくない物を食べてたの?」

セリーヌ夫人がエリアナに問いかけた。


「違います!私がいた日本という国は、とても食に拘り世界でも食に関して有名な国でした。

こんか不味い食べ物を売るなんて、あり得ません!」

「日本人はどんな仕事だろうと世界に通用する腕を持っています。こんな程度の低い物にお金をとるなんて。許せない!」


(チェーン店で働いてた時、味は決まりがあり個性は出せなかった。それでも、働いている人達は完璧に仕上げていたわ。)


セリーヌ夫人が会話を続けようとした時に、騒がしい集団が入って来た。


「イザベル様〜。今日もお客さん少ないですね〜。」

甘ったるい声が聞こえた。

「煩いですわ。また新商品を出すので、挽回してみせますわ。お金はありますからご心配なさらず。」

口調の強い声。


令嬢達の名前と声を聞いたエリアナの顔が青褪めて行く。

エリザはエリアナの背を撫で、落ち着かせる。


エリアナは会いたくなかった、ヒロインと悪役令嬢が側に来た事に体に緊張が走る。


セリーヌ夫人はエリアナを心配するも、令嬢達が転生者と言い回る姿を何度も見ていた。

令嬢達の話を聞き、エリアナがどう思うのか様子を見る事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