それぞれのオモい
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少し時は進み、
リオ
フィリア
カグヤ
各々に割り振られた客室にてー
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リオ(フィリアの件、あの場では一旦は収まったけど、この後がな…父上、怖かったな…図書室の事…リュミエール王国の記憶も全て報告するべきだろう)
「なんとか…フィリアが邪悪な存在では無い、むしろ"歌の力"でリュミエールを救った話…いやいや、荒唐無稽だよな…しかも龍って何の話なんだ…それこそお伽話だろ…」
(兄さん、謁見の時には居なかったな…政務に追われてるんだろうか…よし!兄さんに相談しよう!)
そう決めるとリオは何かと頼りにしている実兄の政務室を訪ねていくのであった。
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フィリア(王様…リオのお父さん、凄い迫力でびっくりしたなぁ…)
フィリアは意外に?当然?にも、謁見の場で恐怖は感じなかったようで…
(わっー!って言ってたけど、リオのお父さん凄く優しい目をしてたもんね…)
フィリアはヴァルディオスの真意の全ては判らずとも、直感?にて自身を害する様な人物には見えなかった様だ。
(リオのお母さんも、いい匂いがして、とっても楽しい人だったなぁ)
フィリアにとっては王国の最終兵器イレーヌ砲(国王直轄魔術師団によって謁見の間に施された三重結界を容易く吹き飛ばしてしまい、魔術師団の面々は恐怖すら覚え。ジグムントに至っては対策の対策を対策する…という意味不明な努力を行ったにも関わらずの結果に思考を手放していたが…)ですら、この程度の認識であった。
(カグヤちゃん…かっこ良かったなぁ…私の事を守ろうとしてくれたんだよね?…でも、偉い貴族の人でも王様に意見するのって…大変な事だよね…)
「後でカグヤちゃんにキチンとお礼しなきゃだね!」
(ふふふっ!私の事っ、友達だってー!嬉しいなぁっ!)
フィリアは1人であってもあれやこれやと賑やかである。
(リオとカグヤちゃんお見合い?するんだよね。2人共おことわりだっーて言うけど…カグヤちゃん…凄く…可愛いもんね…)
「リオはカグヤちゃんの事…どんな風に思ってるんだろう…」
フィリアはリオに惹かれている事を自覚していない様子で、この後リオとカグヤの事を考えては、うーんうーんと1人唸っているのであった。
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カグヤ(フィリアさんの歌…それにあの報告書…恐らくは本当に歌姫…なのでしょうね…)
カグヤはフィリアの"歌"を目の当たりにし、魂の奥底か…心の奥底に不思議な感覚を覚えたようだ。
(謁見の場では、父上には申し訳無かったけれど、私の選択は間違っていないはずよ…)
カグヤはリオ、フィリアに出会ってからというもの、自身の性格?性質?が変わった様な気がしており、それは客観的にも事実で、人当たりのキツい性格や言動もフィリアに対しては完全に見せなくなっており、カグヤ本人もフィリアの事がとても好ましいと感じていた。だからこその謁見の際の申し開きだった訳だが。
(夕食会には陛下も参加されるとの事。フィリアの歌をお聞きになっておられたし、なんとか無害である事を判って頂かなければ…!)
そんな風に決意を新たにする"元"氷結令嬢なのであった。
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場所は切り替わりリオは実兄の政務室を訪ねていた。
コンコンッ…
「兄さん!リオだけど、いますか?」
???
「リオ!鍵はあいているから入っておいで」
リオ
「兄さん久しぶり!フィリア…大白金貨の時は銀行を紹介してくれて助かったよ、ありがとう!」
リオの兄の政務室は綺麗に整っており、デスクに腰掛けている彼は数多くの書面達と格闘中だった。
流石はリオの兄というべきか、多くのタスクを同時進行で非常に素早く仕事をこなしているようだ。
セレオス(リオから見ても爽やかな笑顔で)
「いやいや、礼には及ばないよ?それよりも謁見では母上が大暴れだったみたいだね?」
リオは母の暴れっぷりを思い出し、笑いそうになったが、同時に父王の顔も浮かんできて…(そういえば何故、兄上は謁見の際は居なかったんだ…?)
