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モブな私は自由なはず‥‥うるさいですわよ!ヒロインども!!  作者: おかき


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10話 セドリックの執着と深い愛情

エリアナが眠りに就いて、4日経過していた。

エリアナは全く眠りから覚めそうにない。


セドリックは目覚めないエリアナが心配になる。

何か出来ないかと、夫妻がエリアナの側にいるうちに王宮の図書館にいた。


闇魔法と光魔法は他者の精神に介入出来る。

昔読んだ本に記されていたのを思い出したのだ。

図書館にあるので、禁呪にはならない筈だと本を探し熟読した。 


(絶対にエリアナを手放さない。目覚めさせてみせる。)


セドリックが急いで図書館から退館し子爵家に戻ろうとすると、殿下と側近達に鉢合わせた。


(無視して帰りたいが、仕方ない。)


セドリックが礼をし、殿下へ頭を下げた。


「やぁ。リック。いつになったら学園に来るんだい?ダンジョンでは急に帰ってしまうし。私の側近の自覚はあるのかい?」

少し不機嫌そうに、殿下が聞いてきた。


セドリックは答えるつもりがないのか、黙りを決め込む。

会話をする気がないのだ。

時間を無駄にしたくないセドリックは、ただ聞き手に徹して早々に離れるつもりでいた。


黙りのセドリックを見た側近達が、

「リック。殿下の言う通り、側近としての自覚を持てよ。」

「そうだぞ。婚約したと聞いて、エイミーが泣いていたぞ?可哀想だろ?エイミーがさ。」


殿下も二人の話を聞き、

「確かにエイミーが可哀想だな。婚約者は子爵家だろう?身分差がある。エイミーがリックが騙されていると言っていたな。

子爵家に何か弱みでも掴まれたか?」

「何とか婚約を解消してやるから、早くエイミーに会ってやれ?」


殿下はセドリックの逆鱗に触れた。


セドリックがゆっくりと頭を上げて、殿下を見据えた。


「なぜそこにあの女の名前が出るのです?嫌いな女に会うわけがないでしょう?頭の悪い女も、我が儘で高飛車な女も嫌いですよ?」

暗に殿下の婚約者である、イザベル嬢の事も含めた。


「エリアナとの婚約は、私から父である公爵に頼みこみ父も賛成の上で整ったのですよ?」

「私の唯一のエリアナを貶めた事は許すつもりはありません。」 

「それに、私は早々に殿下の側近からは外れておりますが?情報を正確に捌けなくてよくも側近と名乗れますね?」


セドリックは、嫌味の言葉と視線を側近達に向けた。


セドリックの顔は整っているからこそ、怒りの表情はより怖さを増していた。


「私は暇じゃないのです。急ぎますので、失礼します。」


セドリックの怒りに触れ、固まったままの殿下達を残して急ぎ馬車に戻ると子爵家へと急いだ。


エリアナの部屋に戻り、側にいるエリザに様子を尋ねた。


相変わらず眠ったままだった。


エリザから看病を代わると、セドリックはエリアナの布団に潜り込んだ。


エリアナの頰を撫で、優しく名前を呼ぶ。


名前を呼ぶ声が震える。

エリアナにそっと口付ける。

反応がないエリアナを優しく抱き込む。


魔力を乗せ、名前を呼びながら⋯⋯。

深く深く口付けをする。


暫くすると、エリアナの体がビクッと反応した!

セドリックはベットから降り、側に立つとじっとエリアナを見つめた。


エリアナの瞼が揺れ、ゆっくりと開かれていく。

セドリックは息を呑み静かに様子を伺う。


エリアナは虚ろな瞳で天蓋を見ている。

瞬きを何度かした事で、セドリックはエリアナの意識がある事を確信した。


顔を覗き込むと、視線が合った。

嬉しくて仕方ない。

エリアナの瞳に映る自分の姿が、どうしょうもなく嬉しく切なかった⋯⋯。


リアと名前を何度も呼び、エリアナの温もりを感じながらセドリックも安堵から眠りに落ちていた。


様子を見に来た夫妻は、エリアナとセドリックが抱き合って眠る姿を見てエリアナの意識が戻った事を確信した。


夫妻は2人をそのままに、侍女に2人が起きた時の軽食を用意させ、部屋には入らない様に指示を出した。


セドリックは殆ど睡眠をとらずに、エリアナの側にいてくれたのだ。

娘を想ってくれるセドリックに感謝をし、邸中にエリアナの目覚めを知らせた。



明るい日差しの中で、2人は昏々と眠りに就いた⋯⋯。


2人が目覚めたのは、深夜だった。


先にエリアナが目覚めると、セドリックに抱きしめられていた。

身動ぎすると、セドリックの瞼が揺れた。

エリアナはじっとセドリックを見つめ、目覚めを待った。


ゆっくりとセドリックの瞼が開き、セドリックの瞳に自分が映り込んだ。

「おはよう。セド。」

「おはよう。リア。」

お互い微笑むと、クスリと笑い合った。


「お風呂に入りますか?」

セドリックが問いかけた。

「スッキリしたいから、入ろうかな。」

「準備してきますね。」


セドリックが浴室に向かった。

エリアナはベットから降り、ソファーへと向かう。

テーブルにサンドイッチやクッキーなと軽食が置かれていた。

(お母様ね。きっと⋯⋯。)


