【星砕ノ夜】──対リュミエール戦における リオの「魔術大演算」、その核心を、記録しておきます。
リオがまだ名を思い出せずとも、
魂が、杖が、書庫が彼に呼応し、
**“記録に刻まれなかった魔法”**が、ついに顕現する瞬間──
【魔術大演算:対幻影の亡国姫戦】
《筆写神経・演算展開式:第零階式──記述・改編・願い書き換え》
これは、星が…砕けて舞い散ったあの夜の記憶。
その中心で、リオは静かに立っていた。
風が、魔素が、空間情報が──
彼の周囲を螺旋に巡り、言葉の断片となって震えている。
「リュミエール……あんたの世界は、閉じたままなんだな。だけど……それでも。俺が書き換えてやるよ。
“過去じゃなく、未来を掴む魔法”を──!」
アレクトへと覚悟を告げたリオが筆を疾らせます。
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《魔術大演算・第一階層起動》
杖が輝く。筆先のようなその杖“ペンネーム・オルス”が、
空間の座標に**“文脈構文”**を走らせる。
▸魔術術式:構文素生成中……
▸対象:幻想生成結界
▸構文形式:因果再構成型・特異点解除式
▸書換条件:記録“過去”→記録“選択肢”
リオの視界には、文字が世界を埋め尽くすように浮かび上がっていた。
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《第二階層:願いの軌跡》
「記録は、ただの記録だろ……
だけど、願いが、そこに宿ってんなら。
それはもう“過去”じゃないんだよ!」
リオは空中に指を走らせる。
言葉で。文字で。
彼の“魔法”は、世界そのものに“手紙”を書いていく。
──Re:コード(再記録)起動──
杖から放たれた無数の記録光が、リュミエールの幻想空間を縫い直していく。
空が歪み、結界が震える。
《幻想固定式が崩壊を開始》
《時間逆流が解除──再生ループ停止》
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《第三階層:最終構文展開──「未来記述」》
「俺は、あんたの閉じた夢を壊すくらいの、魔法は使えるっっ!」
空間に巨大な“文字列”が刻まれる。
書庫と接続したリオが繰り出す、筆写神経の極地。
【Rewrite Authority】
→《Memory: “王女の永遠”》→《Override: “未来を許す”》
→適合コード:Ω-0000-∞
→実行命令:記録書換【WILL】
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杖が放つ閃光が、亡国姫の結界を貫いた。
それは攻撃ではなかった。
記録の改編。
記憶の“赦し”。
“永遠に繰り返す哀しみ”を、“誰かに託す勇気”へと書き換える──
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リュミエール:「……ああ……これは……“希望”?」
彼女は静かに涙を流した。
かつて手にできなかった“未来”を、
彼の言葉が、手紙が、魔法が──リュミエールへと、初めて届いた。
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【魔術大演算・記録終了】
リオの“魔法”は、ただの術ではない。
それは「物語を書き直す力」だった。
そしてそれこそが──
記録世界がずっと待ち続けていた、“新たな綴り手”の証明だった。
代償として杖が爆発、リオの右腕は消えましたね。
スマホバッテリーの膨張も怖いですね。