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モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


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14話 喧嘩っ早いエリアナを気に入る

エリアナの暴露の叫びを聞き、部屋の中は静かだ。

その空気を変えたのは、セリーヌ夫人の笑い声だった。


コロコロ笑いながら、涙を拭う。


「リリアーヌ様に喧嘩を売るなんて、エリアナちゃんはなんて面白いの!!最高よ!私の娘!」

最後は扇子で口を隠してはいたが、大笑いをしている。

両親は口を開けたまま呆けているし、公爵とセドリックは苦笑いをしている。


エリアナは笑い続けるセリーヌに、オズオズと質問をしてみた。


「セリーヌさまは、リリアーヌ様が嫌いなのですか?」


セリーヌは笑いを何とか堪えて、エリアナに答えた。


「リリアーヌ様を嫌いじゃないわよ?あの方が辺境領を守ったからこそ、隣国との和平交渉も整い豊かな国になったわ。辺境領を守り繁栄させる手腕は見事よ。」

でもね⋯⋯。


セリーヌ夫人が真剣な顔つきになった。


「確かにあの方が成された事は、国の為になったわ。隣国との戦争も無くなり、平和を手にした。

でもね、私達高位貴族の領地は逆に荒れたのよ?辺境領が栄える度に、高位貴族はそれ以上を求められ試された。」


「それが悪いとも言えないわ。実際に我が家は豊かになった。でもそれは先代や夫の血の滲む努力によってね。」


公爵は褒められ、少し照れていた。

「力のない高位貴族の家は、領民の暴動にあい衰退したわ。陛下達はリリアーヌ様に負い目があった為に、領地の発展を控える事を言えなかった。」


「伯爵家から下の位の者は、何となく許された感じね。高位貴族より財力がないだろうとね。」


「理不尽だと、私は感じたわ。一度リリアーヌ様に領地発展を遅らせては?と、遠回しで伝えたけど。あの方は自分の意思を曲げられない。領地領民の為と止まらなかった。」


「リリアーヌ様の立場から見れば、私達が怠惰に見えたかもしれない。でも、違うわ。領地領民を思うのは爵位ではない。その者の本質よ。」


「エリアナちゃん。貴女のご両親は怠惰かしら?貧しい事を貴女は、恥だと思いますか?」

エリアナは、首を振る。


「両親は怠惰と逆の位置にいます。子爵家が貧しい理由を私はちゃんと知っている。それを納得している。恥ではなく、誇りに思います。」

セリーヌ夫人は頷いた。


「リリアーヌ様も貧しい辺境領を豊かにしたわ。領民達を守り未来を明るいものにする為に。

でも、自領だけでは国のバランスは取れない。この国に住まう全ての民が豊かにならなければ、本当の平和とは言えない。

夢物語だけれど、貧富の差は少ない程良い。そう私は思うって話よ。」


エリアナは自領の事しか考えてなかった。

リリアーヌ様に近い考えかもしれない。

「私もリリアーヌ様に似てるのかな⋯⋯。」


エリザが即座に否定した。

「エリアナ。それは違う気がするわ。確かにリリアーヌ様は平民の方に学ぶ場所を与え、貧しい人達を救ったわ。それはとても凄い事であるのは事実よ。でもね、他領へは絶対に力を貸す事は無かった。自力で何とかしろと。そんな話を沢山耳にしたわ。」

「私の姉のせいもあるかもしれないけど。でも、エリアナは違うわ。他家からの魔物依頼をきちんと受けたり、魔物避けを作ったりちゃんと他領へも目を向けたわ。」


「リリアーヌ様が正しいとか、正しくないの話ではないのよ。誰かのために頑張っている姿を見て自分がどうするかよ。」

「噂の絶えない私をギルベルトが支えてくれた。だから、私も昔の事は隠して必死にギルベルトを子爵家を支えたの。貴女達が産まれ、領地の為に夫婦で頑張った。リリアーヌ様のような領地には出来なかったわ。でも、我が子爵家の領民は不幸に見えるかしら?」


エリアナは首を振る。


「領民がどれだけ当主に尽くしてくれるかは、当主がどれだけ領民に尽くすかよ。

私は決めたの。貴女達の為にも過去を忘れるわ。

エリアナが口にした、私は私として生きる事にしたわ。」


エリアナはエリザが過去を清算出来た事が嬉しかった。

エリザの笑顔が物語っている。


「エリアナはエリアナらしく、物語なんか気にしないでセドリック様と楽しく生きなさい。」


セリーヌ夫人も頷いている。


「ところでエリアナは物語の中での役割りとやらはあったのか?セドリック殿がヒロインとやらと恋する物語ならば、エリアナはその時に誰が婚約者だったんだい?」

ギルベルトがエリアナに質問をする。


(あ!説明していなかったわ!)


「それが、物語には私や子爵家の名前は出てこないのよ。だからこそ、私は関係なく生きたいの。だからキャシー様にも伝えたの。名前が無い私は自由にするって。だから、キャシー様はいらないって⋯⋯。」


やっぱり大笑いするセリーヌ夫人⋯⋯。

見た目に反し、喧嘩っ早いエリアナを気に入った公爵。


夕食の後は、皆でお酒を口にして沢山のお話をした。


セリーヌ夫人がセドリックに、エリアナに婚約の贈り物は何を贈ったのかを聞かれた。


「リアには、マジックバックをお揃いで贈りましたよ?リアは宝飾品には興味がないので。」


公爵夫妻は、呆気にとられた。

子爵達は、エリアナらしいな!と。

公爵夫妻と両親に大笑いされた。


(マジックバックが贈り物でもいいじゃない!)

