図書室では静かにするべきですね。少なくとも歌う場所ではない。
【キャラクター設定:主要人物】
こういう設定は厨二心が疼くですワ、おぢは。
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【フィリア・ノート】
•種族:人間(歌が大好きで村では歌姫じゃ〜歌姫様じゃ〜とお爺さんお婆さんからの人気は半端では無く、この子は魔法学園に行かすべきなんじゃ!という村長の一声で無事に?入学出来た、村長に感謝です。ありがとうおぢ。おばあ
•年齢:15歳
•特徴:天真爛漫。人懐っこく、歌が得意だし大好きだし、ピンクブロンドだし、瞳は水色のスーパー美少女(思春期の男子にはキッツイ)耐えれない。
•能力:大きな声で歌う、ピアノを弾く、ダンスも踊れるよ!
•備考:村長(この子は歌姫様の生まれ変わりなんじゃヨ!)ま〜た始まったよ。おぢいの承認欲求。
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【リオ・***】
主治医曰く旦那様との血縁が無いそうで、家名を名乗る事許されズ、残念な子。
•種族:人間(容姿は普通、母からはしっかり愛されてるし、旦那様も愛してる、主治医はダメみたい相性的なモノが駄目みたい)あ◯バ!
•年齢:15歳
•特徴:冷静で理性的、だが内面は激情家
•能力:杖なし!杖なし!デモデモリッパなモノをお持ちです。金ピカ!
•備考:要はボンボンですわな。俺は地主に転生シタイナー。不労所得を座右の銘にしてやんよ?
一方、リオもまた、奇妙な引力(入寮手続きという厄介払いとお役所対応によるたらい回し)に導かれる様に西棟の図書室へと足を運んでいた。
彼はとても辟易としていたが、瞳には、書庫の扉の縁から、うっすらと光が漏れているのが見えた。
「幻覚…?か?…入学初日からトラブルは勘弁して欲しいんだけど…」
ふとリオは主治医の顔を思い出してウンザリしてしまった…
そして、扉を開けた瞬間。
フィリアが、書庫の中心で静かに歌っている姿を、目の当たりにした。
それはリオの瞳には一枚の絵画の様に映った…
リオ「荘厳な光景ってこういう事だわ」
(図書室じゃ静かにした方が良いぞ…しかしあの女子生徒、入学早々に色々と悪目立ちしてんな)
そんな老婆心を抱き始めたリオの目の前で、
本棚たちが、本達が、
フィリアの歌声を旋律に載せられて、螺旋を描き始めた。
リオの中に眠っていた“記憶”のかけらが、
チリッ…と音を立てた。
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フィリア「あの…!そこの方…やっと人を見つけたっー!本が何故かグルグルしてて…!」
リオ「いやいやいや、お姉さんの魔法か、能力ですよね!?」
フィリア「ぇ!?そんな訳ないです!ワタシ!魔法?使えない!です!」
リオ「ハッハッハッ!なるほど!ではでは、自分は先を急ぎます故!」
司書兼教師「お姉さん、お待たせっ!?
って…ナニコレ何コレ!ちょっと歌うの…!図書室で歌わないで!というか魔法使用は新入生は未だ承認されてな、い!
まりょく、マリョク!凄い渦巻いてるから!すとっーーぷ!
魔力制…ぎょっっ!
少年も逃げるな!ちょっと!
その金ピカな杖は飾りじゃねーだろうよ!
おーーーーーーい!こらっ逃げんな!」
リオ「うわぁ、角はキツイ…ぎょっっ!てwww、キツめの入ってましたけど、
先生…?大丈夫ですか!??」
司書「くぅぅ…っ…クソ、ガキ…
笑って…ないで…制御し…ろ!
その…!やたら!高性能っぽい杖を使え!
今!
司書権限で、特別に許可…する!」
フィリア「初対面なのに、スミマセン!
