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【魔導列車ルーンライン】王都行き 

おっさん成分高めです

挿絵(By みてみん)

魔導列車ルーンライン



空気が魔力で震える、青白い蒸気を噴き上げながら…

世界でも限られた国家と都市にしか通じていない、

魔導輸送網ルーンライン

王家認可便エクセリオン・エリーゼ第七運行車が、エリュシオン学園都市駅のホームへ滑り込んで来た。


ちなみに【車両編成】は以下の様になっている。


•第1〜3車両:貴族・王族専用の客室車両

•第4〜5車両:食堂・ラウンジ・展望車両

•第6車両以降:従者・護衛・政府関係者用車両



その特等車両のひとつ、第1車両のドアが静かに開く。


魔導の煙を切り裂くように、ひとりの男が降り立った。

漆黒と緋色を基調とした長衣が風に揺れ、胸には王家直属の紋章。

業物であろう大剣を腰に履き、その身から発せられる魔力の波動は、周囲の空間すら静止させるほどに“圧”を孕んでいた。


アストリア国王直轄魔術師団 団長、

ジグムント=グラヴェリオン。


彼の眼差しが鋭く学園の空を見据える。

その瞳には、王国の未来を担う者としての静かな矜持が宿っていた。


挿絵(By みてみん)


ジグムント(学園都市か…先生にもずいぶんもお会いしていないな…)


ーーーーーーーーーーーーーーー

時は少し遡り…

アストリア王国、王都バルディア、王城執務室。


民衆からパクス(平定王)と謳われる、ヴァルディオスは静かに顎に手を添えながら、クロード=ゼノス、エリュシオン学園長から届けられた報告書の最後の頁を閉じ、国王直轄魔術師団団長、ジグムント・グラヴェリオンを派兵先より召喚した。


ーーーーーーーーーーーーーーー

ー 数日後


ジグムント

「お呼びでしょうか、陛下」


ヴァルディオス

「ゼノス先生から難題が届いた…」


ジグムント(顔を引き締める)

「…難題…どの様な事柄なのでしょうか…?」


ヴァルディオス

「ここにはお前と俺だけだ、堅苦しいのは無しだ」


ジグムント

「…わかったよ(苦笑)、それで?リオが何かやからしたのか?」


ヴァルディオス

「であれば良かったんだがな…」


ジグムント

「何を勿体ぶっているんだ?お前らしくないぞ」


ヴァルディオス

「…なぁジグムント、杖無しで魔法の使用が可能だと思うか?」


ジグムント

「むぅ…そんな事、可能なのか?伝説やお伽話の類だと思うが…それが先生からの難題なのか?」


ヴァルディオス

「そうだな…"歌姫"なぞ伝説でしか聞いた事が無いな」


ジグムント

「"歌姫"だと!?災禍…を喚ぶ…何かの間違いか先生の冗談であって欲しいが…」


ヴァルディオス

「やはりその認識か…ゼノス先生の方である程度の調査は行ったようだ、というよりも何かを感じて入学させた可能性すらあるだろう」


ジグムント

「鋭いお方だからな…という事は"歌姫"を視察に行ってこいという事だな?」


ヴァルディオス

「まあそうなんだが、私も直接会って話しをしたいと思ってな、イレーヌに言ってリオへと件の"歌姫"と共に帰還する様に伝えさせている」


ジグムント

「それは大丈夫なのか?ちゃんと伝わっているのか…?」


ヴァルディオス

「俺もそんな気がするからジグムント、お前を呼んだんだよ」


ジグムント

「なるほどな…お前も大変だな…」


ヴァルディオス

「そんな訳だ…頼まれてくれるか?ジグムント」


ジグムント

「もちろんだ、俺も久々に息子に稽古でもつけてくるさ」


ーーーーーーーーーーーーーーー

時は流れ、エリュシオン学園、魔力干渉を封じる結界が張り巡らされた学園長室へとジグムントが訪れていた。


ゼノス学園長

「わざわざ足を運ばせたな、グラヴェリオン師団長殿」


ジグムント(緊張の面持ち)

