表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/30

色のない図書室

この世界では、魔法は誰にとっても身近なものだった。

杖というデバイスを通して、人は生活のあらゆる場面で魔法を用いる。

明かりを灯し、水を沸かし、空中に絵を描く、他者とのコミュニケーション、記録媒体。それはもはや魔法ではなく「技術」と呼ばれるほどに日常へと浸透していた。


魔法学園エリュシオンは、その技術と可能性を探求する者たちが集う名門校である。

その校舎の一角──多くの人々にとってはただの「古くから存在する図書室」。


挿絵(By みてみん)

色褪せた図書室


けれど、それは本当の姿ではなかった。


ある者には、そこはモノクロの迷宮に見えた。

そして、ある者には──旋律が形をとる、未踏の楽譜が聴こえた。


それが、《魔法の書庫》と呼ばれる、世界の記憶の残響であるとも知らずに。

Ⅰ「始まりの旋律」


花が咲き誇る春、少女は入学式に参列していた。


柔らかな風に艶めくピンクブロンドの髪が踊り、無垢な水色の瞳は絵に描いた様な美少女である。

名を、《フィリア》。


挿絵(By みてみん)


彼女は、魔法も特技も何も持たない、

好きな事は『詩』を歌うこと。

“そんな杖を持たぬ”新入生。


彼女は、歌った。

それは学校指定の校歌ではなかった。

誰にも教わっていない、聞いたこともない、

けれど確かに“懐かしい”旋律。

その瞬間。

書庫に眠る一冊の本が、色づいた。


生徒たちは気づかない。教員すらも、ただの気まぐれか、春の幻だと笑っていた。



だが、たった一人──その場にいた灰色の瞳の少年は、確かに見ていた。


「……色が……戻った……?」


少年の名は、《リオ》。

彼は“一学生”としてこの学園に入学したばかりだったが、心の奥底には燃えるような違和感を抱えていた。


そしてその日、リオの世界は、旋律と記憶によって色づき始める…


頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