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■【極秘】調査記録:セレナ村・報告番号:ELC-RF-Φ001】

彼女の歌は“魔法すら歌い直す”──神秘の音律なのです。

被調査対象者:フィリア・ノート


出身地:帝国領・南部辺境自治区「セレナ村」

村落規模:人口89人・高齢化率77%・小規模農業主体

魔導端末普及率:6%(村役場のみ/全端末第3世代以前)



◆1.気象操作とされる歌唱事例


「雨乞いの歌」


村の年長者によると、「干ばつの夏、少女が夜に歌うと、翌朝には露に濡れた田が戻ってきた」との証言多数。


過去の気象データを参照し、雨雲の発生パターンが通常と異なり、**“発声周波と共鳴するかのように雲層が形成”**されたという異常現象が観測されていた記録あり。


【調査班所見】

現代気象魔法の枠を超えた干渉痕あり。旋律=振動周波が自然情報子へアクセスした可能性。



◆2.豊穣と祝祭の歌


毎年秋、村人は“フィリアによる舞と歌”を中央祭祀場で行い、それを以って豊作祈願とする。


統計的にフィリアが演舞を行った年の農作物被害率は0%。一方、不参加年(彼女の高熱による欠席年)には20%の減作があったとの所見。


【調査班所見】

この“祈り”は単なる儀式ではなく、自然界との波長共鳴を促す何らかの作用を持っていると推測されます。



◆3.龍との邂逅:個体識別番号・未登録

高位魔法生命体との交信


四年前、川上から“水害”と共に飛来した蒼鱗の古代龍種“セイルグラード”と邂逅。


村の者によると、フィリアは恐怖なく龍の前に立ち、静かに歌った。その瞬間、龍は牙を納め、彼女の前で水害の奔流を止めたという。


【調査班所見】

龍は“高密度魔力言語”でしか会話不可能な存在。

フィリアの“旋律”が龍の言語コードと共鳴・翻訳されたと推測。



◆4.終末期患者の緩和ケア・治癒現象


村には医師がおらず、診療所は最低限の薬草処置のみ。

村人の誰もが「最期はフィリアの歌を聴かせてあげたい」と口を揃える。


実際、彼女の歌の後に痛みの軽減・安静化・回復を見せる症例が複数記録されている。


【調査班所見】

歌による神経・精神系への干渉あり。

フィリアの歌は、“心象風景に共鳴して癒す”心音調律魔法と一致する。



◆【結論:魔法ではなく、“理”を越える存在】


フィリア=セレナの能力は、現行魔法体系では分類不可能。

彼女は、“歌”という感情波を通じて、生命・気象・魔法生物・自然律そのものに作用している。


これは、古代において「原始魔法体」と呼ばれた

“感情と世界の干渉性”に近似した力であり、

《世界律への歌唱干渉》と仮称される異能の可能性が高い。



◆今後の対応指針(機密指定)

1.本件は、**魔法理論上の禁忌“杖なしの魔法”**の実例として、特別研究指定に。

2.フィリアは**《歌姫転生体》としての認定を受ける見込み**。

3.対象の能力は制御未確立のため、エリュシオン学園にて継続観察中。

4.指導教官として、リオ=???の同行が望ましい(特異適合事例)。



この記録は、世界にとっての「鍵」を握る少女が、いかにして“理を超えた存在”なのか──


それを裏付ける、決定的な証拠の一つです。

【補遺調査報告:セレナ村・個体識別未登録《蒼鱗の龍 セイルグラード》】


挿絵(By みてみん)


■分類不可能生命体:「龍種」登録候補


発見個体:未登録(観測例外)

識別信号:“蒼鱗の咆哮(仮称)”

出現記録:セレナ村周辺、年周期による河川暴走時



◆注目点:従属・共振現象(フィリア・ノートに対し)


当該個体が、“少女の旋律”に対して以下の異常反応を示した:

•翼を閉じ、空中静止。

•顎を引き、威嚇行動を中断。

•“頷くような動作”を確認。

•直後、奔流を反転・上流方向へと帰還。


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