エリアナがクッキーに手を伸ばし、一口かじる。

前世を全て思い出したからか、以前より美味しさを感じなかった。

クッキーをじっと眺めていると、セドリックが戻ってきた。

「リア?どうされましたか?」

クッキーをぼーっと眺めるリアを心配そうに覗き込んだ。


「後でセドに聞いて欲しい事があるの。お風呂に入って軽食を食べながら話すわ。」

セドリックは頷いて、リアが手にしたまま食べないクッキーをパクっと口にした。


エリアナは一瞬驚くが、クスリと笑い浴室に向かった。

セドリックも部屋に戻り汗を流して戻ってきた。


エリアナの髪を魔法で乾かしながら、身支度を手伝う。


二人は落ちつき、リアが紅茶を用意すると軽食へと手を伸ばす。


セドリックはリアからの話を待った。


「あのね。眠っている間に前世を全て思い出したの。前世の私の名前や家族の事。仕事とか趣味とか⋯⋯。」

「詳しい事は追々話すけど、私は王太子殿下達と関わりたくないの。セドといる以上、殿下達との関わりが切れないかもしれないけど⋯⋯。」

エリアナは何故か不安そうにする。


「殿下達と関わるつもりはありませんが、リアは理由を話せますか?」


「話せるけど、信じて貰えないかもしれないもの⋯⋯。」

(不安なのは、私からの疑いでしたか。)

「私はリアが話す事を疑いませんよ?

でも、信じるのか疑うのかは、話してくれないと解らないでしょ?」

エリアナは小さく頷くと、セドリックの顔を見た。


「この世界はね、前世の物語のお話に似ているの。小説にもなったし、ゲームにもなった。私は冒険者やダンジョンのお話だと思って読んだの。でも、恋愛が主で面白くなかったわ。私は冒険者のお話が好きだったの。」


「続きの本が出て、その表紙の人物がセドリックだったの。藍色の髪に金色の瞳。私はその絵に惹かれて、本を買ったの。でもやっぱり恋愛要素が強めで、好きにはなれなかった。」


セドリックはある言葉に引っかかる。

「リアは、本の私の顔を見て惹かれたのですか?」

エリアナは頷き、

「とっても格好良かったの!」

セドリックはエリアナを抱きしめ、

「この顔に産まれて良かった!」

と、はしゃいでいた。


「それでね、ダンジョンの入口で殿下達と会ったでしょ?

ダンジョンには学園専用のダンジョン攻略があるはず。チームを組んで、Dランクのダンジョンフロアー攻略をし、Aランクまでのダンジョンフロアー攻略で単位が貰える。

早く攻略すれば、首席になれる。違う?」


学園の使用するダンジョンシステムは、他言出来ない。よってシステムの内容は外部には出る事はない。

エリアナが知っている事自体、話の信憑性が高くなる。


「その話は外部に出回らないのですよ。エリアナは決して誰にも話してはいけません。」

セドリックの話す内容に青褪めて、コクコク頷いた。


「それでね、あの日が殿下達の初ダンジョンになるはず。揉めてた内容は、本人達の冒険者ランクが足りなかったからだわ。高位貴族であり学園の生徒なら問題ないと勘違いしていたから。」


「そして、ダンジョンに入る為にランク上げの手伝いをするのがセドなの。ランク上げをする中で、エイミーって男爵令嬢と恋仲になり協力し合ってダンジョンを攻略するの⋯⋯。。」


エリアナは恋仲辺りから、声が小さくなった。

あの場所にエイミーがいたからだった。

俯いたまま、顔をあげないエリアナに。


「私があの女に恋するなど、あり得ません。私の想いを寄せる唯一はエリアナ。貴女だけですよ?」

エリアナの顔を両手で包み、上を向かせた。

エリアナの瞳には涙が浮かんでいた。


「大丈夫ですよ。リア。ギルドで貴女と会ってから、私は貴女のものです。」

「そして、リアは私のものですよ。」


優しく唇に口付けをし、ゆっくり頭を撫でる。

エリアナは優しく自分に執着するセドリックに恋をしていると自覚する。


エリアナはセドリックに抱きついた。


「セド。好き。」


小さく囁いた言葉は、セドリックの耳に届きソファーに縫い付けられる様に抱きしめられ、唇を奪われた。


話しの続きは明日にして、ゆっくり眠る事にした。



〜 その頃のヒロインは⋯⋯。〜


「転生先が何で続編なのよ!続編は予告しか、見れてないのに!」

爪を噛み、ブツブツ文句を言う。


「でも、殿下にも近付けたし後はセドリックを攻略すればいいだけよね。きっと⋯⋯。婚約したらしいけど、私がヒロイン。奪ってやる。」

「セドリックは私のものなのよ!」


転生者のヒロインが、セドリック攻略を決意したのだ⋯⋯。


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