第15話「清掃ボランティアの日」
6月8日、土曜日の朝。真琴は早起きして、家族と一緒に町の中心部へと向かった。集合場所には、すでに多くの人が集まっていた。
「あ、まこちゃーん!」
千鶴の声に振り返ると、彼女と弦一郎が手を振っていた。
「おはよう、みんな!」
真琴は笑顔で二人に近づいた。
「今日はがんばろうね」
千鶴が優しく言う。弦一郎も静かに頷いた。
ボランティアの説明が始まり、みんな真剣に聞いている。真琴は、自分たちの活動が町をきれいにするだけでなく、環境保護にもつながることを知り、より一層やる気が湧いてきた。
グループに分かれて活動が始まった。真琴たちは公園の清掃を担当することになった。
「ねえ、あそこにゴミが落ちてるよ」
真琴が指さす方向に、千鶴と弦一郎も目を向けた。三人で協力して、丁寧にゴミを拾っていく。
作業の合間、真琴はふと気づいた。少し離れたところで、美咲が一人で黙々とゴミを拾っている。
「美咲ちゃん、一緒にやろう!」
声をかけられた美咲は少し驚いたような表情をした。
「え? でも……」
「みんなで一緒の方が楽しいよ」
千鶴も優しく微笑みかけた。
「そうよ。一緒にがんばりましょう」
美咲は少し躊躇したが、小さく頷いた。
「うん……ありがとう」
四人で協力しながら清掃を続けていく中で、美咲も少しずつ打ち解けていった。
昼休憩の時間、みんなで持参したお弁当を広げた。
「ねえ、みんな。こうやって町をきれいにするの、気持ちいいね」
真琴が言うと、みんなが頷いた。
「うん、自分たちの手で町をよくできるって、素敵なことだと思う」
千鶴が優しく答えた。
「環境保護の第一歩になるしな」
弦一郎も静かに付け加えた。
美咲は少し躊躇しながらも、小さな声で言った。
「私……こういう活動、もっと参加したいな」
真琴は嬉しそうに美咲の肩を抱いた。
「うん! 次も一緒に参加しよう!」
午後の活動も無事に終わり、真琴は家族と一緒に帰路についた。家に着くと、美里が真琴に声をかけた。
「まこと、今日はよく頑張ったわね」
「うん、楽しかった! でも、ちょっと疲れたかな」
真琴は少し照れくさそうに答えた。美里は優しく微笑んだ。
「そう、お風呂にゆっくり浸かるといいわよ」
お風呂に入りながら、真琴は今日一日を振り返っていた。町をきれいにする喜び、友達と協力する楽しさ、そして新しい絆。すべてが心地よい疲れとともに、体に染み渡っていく。
「明日は……」
真琴はふと、明日の朝方にさくらんぼの初収穫があることを思い出した。今日の疲れが少し心配になったが、それ以上に期待が膨らむ。
窓の外では、さくらんぼの実がさらに色濃く熟していた。真琴の心も、その実のようにゆっくりと、しかし確実に成熟していくのだろう。




