表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/30

〜亡国姫は高らかに歌う〜亡国の旋律は夢に続く調べかな

フィリアの耳朶には旋律が…草花の歌が遥かな遠くで流れていた。

いつの時代だったのか、果たしてそれは現実か、自分という存在は…

…セレナ…?フィリア…?


音と理、歌と数式が呼応し、それは旋律となり、

世界はもう一度、選び直される。


リオ「フィリアが覚悟を決めたぞ!アレクト、ここが踏ん張り所だ!」


アレクト「わかりましたよ!どうなろうと付き合いますよ…!」


リオ「とにかくフィリアが歌詞を読み解くまで時間を稼ぐ!」


ーーー演算術式、展開…!

リオ「セレクト…オーダー…!」


ただただ、世界は静かだった…


燃え盛る空の残滓も、砕け散るガラスの草花も、

全ては彼には届いていなかった。


リオは、ただ静かに、

**術式空間オーダーフレーム**の構築を始めていた。


『光律の波動、万象に告げよ──』

『この手が示すは、調和の方程式』

『世界よ、遍くものの安寧を描け』


『滅びの咆哮を鎮めよ、星辰の揺籃』

『七因の螺旋、反転せし時の門』

『運命の数値、今ここに修正せよ』


『我は記録する者、我は紡ぎなおす者』

『ただ一人のために、ただ全てのために』

『犠牲なき選択を、理に叛いて求める』


『失われた涙の方程式』

『願いと誓いが交差する座標軸』

『選べ──未来に、誰を連れてゆくか』


『詠唱拒否』

『構文矛盾──感情干渉──強制演算』

『全魔術式、詩的拡張プロトコルにより否定』


『世界は歌う、けれど声を持たない』

『だから我は、選ぶ──その沈黙を破る一撃を』


『最適解拒否』

『選択肢:喪失・犠牲・分断』

『再計算──最終定義:“選べない者こそ、選ばねばならぬ”』



アレクトは──息をのんだ。


その姿は、まるで神代の魔術師王。

理と情、希望と絶望の狭間に立ち、あらゆる可能性を呑み込みながら、

それでも“最も困難な一手”を選ぶ男の背中だった。



「始原因子、開示。

光子位相、律動数式に同期。

詠唱──要らない。言葉では、追いつかない」


リオの周囲に、詠唱を破棄された術式環が幾重にも浮かび上がる。


銀の文字列、紅の記号、蒼の因果線。

無数の魔術記号が、空間上で詩のように踊り始める。



アレクトの記憶には、古い時間が蘇る。


それは太古、魔法文明がまだ歌と祈りだった時代。

“あの方”は、いつもそうだった。

誰よりも不器用で、誰よりも人を想い、

“自らが傷つく魔法”を選ぶ人だった。



「術式展開──演算…完了…!」


リオの瞳が、緋に染まった。


それは怒りでも、狂気でもない。

静かなる誓い。理の臨界を越えた、“選択の意志”。



術式は名を得る。


『選択演算式・セレクト=オーダー』

“あらゆる因果の中から、最も多くを救う道を一つ、選べ”



そして、世界が応えた。

空間が収束し、リュミエール王女の動きをもが、静止した…。

未来の可能性が圧縮されていく。


その代償は、リオ“自らの未来”の断片。


アレクト(内心):「……まただ。この方は……また、自分だけが苦しむ道を……!」


涙は流れない。記録体に涙腺はない。

けれど、その記憶核は震えていた。


リオ「仕事はキッチリしてやったぞ!フィリア…!頼んだぞ…」

やってくれるんでしょうか!?リオ様!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