クソ、ガキさん?助けて下さい!」
リオ「直球だな、おい。というかそんな名前の奴が不憫でならん…
体調最悪でたらい回しされて気分も最低だけど、綺麗なお姉さんからの頼みだし、健康な思春期真っ盛り男子としては断れないな…」
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書庫の中では、空気が魔力が。
あと、物理的に当たると手痛いダメージを与えてきそうな本棚、本達が…司書の腹に既にぶちかまされてるが。
フィリアの歌声に呼応し、旋律に導かれる様に舞い踊っていた。
本棚が螺旋状にせり上がり、本達が歌に魔力に呼応して回転する。
フィリアの魔力が、旋律と共に心地良い歌声に載せられて図書室に響き渡っている。
リオ「とりあえず!お姉さん!恐らく"歌"が起点になって"事象"を引き起こしてる!」
フィリア「杖を買いに来たんです!図書室にいる先生に杖を買いに来たって言いなさいって!」
司書「ちょっと目を離したらコレですよ、白ロム取ってくるさかい、ちょっと待っときや〜って言ったよな!?お姉さん、なんで図書室で歌うのよ!?というか杖持ってないんでしょ?!なんで魔法が顕現してるんだよ…!!」
リオ「うるさいよ、ちょっと!集中力奪わないで…くれ!たぶん、熱もあるし!目もチカチカしてオカシイんだ!黙ってくれ!」
「入寮手続きに!来たら!司書は!ブチギレてる、キレーな姉ちゃんは舞い踊ってる!春で、入学式な訳でそんな空気だから舞い踊っちゃうのは少しは判るヨ?でも魔力制御も出来ないバカちんがなんで、魔法学園に入学出来た訳?なんか今年はガバい?」
「挙げ句の果てには杖もナイ!白ロム!?今時!学校の購買で買うの?Ama残ブライアンとか!ラクマチ!で買えよ!"魔法"学園なのに!泣」
リオは悪態を遠慮なく吐き出しつつ、杖を構えつつ少しずつフィリアへと歩み寄っていた。
荒れ狂う魔力と本・本棚の螺旋に警戒しつつもリオからは丁寧な魔力制御の技術が見てとれる。
リオが杖を振り翳す度に、バチッ…!!という音と共に紫電が図書室の壁を明るく写し出した。
「たぶん、ここが起点だから、干渉の入力は…コイツから…ここから爆弾魔…じゃない…歌姫様の魔力が漏れ出てんのか…」
リオは一人ブツブツと独り言ちている。
そんな悪態からは想像は出来ないが、杖から出力される彼の魔力は非常に洗練され、無駄な入出力は見受けられない。
リオはフィリアから溢れ出る力の源泉を見極め、暴走する魔力を丁寧に紐解いている。
司書兼教師は本の衝突からの悶絶から未だに回復出来ていないが、痛みよりもこの少年から感じる言動のチグハグ加減に違和感を抱いていた。
(口を開けば冗談やら悪態ばかりだが、この魔力制御技術はなんなんだ…そんな技法が?…あったのか、いや…そこはそんな大雑把な入力だと…!)
バチチチッッ!!紫の閃光が教師の視界を埋めた。
(ダメだったか……可哀想だが、新入生には荷が重過ぎたんだ…凄まじい蛮勇…ん…?吹き飛んでいないっ!?)
(いや、むしろこの少年少女の魔力が共鳴し始めているっ…?!)
司書兼教師「なんだこの制御術式はっ!!丸投げしといてアレだが、こんな無茶苦茶な魔力放出をこの短時間で演算を終えて、完全に制御しきったというのか…!?」
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そんな荒技を魅せているリオがふと気付いた。
リオ「なんでお姉さん、歌い続けてるの…?」
(…ん?というかコイツの髪色…灰色、じゃないよな…?式典の時から思ってたが、目がオカシイ…なんか…色?が見える…)
フィリア「あれ?ワタシ、また歌って…?」
そんな気の抜けるような光景の後しばらく…
無尽蔵にフィリアから溢れていた旋律(魔力嵐という表現の方が適切か…)という名の暴力は、リオによる緻密な魔力制御と何度かの、綱渡り的な力業、強引な改竄、干渉によって収束した。
「ふぅ…お姉さんの魔力量、凄いね…」
リオの目にはフィリアの存在はとても奇異に写った。
絵画の世界から飛び出して来たかの様なピンクブロンド?の艶やかな髪と吸い込まれる様に輝く水色?の瞳は、産まれてからずっと、モノクロで灰色な世界を生きるリオにとっては衝撃的だった。
それにこれだけの騒ぎ?やらかしを引き起こしておいて彼女の口から漏れてきたのは、なんとも気の抜ける言葉達だった。
フィリア「魔法学園に入学すれば、魔法の使い方を教えて貰える…って皆んなが言ってて…それで私、皆んなの役に立てるならって!恩返しがしたくて…頑張ろうと思って…たのに…」
リオ「や、泣かないで!綺麗なお姉さんに泣かれると俺どうすればいいのかわからないから!ね!?とりあえず!片付けを手伝うからさ!」
司書「毎度あり!宜しく頼むわ、少年!」
そんな3人の知らぬ間に、書庫の中心に透明度のやたらキラキラしたガラス?クリスタル?ケースが出現した。
その中には一冊の本があった。
《オリジナルコード:エレジア》
※次回【第一章:始まりの旋律(後編)】では、封印が緩み始め、リオが記憶の一部を垣間見るシーンへと進みます。たぶん。