魔法の書庫 第Ⅰ章:始まりの旋律
初投稿で、乱筆乱文申し訳ない。
修正とか頑張りますー後三日坊主にならないように。
空は高く澄みわたり、春の風が花びらを運んでいた。
入学式が行われる講堂の壇上。緊張と期待に満ちた新入生(主に思春期真っ盛りの男子生徒)たちの視線を受けながら、ひとりの少女が姿勢よく、緊張の面持ちで立っていた。
少女の名は――フィリア・ノート。
魔法学園の新入生。
その身なりはどこか田舎の風を残しており、制服の着こなしもぎこちない。(成長を見越して少しブカブカだし)
しかしその容姿はそんな高揚した新入生達の視線を惹き寄せていた。
柔らかなピンクブロンドの髪が風に踊り、無垢な水色の瞳。
更に特筆するべきは、彼女の生まれ持った“気配”だった。
まるで、音が抜け落ちた楽譜のように。
言葉にできない“何か”が、彼女から聴こえていた。
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司会の教師が言葉を噛み、式典の厳かな空気が妙に静まり返った瞬間。
彼女は、小さく息を吸い――そして、歌い始めた。
フィリア「……ふふっ、なんだこれ……口が勝手に…!」
本人すら驚いたように、ぽつりと呟いた。だが、その歌声には確かに旋律が宿っていた。
それはどこか懐かしく、悲しく、優しい旋律だった。
司会教師「そこ!勝手に歌わないように!校歌はそれじゃあない!
…あぁ…これだから分けましょうとアレほど進言したのに…!」
入学式に参列していた生徒や教師たちは「妙な子だ」「変な奴がいる」とざわめき始めたが、彼女は気づかないようだった。
ただ、ぼぅっと窓から西の方角を見つめ、無意識に歌い続けていた。
フィリア『♪〜♬ la la〜☆』
旋律は確かに風に載り、
《魔法の書庫》にて一冊の本が色づいた。
学園の西棟、誰も寄りつかない古い図書室。
埃を被った本棚の中にあった、一冊の本が――淡く、色彩を取り戻し始めた。それは少年の瞳にも伝播して…
それは今は誰も気づかない"記憶"
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教室でのホームルーム、あっちに行ってくれ、こちらでは貴方の対応は出来ない…等 役所かよ…
少年は辟易とした気持ちを抱きながら次の目的地へと歩を進めていた。
少年が世界に違和感を覚えたのは、フィリアが入学式で歌い(やらかし始めた)始めた頃だった。
名を――リオ・***
灰色の瞳に、無造作な黒髪。
彼にとっての世界は生まれてからずっとモノクロだった。
「瞳が灰色なのが原因でしょうなーww」
「あのヤブから距離が取れたのは救いだな…」
制服.容姿も全てが平均的。
目立つ要素はやけに立派な杖持ちなことぐらいか。
リオ「同期で変わった奴がいるんだな…」
そんな違和感を抱いたのは当然か。
入学してくる生徒は、将来は執政官、官僚や裁判官、悪くとも大企業から引くて数多。出世するのが当たり前の、エリートばかりだからだ。
(あの歌ってる女の子、確実にFクラスなんだろうな)
「容姿で選ばれたってところだよなーきっと」
今まで少年が参加を強制された式典や王侯貴族での晩餐会、芸能人やインフルエンサーの馬鹿騒ぎでは、見かけた事は無い…という事は平民、庶民の出自…にも関わらず見目麗しい…最低でもモデル・タレントに落ち着けるだろうから…と入学が許可されたってとこだな。と少年は勝手に納得していた。
Fクラスは、エリュシオン学園の良心と云われるクラスで慈善事業として一定数の生徒を募る事が稀にあった。
リオ(まあ俺には関係がないな…)
…フラグを立てるのが上手い男であった。