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「これにより自身の視覚のみならず多方向、遠方の映像も見る事が可能となります。」
異世界転生ものに良くあるボーナスの様な物か…。
視界が拡がるだけの能力…あまりチートとはいえないな…。
待て…コレはいつ何処でも『絡み』が見られるという事か、私にとっては最も必要なスキルじゃないか!?
フフ…神よ、いい仕事をなさる。
満足する私の頭へと更に声が響いた。
「新たな術式、『顕現化の術』を獲得致しました。」
二つ目のスキルを得たという事か…。
「これにより自身の見た映像を他人に共有する事が可能となります。」
使い道が難しいがいつか役立つだろう…。
周囲にはふんどし姿で笑い合いながら水を浴びるイケメン達。
…どうやら私も服を着ていない様だ…かろうじて下着…ふんどしは履いている様だ。
ん?ふんどしの中に何か有るな…
何だコレは?
グニュ…
私はふんどしの膨らみが気になり掴んだ。
すると、同時に『掴まれた』感覚が有った。
ふむ…コレは…エグい。
つまりコレは私の身体の一部…。
アレが生えているという事だ。
「ちょヤスケ〜、何で自分のイチモツ掴んでるの?あんま、変な動きしてると擬態した刺客と勘違いされて斬られるよ〜?」
ハシは目が覚めたと同時に自身の股間を掴む私の姿が滑稽だった様で声を震わせ笑いながら話した。
ヤスケ?
なるほど…つまり私はあのドジな女…不快な主人公では無くイケメンの1人『ヤスケ』として転生された訳か…。
ヤスケは確かクールなツンデレキャラだった筈…。
ならばその様に役を全うしなければ…。
とりあえず不自然が無い様にハシに何か答えないといけない。
「た、ただ位置が悪かっただけだ」
私は初めての男としての言葉を発した。
確か、情報では男子は日常的に『ポジション』が悪いと位置を変える為に『モノ』に触れる…と聞いたことがある。…コレで問題ないだろ。
いや、待て、この展開は問題そのものだ!!
私はこの時、重大な問題に気がついた。