「そうだったんだけどね…兄さんにはその事で相談があって来たんだよ…」
セレオス(なんとなく相談内容を察する)
「父上から、"歌姫"への"問い"だね?」
リオ
「そうですが、何から話せばいいのか…」
セレオス
「うーん…では僕が知らない"歌姫"との出会いから聞かせて貰おうかな?」
リオ
「わかりました、ではフィリアと学園の図書室で会ったところからですね…」
そう言ってリオは兄へとフィリアとの出会いから、図書室での出来事、魔法の書庫の記憶、リュミエール王国での顛末を、何も偽る事なく話した。
セレオスは何も言わず、弟の話を静かに聞いていた。
セレオス
「そして謁見の間での報告書と"歌"だね」
リオ
「はい…正直、報告書の内容は…フィリアの出身村での話は俺も知りませんでした」
セレオス
「どの話も信じられない話ばかりだしね…といっても誰も冗談を言っている訳では無い、これは伝承が事実となってきている…と考えた方が良い、つまりは最悪を想定して…我々、民の安寧を預かる立場の者としては備えなければならない…それはわかるね?」
リオ(顔色が悪くなる)
「しっ…しかし兄上!フィリアはそんな邪悪な存在…この国っ、世界に害をもたらす様な!存在ではありま…」
セレオス(リオの発言を手を挙げて遮る)
「リオ、落ち着いて!すまない、少し言葉選びが良くなかったかもしれないね…では、まずは結論から伝えよう」
リオ(セレオスの目を見て手を握りしめる)
セレオス
「父上も僕もフィリアさんを亡き者にしようなんて考えてはいないよ」
リオ(一気に手の力が抜け涙目になる)
「…えっ!?」
セレオス
「うーん…どうしても建前というか、形式的にはフィリアさんへの審問は必要な事だったんだ、何故だかわかるかな?」
リオ(困惑顔)
「えーと…すみません、ちょっと混乱して…」
セレオス(よっぽどフィリアさんの事が大事なんだね)
「…彼女の力は、どう考えても異端だね?」
リオ
「…はい…そうですね…」
セレオス
「しかし、当の本人は無自覚で人前でも構わず"力"を行使する…」
リオ(…)
セレオス
「この光景を目の当たりにした者達が"伝承に謳われる歌姫"だと認識した場合、どうなるか想像出来るね?災禍を喚ぶ歌姫を排除せよ、もしくはその"力"を何らか用いて…という具合かな?…まあ色々と混乱が起きるだろう、国が割れたり、それこそ本当に"災禍"となるかもしれない…それに彼女は帝国領の出身だ」
リオ(色々な想像をして顔色がまた悪くなってくる)
セレオス
「彼女の"力"が外部に漏れる事は避けたい、では封じるか?もしくは亡き者にしてしまうのか?と言われれば、それは選びたくない…」
(もしも彼女を害する事で"龍"が襲ってくればそれこそ…)
リオ(事態の深刻さを理解してきた)
「でも本人はところ構わずに"力"を発現する…それが帝国に知られれば、返還要求…応じなければ…」
セレオス(リオを見て頷く)
「災禍になる可能性がある」
リオ(フィリアと逃げなければ!)
「では、どうすれば!?俺は、今からでもフィリアと一緒に人の居ない土地にっ!」
セレオス(リオ…人の為に熱くなれる様になったんだね…だけど…)
「…フィリアさんは、そんな事を望まないんじゃないかな?」
リオ(ハッとする)
「そうですね…望まないと思う…」
セレオス(微笑みながら)
「そうだよね、だから父上も僕も、対策や根回しに動いてる、という事だね」
リオ(驚く)
「根回し…ですか?」
セレオス
「具体的には、僕は帝国皇帝から信頼されている…と思う、なのでフィリアさんの件はこちらに任せて欲しいと了承を得てきた。父上は重臣達との事態の共有、フィリアさんを王国にて公式に保護扱いとして情報統制を図る、という段取りだったんだけど…」
リオ(はぁ…)
「母上が吹き飛ばした…」
セレオス(苦笑いしながら)
「そうなるね…早とちりは母上の悪い所だけど、フィリアさんを守りたかったんだろうね」
リオ
「それは間違いないと思います、フィリアの事を凄く気に入ったみたいですし…でしたら今後、フィリアの身柄は王城にて…という事になるんでしょうか?」
セレオス
「いや、それは学園にて…と父上とは結論が出ていてね、ゼノス学園長にも協力して貰い、彼女の力を調査出来ればと思っている…そんな訳でリオ、彼女の事は引き続き指導役?として頼むよ、カグヤ君にもお願いするつもりだから宜しくね?」
リオ
「護衛的な部分は大丈夫なんですか?ていうかカグヤとの縁談はそういった事情が絡んで?」
セレオス(少し笑って)
「リオ、モテる男はつらいね?」
リオ(半目になる)
「兄さん、心にも無い事を言わないでよ…」
セレオス(爽やかスマイル)
「はははっ、護衛の事は気にしなくて大丈夫だよ、少なくともフィリアさんが窮屈に感じる事が無い様に配慮するよ」(下手にストレス、刺激を与えて"力"が暴走するのは困るしね…)
リオ(はぁ…誰かの掌の上で踊らされてるみたいだ…)
「なんだかドッと疲れました…」
セレオス(真面目な表情になり)
「事前に話してやりたかったけど、未確定な部分も多くてね…(帝国皇帝との交渉がね…)、でもねリオ」
リオ(セレオスに向き直る)
「なんでしょう?」
セレオス
「僕も父上も取り急ぎ対策に動いただけで、問題に関しては何も解決には至っていない…なので僕としては図書室の件が気掛かりだ」
リオ(真面目な表情)
「確かに…解決はしていませんね、では図書室に関しては封印等を行うんでしょうか?」
セレオス
「…父上には図書室の詳細は聞かせていないよね?」
レオ
「はい、細かい話をする時間はありませんでした」
セレオス
「であれば夕食の後、3人…ジグムント団長も入れて4人で図書室の話を共有し、今後のフィリアの扱い、方針を固めよう」
リオ
「わかりました、それまでに俺も考えを整理しておく様にします」
セレオス
「よし、それじゃあ僕は仕事が溜まっているから片付けてしまうよ、リオ、また後でね」
リオ
「はい、また後で!兄さんに相談して良かった〜ありがとう!」
セレオス(爽やかスマイル)
「礼なんていらないよ、家族なんだからね」
そんな風にそれぞれの時間は流れていったのである。




