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彼女の名はL  作者: 担倉 刻
第三章 新しい転校生、作戦会議は深刻化
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第21話 真実は誰も知らなかったところに

 食事の後、全員はリビングでお茶を飲んでいた。


「きょう集まってもらったのはほかでもないわ」

「……紗姫さんがいるのにも関係がある? 母さん」

「そうね。これからの戦いに際して、私や紗姫が知っていることを伝えておきたいの」


 めぐみが息をのむ音が、美幸にも伝わって聞こえた気がした。

 有吉もじっと順を見つめる。


「何から話そうかしらね。――そうね……【花嫁制度】のことは知ってる?」

「……【花嫁制度】……?」

「噂くらいは聞いていない? 一番の女の子が選ばれるっていう」

「あっ、それは知ってます」


 それがただの噂じゃないのよ、と苦笑しながら、順は深くうなずいた。

 めぐみは眉間にしわを寄せて、黙って話を聞いている。


「何年かに一度、一番の女の子が選ばれる。でも、その後どうなるかは誰も知らない……それが【花嫁制度】。ここにいる紗姫も、その被害者の一人」

「紗姫さんが? でもそんなこと、母さんは一言も」

「今言ってる」


 娘の発言を軽くいなしながら、順は語った。

 紗姫は三十年前、別の学校の【花嫁制度】によって選ばれた女子だったという。

 だが――――


「それをきっかけに出会ったひとと結婚したけれど……そのひとは【あのお方】と繋がっていたの……」

「あのお方?」


 涙声で言った紗姫の背中をさすりながら、順がつなぐ。


「正体は私たちにも分からないの。ただ、とても大きな敵なのは間違いない」


 昔、私が戦っていたときにも、背後にいたのよ――順はそう言った。


「私には滅ぼしきれなかった。そのために紗姫に辛い思いをさせてる」

「どういうことですか?」

「……紗姫とご主人の間には、子どもがいたの。だけど、その子は、生まれてすぐにさらわれた」

「誰に?」

「……【あのお方】にね」

「その子は……どうなったの……」


 めぐみは静かに聞いた。

 順はひと呼吸置くと、めぐみをまっすぐ見つめて言った。


「【あのお方】の養子になったところまでは、つかめてる。藤山誠一という名前でね」

「…………!」


 めぐみはすぐに声が出ない。

 それは美幸も、有吉も同じであった。


「【花嫁制度】に選ばれた子たちは、ほとんど【あのお方】の駒として使われて、潰れていった。紗姫もその一人……」


 聞けば誠一を奪われた直後、紗姫はもう少しで【あのお方】の手の者に殺されそうになった。

 それをすんでのところで順が救い、いま、彼女は別の町にひっそりと隠れ住んでいるのだという。


「でも、お順やめぐみちゃんの手助けはしたかったの」

「だからスーツや木刀のメンテを……」


 子どもが敵に回っていることを知っていて。

 その心情やいかばかりか――と、めぐみも美幸も、無論有吉も思う。


「お父さん――理事長がめぐみに頼んだのは、もともと三原中川を平定することだったわ。でも、根本的なところから叩かないと、平定はできない」

「……そうだね」

「あのっ、お順さん」


 美幸がハイと手を挙げる。


「いままで、レディース仮面が平定してきた学校も、もしかして」

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