「お久しぶりに御座いますゼノス先生…労いの言葉、感謝致します」


ゼノス学園長

「先生か…あのやんちゃくれ達も今では国を担っておる、時の流れは早いものだ…」

ゆるやかに告げるその声音には、老いの陰りなど微塵もなかった。


ジグムント

「して…先生、陛下より事情は聞き齧っておりますが…"歌姫"というのは実在するのでしょうか…私はお伽話だと、いまだに信じられません」


ゼノス学園長

「断言は出来ぬが…恐らくはな…」


ジグムント(驚愕)

「少しお話を伺っても…?」


ゼノス学園長(少し目を閉じた後に)

「…かまわんとも。そうじゃな…まずは"件の娘"の入学の経緯からか…帝国の南方に山脈があり、そこに住んでおる儂の古い友人から学園へと推薦したい子供がおると言われてな」


ジグムント(帝国の南方山脈…?そんな所に人が住んでいるのか…?まぁ今はそんな事どうでもいいな…)


ゼノス学園長

「なんでも話を聞いてみると杖を使わずに魔法を行使するというのだ、友人が言うには"奇跡"だとな…そんな訳で使いの者をやって調査、報告をさせた上で学園へと入学させた、直接、見極めるしかないと思っての…」


ジグムント(…流石だ…これは取り扱いを間違えると世が乱れる程の事案…ゼノス先生の迅速な対応で我が国のみならず周辺諸国も救われているぞ…)

「…そして学園にて"歌姫"を確信させる事象があったと…?」


ゼノス学園長(少し疲れた様子を見せる)

「そうじゃな…詳しくは陛下への報告書に記載しておるが…はぁ…馬鹿げた話をするぞ?かなり荒唐無稽だが、ボケた訳ではないからの?」


ジグムント(なんだ?先生のこんなお姿は初めて見るぞ…)

「…大丈夫です、陛下も私も先生の事を信頼しております」


ゼノス学園長

「…帝国の南方山脈への旅路はかなり骨が折れる、それは貴様も知っておろう?なので入学までの期間に"件の娘"に何かあってはと思い、監視及び護衛、ゲート(瞬間移動)設置の為に使いの者を滞在させておった、無論、内密にじゃがな…」


ゼノス学園長が一息つくためにか、コーヒーを飲んだ。ジグムントもつられて入室してから初めて、コーヒーを口にした。


ゼノス学園長

「…入学までには何事も…ではないが…問題は起きなかった、ゲートの設置も完了した…件の娘を迎える準備も整った段階で、使いの者から連絡が入った…娘が…"歌姫"が居なくなったとな…」


ゼノスがまたコーヒーを口にして、室内には暫し沈黙が流れた。


ゼノス学園長

「…これは不味い事になってしもうたとな…元々このタイミングで学園からの使い、迎えという事で"件の娘"へと接触をするつもりじゃったから、使いの者を急ぎ家族へと接触させたんじゃ…そしたら娘は学園に向けて徒歩で出発したと言う…そんなもん齢15の村娘には絶対に徒歩なんかで踏破出来る訳が無い、そうであろう?」


ジグムント(確かに馬鹿げた話…というか親の感覚もどうなっているんだ…)

「空路…では無いんですよね…鉄道も通っていない…我々の様に訓練された者であれば徒歩での踏破は可能ですが、魔物・猛獣の脅威、自然の脅威、食糧問題…村娘には荷が重いかと…」


ゼノス学園長

「であろうな…」


ジグムント(なんだ…?何故、先生はこれ程までに言い淀むんだ…)

「しかし、娘は無事に入学出来ている…即座に使いの者が追跡しゲートを使用、事無きを得たと…?」


ゼノス学園長(疲れた様子)

「儂もそうであって欲しかった…使いの者が急ぎ追跡を開始した…そして見たそうじゃ…」


ジグムント

「…何を?」


ゼノス学園長

「…娘を背に、天穹を翔ける蒼き龍を見たそうじゃ…」

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