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私はハシの事を短絡的な人物と捉えていた。


だが、相手の事を何も知らないのに振る舞いだけで決めつけていた私がむしろ短絡的だった。


「サラちゃーん、入るよー?」

ハシは小屋へ向けて話しかけた。


ガララ…


ハシは返答が無いにも関わらず戸を開けた。


小屋の中には壁の隅で布団に包まる少女サラが居た。

サラは食事を満足に摂れていないのか痩せこけ、頬には青痣があった。


「ごめんなさい…ごめんなさい」

サラはハシと私の顔を見るなり謝った。


何に対する謝罪だ?


おそらく主人公サラは酷い目に遭ったのだろう、今何もかもが怖いのだ。


それでも私は理由無く謝る者が大嫌いだ。


自分の犯した過ちを許して欲しければ過ちの内容に対する改善を口にするだろう。


つまり、逆にいえば理由無く謝る者は自分の今後起こすであろう過ちを何の準備も改善も無くして許してもらう事を望んでいるという事となる。


そんな他人に迷惑をかける前提で生きる者の謝罪等誰が聞きたいものか。


話は逸れたが、とにかく私はこの手の人間は嫌いなのだ。


私が考えを巡らせる中、ハシは彼女に近づいた。


「こっちこそ急に来てごめんねー、僕はハシ、隣の彼はヤスケ、で僕達がここに来たのは…はい!コレを渡す為!」


ハシは背中に背負っていた小さな風呂敷より笹の葉に包まれた握り飯を手渡した。


「ありがとう…僕はサラ…」

サラの言葉は握り飯を手にする事で謝罪から感謝へと変わった。


ぼ、僕っ子だと?…。


僕っ子…それは私の中で日々変動する嫌いなものランキングの上位に長い間君臨し続ける存在だ。


それはさておき、ハシの行動は正しい。


飢える者は居ない方が良いに決まっている。


ならば私は可愛いハシが正しい行動をもっと続けられる様、この里の経済と食糧事情を改善する事を目標としよう。


ここをBLの都とするのはその後だ。


まずは具体的な里の経済状況と食糧事情を把握しなければ、改善方法と目標値が定まらない。


おそらくハシの言い回しだとそれらの管理は私、ヤスケの父親がしていると考えられる。


だが、管理している帳簿を脈絡も無く見せてくれというのは些か強引に思える。


…そうだ!

私には転生時に得た周囲を伺う『八方眺望の術』なるスキルがあるでは無いか。

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