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東京都放浪記 ハンガリー→トルコ→ギリシア→イタリア→エジプト  作者: みらいつりびと


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20/29

フィレンツェのドゥオーモ

 5月21日の午前、わたしはフィレンツェへ向かう鉄道に乗っていた。

 車窓からワインで有名なトスカーナの丘の連なりが見える。草原や林、ブドウ畑が織りなす美しい風景。

 次々とブドウ畑が現れる。

 トスカーナワインが飲みたくなってきた。

 正午頃にフィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に到着。

 駅を出るとすぐにサンタ・マリア・ノヴェッラ教会が建っていた。左に曲がるとサン・ロレンツォ教会がある。さすがトスカーナの州都フィレンツェ。歴史を感じる。しかし、このときわたしの脳内は「ワイン飲みたい」という欲望に支配されていた。

 サン・ロレンツォ教会のそばにあったトラットリアに入った。

 昼飲みしよう。

 適当に目についた店に入っただけなのだが、そこは100年以上つづいているランチタイムのみ営業している老舗トラットリアだった。地元民で混んでいる。

 イタリア語と英語併記のメニューがあった。英語を読んで、キャンティの赤ワイン、生ハムとサラミの盛り合わせ、ジャガイモと黒キャベツと牛の胃袋の煮込みを注文する。

 グラスをくいっと傾けた。背徳的なワイン昼飲み。わたしにはワインの味の良し悪しなんてわからないが、とにかく美味しかった。

 料理もよかったのだが、特にサラミが飛び上がるほど旨かった。

 サラミは腸詰の一種。豚の挽き肉、塩、脂、にんにく、ラム酒などを混ぜて詰め、2か月から3か月かけて乾燥熟成してつくられる。

「このサラミ、美味しいですね」と店員に声をかけると、「ああ、それはシエナのサラミですよ」と答えてくれた。

 ブルタッロ・ディ・モンタルチーノというワインも飲んだ。おお、と唸るほど旨かった。これもシエナ産。

 シエナという都市の名がわたしの脳裏に刻まれた。

 ほろ酔いでトラットリアから出た。

 通りをひとつ歩くと、壮大なドゥオーモが聳えていた。

 ドゥオーモとは、イタリアで街を代表する教会堂のことをいう。

 たとえばヴェネツィアのドゥオーモは、サン・マルコ寺院だ。

 フィレンツェのドゥオーモの正式名称は「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」。翻訳すると「花の聖母マリア大聖堂」。

 フィレンツェには見どころが多いが、1296年から172年の歳月をかけて建設されたこの教会は、観光の目玉だ。

 白、ピンク、ダークグリーンの大理石の幾何学模様で飾られた巨大聖堂に圧倒された。

 半球状の大円蓋を見上げているとくらくらした。

 酔っているせいか、それとも約3万人を収容できるこの建物が大きすぎるためなのか、よくわからなかった。

 ドゥオーモは入場無料だった。

 大円蓋の内側は数々の宗教画で埋め尽くされていた。

 窓には華麗なステンドグラスがはめ込まれている。

 464段の階段を上り、高さ90メートルの大円蓋の頂上に出た。手摺りが低い。丸い屋根は想像以上に急斜面で、落ちそうな恐怖にとらわれた。

 酔っているし、本当に落てしまうかもしれない。

 急いで引き返した。

 わたしはあまり建築物には興味がないのだが、このドゥオーモは荘厳で綺麗で怖くて気に入った。

 スマホで記念写真を撮る。

 ドゥオーモを出て、ふらふらと散策した。

 紀元前59年にフィレンツェの歴史はスタートする。共和政ローマの執政官ユリウス・カエサルが、この地を植民都市にした。

 毛織物業などの製造業と金融業が隆盛して、14世紀から15世紀に全盛期に達する。フィレンツェのフローリン金貨はヨーロッパの基軸通貨となるほどだった。

 メディチ銀行を擁するメディチ家に保護されて、この地でルネサンス芸術は大きく開花し、ボッティチェッリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロらの巨匠が活躍する。

 建築の巨匠ブルネッレスキがドゥオーモを設計する。

 わたしは金細工店や宝石店が軒を連ねるヴェッキオ橋を通ってアルノ川を渡り、フィレンツェ南部の高台にあるミケランジェロ広場まで歩いた。

 そこからフィレンツェの街並みを一望した。

 やはりドゥオーモがひと際目立っていた。

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