文句は口にせず、頰を膨らませた。

セドリックはそんな姿のエリアナがやっぱり可愛くて、お酒の勢いもありエリアナを構い倒す。


セドリックのエリアナへの溺愛や執着を見て、公爵夫妻がまた大笑い。


この日の子爵家は笑い声に包まれて終わった。



翌日は遅目の朝食となった。

セリーヌ夫人に誘われて母と私と夫人の3人で、社交の始まりである初夏の大夜会の衣装を見に行く。


セリーヌ夫人の行きつけのお店は、私でも知る有名なお店だった。

気後れする私と母を強引に引きずり、セリーヌ夫人に連れ込まれた。


「いらっしゃいませ。ハーマン公爵夫人。今日は大夜会の衣装でございますか?」


とても美しい女性が声をかけてきた。

私が恐る恐る顔を上げると、視線があった。


「夫人!なんて、なんて美しい女性を連れているのです!しかも、二人も。」

叫ぶように話しながら、私と母の前に素早くやって来た。

私と母を前から後ろから、観察し始める⋯⋯。


セリーヌ夫人は、フフッと笑いながら。

「彼女達は、カーマイン子爵家の夫人のエリザ様と次女のエリアナちゃんよ!」


セリーヌ夫人に紹介されると、その女性が「侯爵家の⋯⋯。」

と、言葉を漏らした。

無意識に、私は嫌悪の視線を女性に向けてしまったようだ。


「エリアナ様!違いますよ!私はお母様には下世話な気持はありません。」

「逆ですわ。私も我が儘な姉がおり、うんざりしているのです。お母様のお気持ちが、ほんの少しですが解るのです。」


わたしに優しく話しかけてくれた。


「申し訳ありません。」

私は頭を下げた。不躾な態度を謝罪した。


「エリアナちゃんはお母様を守りたかっただけよ。大丈夫。マリーは怒ってないわよ。」

夫人が助け舟を出してくれた。


「申し遅れました。私は当店の店主のマリーと申します。今日はお出で頂きありがとうございます。」

美しい女性は店主だった。

私と母に美しい所作で挨拶をしてくれた。


「カーマイン子爵家のエリザと、次女のエリアナですわ。宜しくお願いします。」

母の挨拶の後、私も軽く頭を下げた。


「セリーヌ夫人。もしかして噂の妖精姫では⋯⋯。」

マリーさんがセリーヌ夫人に問いかけた。


「勿論、エリアナちゃんの事よ。しかも、セドリックの婚約者なのよ!!」

夫人は、マリーさんの腕をバシバシ叩いて興奮している。

身分差を何か思うのでは⋯⋯。と、萎縮してしまったが。


「まぁ!おめでとうございます。でしたら、これからは当店で衣装を揃えて頂けるのですよね?」

店主の言葉に、セリーヌ夫人が頷いた。


「エリザ様とエリアナちゃんの衣装を全て任せるわ。」

その言葉に喜びの声を上げたのは、遠巻きに見ていた従業員だった。

何やら興奮している⋯。

何故だ?!エリアナは首を傾げた。


「エリアナちゃん。貴女は自分の容姿を自覚しなければならないわ。ドレスアップしていなくても、これだけの人を引き付ける容姿を持っている。

それだけで、社交界では一つの強みになる。」

セリーヌ夫人から、そう告げられた。


「エリアナちゃんはお母様を守りたい。貴女の行動次第で、未だにお母様を話の種にする人々を蹴散らせるわよ?」

「どうする?」

セリーヌ夫人の言葉に、マリーさんも強く頷いていた。


私はセリーヌ夫人の話をちゃんと考えなければいけない。


(セリーヌ夫人と店主が、私と母に味方してくれると⋯⋯。私が母を嘲笑う人にギャフンと言わせれる。セリーヌ夫人に従ってみようか⋯⋯。)


エリアナは視線をセリーヌ夫人に合わせた。

「私はお母様を嘲笑う人を黙らせたい。セリーヌ夫人とマリーさん。助けて下さい。」

ペコリと頭を下げ、顔を上げた。


「勿論よ。エリアナちゃん。可愛い嫁とその家族を守るのは当たり前よ。」


「エリザ夫人とエリアナちゃんの夜会衣装を作ってちょうだい。お茶会用も数点ね!」

セリーヌ夫人の言葉に、母が咄嗟に声をかけた。

「セリーヌ夫人!我が家にはそんな余裕はないので⋯「公爵家が出します。」


セリーヌ夫人が少し強めの口調で母の言葉に被せ遮った。

母は一瞬ビクッとなった。


「貴方がたは忘れていますね?

貴方がたは我が公爵家の身内となります。衣装も何もかもを公爵家に合わせなければならない。金銭的に差が出れば婚家が援助するのは当然の事ですわよ?」


(婚約や結婚をする際に財力的に大きな差があれば、財力がある方が援助するのが貴族の暗黙のルール。)


母と私はそれを思い出し、夫人にお礼を伝え衣装を作って貰う事になった。


エリアナは急いで近づいてきた従業員達に、即座に連れて行かれた。

母は強引に連れて行かれる娘を心配そうに見ていた。


Merry-Christmas❀


幸せな1日を❀

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