表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

エピローグ

8月28日(土)


秀人は春奈を家まで迎えに行った後、2人で近くの公園に行った。

「こういうの、公園デートって言うんですよね」

「こんな手抜きみたいなデートで良いのか?行きたい所があれば連れてくのに……」

「私、秀人君と一緒なら、どこでも構いません。ただ、今日は秀人君とゆっくり話がしたかったんです」

「そっか」

「秀人君は、どこかへ行く方が良かったですか?」

「そんな事ねえよ。俺もお前と一緒にいるだけで楽しいからな」

「それなら、良かったです」

2人は空いていたベンチに並んで座る。

「こうやって、のんびりしてると、夏休みって感じがするな」

「そうですね。でも、もうすぐ終わってしまいます」

「そうしたら、本格的に受験って感じになるだろうな……」

秀人は軽く、ため息をつく。

「秀人君、大学はどこにするか決めましたか?」

「村雨とかと相談して、少しずつ決めてるよ。春奈は結局、どうするんだ?」

専門学校を受けようと思っていた春奈だったが、文化祭で劇を見た人から、大学のサークルに誘われ、今は迷っているところだ。

「まだ、悩んでいます……」

「まあ、春奈のやりたいようにやれよ」

「はい、そうします」

春奈は笑顔を見せる。

2人が交際を始めてから、既に2ヶ月が過ぎた。

秀人と春奈の大声による告白が学校中の噂となり、2人は学校公認のカップルとなっている。

今は夏休みで、補習の時しか学校に行かないが、その度に周りの生徒から噂されている状態だ。

「そういえば……」

「はい?」

「和孝が言ってたんだ。恋人って3週間目と3ヶ月目と3年目の、3が付く時期に別れやすいって」

「……私達、丁度3ヶ月目に入ったばかりです」

春奈は少しだけ落ち込んだ様子を見せる。

「あ、別に俺は別れる気なんてねえからな」

「え……あ、はい、私も別れる気なんてないですよ」

春奈は安心したように笑顔を見せる。

「私、秀人君の事、好きです」

「急にどうしたんだよ?」

「今、急に言いたくなったんです」

秀人は照れくさくなり、顔を赤くする。

「秀人君は私の事、どう思っていますか?」

「お前、昨日もそれ、聞かなかったか?」

「何度も聞きたいんです」

秀人は軽くため息をついた後、笑った。

「俺は……春奈の事、好きだよ」

「ありがとうございます。あと……わがままを言ってしまい、ごめんなさい」

「お前、そうやって気を使ってばかりいたら、疲れちまうだろ?」

「秀人君だって、私に気を使ってくれています」

「とにかく、俺に対しては、もっと、わがままも言えよ。お前は俺だけじゃなくて、色んな奴に気を使ってるだろ?」

「じゃあ……」

春奈は真剣な表情で秀人を見る。

「1つだけ、わがままを言っても良いですか?」

「ああ、別に1つじゃなくて、たくさん言えよ」

「それは、秀人君に悪いです」

「別に俺は……とりあえず、その1つを聞くよ」

話が脱線しかけていたため、秀人は少しだけ笑う。

「この先、何があるかはわかりませんが……」

春奈は軽く深呼吸をする。

「ずっと、私と一緒にいて下さい」

「お前、そんな恥ずかしい事、よく言えるな」

「……ごめんなさい」

秀人は少しだけ考えた後、真剣な表情を見せる。

「でも……俺もお前と一緒にいたいと思ってる」

「え?」

春奈は驚いた様子を見せた後、笑った。

そんな春奈に合わせ、秀人も笑った。

「ありがとうございます」

「ずっと、一緒にいような」

「はい」

春奈は、そのまま秀人に寄り掛かる。

「秀人君と一緒だと、安心します」

「お前、俺がからかう度に慌ててるじゃねえかよ」

「そうですけど……」

「まあ、俺も、お前と一緒にいると、安心するよ」

「それなら、良かったです」

2人はしばらくの間、何も話す事なく、そのままでいた。

「そういえば、俺……思い出した事があるんだ」

それは春奈に2度目の告白をした日に気付いた事だ。

それから、秀人は記憶を少しずつ思い返し、その時の事を思い出す事が出来た。

「俺、小さい頃に、お前と……」

秀人は春奈に目をやり、話を中断する。

春奈は目を閉じ、いつの間にか眠ってしまっていた。

「デート中に寝る奴がいるかよ?」

秀人は呆れつつも、春奈の寝顔を見て、軽く笑った。

そして、寄り添うように秀人も春奈に寄り掛かると、そのまま眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